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そうだ。学校に行こう
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妻と息子にも見せた事のないでれっとした優しい表情で、優しく抱っこしているノルンの頭を撫でる公爵。
他の孫達にだってした事のない、公爵のその態度に奥様達は非常に驚くのでした。
初めて会ったばかりなのに、かわいいノルンに無邪気に懐かれた事が、公爵にはとても嬉しかったのです。
いつも不機嫌そうな表情をしてるように見えるせいで、たまに会う孫達に怖がられていたから、余計に嬉しかったのでしょう。
それ以来、公爵はノルンを溺愛しています。
ノルンに対してはダダ甘の好々爺です。
ノルンが聖女になったのを知った時には、どこから仕入れてきたのか、女神ミリシャル様から授かった祝福のローブの次に防御性能の高い、この世界で手に入る物の中で最高級の防具である、魔法のローブをプレゼントし、ノルンの護衛に100人もの傭兵を雇ったりしたほどです。
そんな公爵がかわいい孫娘の元気のない様子に気付きました。
「おや、元気がないようだが何かあったのかい?おじいちゃんに話してごらん。何かしてあげられるかもしれないよ?」
祖父のその優しい言葉にノルンは、今一番のお願い事を口にしました。
「おじーちゃん、あのね……ぼく、友達が欲しいの…」
「友達が欲しいのかい?」
「うん。ぼく、同年代の女の子の友達いないんだもん……」
ノルンのお願い事を聞き、公爵は顎に手を当てながら考え込みます。
「……それなら、もう一度学校に通ってみるのはどうだい?」
「学校に?でも……」
「おじいちゃんがお金を出してる新しい学校が、もうすぐこのラギアン王国に出来るんだけどね。ほら、世界がノルンと勇者様達のおかげで平和になったろう?世界中から大勢の子供達が留学してくるんだよ」
聞けばフォルシオン公爵家が出資している、貴族の子息令嬢御用達の学校が新しく生まれ変わり、貴族の子息令嬢だけでなく、優秀であれば一般人でも入れるようになるのだと、公爵はノルンに説明します。
「これから色んな国から大勢の生徒が集まるから、ノルンと気の合う友達も出来るかもしれないよ。ノルンがその気ならおじいちゃんが入学出来るよう手配してあげよう」
「ホント!?ぼく行きたい!!友達作りたい!!」
「よしよし。それじゃ早速手配しようか」
「わあい♡おじーちゃん大好き♡」
こうして、ノルンは再び学校に通う事を決めたのでした。
そしてノルンが期待に胸を膨らませながら、穏やかな日々が過ぎていき、いよいよ新しい学校が出来て初登校の前日。
「えへへ。楽しみだなあ……」
お風呂に入って寝間着に着替えたノルンが、ベッドの上で嬉しそうに呟きます。
「良かったですね」
「うんっ」
ノルンは起き上がると、両手を組んでお祈りをします。
朝の礼拝だけでなく、夜寝る前にも礼拝を欠かしません。
「ノルンは本当に信仰心が高いですね。毎日寝る前のお祈りを欠かしませんし。きっと女神ミリシャルの御加護がありますよ」
「え?寝る前のお祈りはミリシャル様へのじゃないよ?」
「えっ?」
「寝る前のお祈りはね、最高神グラウディオス様へのお祈りだよ」
そんな名前の神様を私は存じ上げませんが。
「……あの、ノルン。そのような神様、私知りませんが」
「うん。だってぼくが考えた神様だもん」
……はい?
他の孫達にだってした事のない、公爵のその態度に奥様達は非常に驚くのでした。
初めて会ったばかりなのに、かわいいノルンに無邪気に懐かれた事が、公爵にはとても嬉しかったのです。
いつも不機嫌そうな表情をしてるように見えるせいで、たまに会う孫達に怖がられていたから、余計に嬉しかったのでしょう。
それ以来、公爵はノルンを溺愛しています。
ノルンに対してはダダ甘の好々爺です。
ノルンが聖女になったのを知った時には、どこから仕入れてきたのか、女神ミリシャル様から授かった祝福のローブの次に防御性能の高い、この世界で手に入る物の中で最高級の防具である、魔法のローブをプレゼントし、ノルンの護衛に100人もの傭兵を雇ったりしたほどです。
そんな公爵がかわいい孫娘の元気のない様子に気付きました。
「おや、元気がないようだが何かあったのかい?おじいちゃんに話してごらん。何かしてあげられるかもしれないよ?」
祖父のその優しい言葉にノルンは、今一番のお願い事を口にしました。
「おじーちゃん、あのね……ぼく、友達が欲しいの…」
「友達が欲しいのかい?」
「うん。ぼく、同年代の女の子の友達いないんだもん……」
ノルンのお願い事を聞き、公爵は顎に手を当てながら考え込みます。
「……それなら、もう一度学校に通ってみるのはどうだい?」
「学校に?でも……」
「おじいちゃんがお金を出してる新しい学校が、もうすぐこのラギアン王国に出来るんだけどね。ほら、世界がノルンと勇者様達のおかげで平和になったろう?世界中から大勢の子供達が留学してくるんだよ」
聞けばフォルシオン公爵家が出資している、貴族の子息令嬢御用達の学校が新しく生まれ変わり、貴族の子息令嬢だけでなく、優秀であれば一般人でも入れるようになるのだと、公爵はノルンに説明します。
「これから色んな国から大勢の生徒が集まるから、ノルンと気の合う友達も出来るかもしれないよ。ノルンがその気ならおじいちゃんが入学出来るよう手配してあげよう」
「ホント!?ぼく行きたい!!友達作りたい!!」
「よしよし。それじゃ早速手配しようか」
「わあい♡おじーちゃん大好き♡」
こうして、ノルンは再び学校に通う事を決めたのでした。
そしてノルンが期待に胸を膨らませながら、穏やかな日々が過ぎていき、いよいよ新しい学校が出来て初登校の前日。
「えへへ。楽しみだなあ……」
お風呂に入って寝間着に着替えたノルンが、ベッドの上で嬉しそうに呟きます。
「良かったですね」
「うんっ」
ノルンは起き上がると、両手を組んでお祈りをします。
朝の礼拝だけでなく、夜寝る前にも礼拝を欠かしません。
「ノルンは本当に信仰心が高いですね。毎日寝る前のお祈りを欠かしませんし。きっと女神ミリシャルの御加護がありますよ」
「え?寝る前のお祈りはミリシャル様へのじゃないよ?」
「えっ?」
「寝る前のお祈りはね、最高神グラウディオス様へのお祈りだよ」
そんな名前の神様を私は存じ上げませんが。
「……あの、ノルン。そのような神様、私知りませんが」
「うん。だってぼくが考えた神様だもん」
……はい?
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