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38.お嫁さんになる!!(side ライ)
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「おばーちゃん、ただいま!!」
俺の腕の中から、ご機嫌顔のノルンがそう、祖母に帰宅の挨拶をした。
「おばーちゃん聞いて聞いて!!あのね、ぼく、修道院行くのやめた!!だーりんのお嫁さんになる!!」
ノルンがご機嫌な表情で明るくそう宣言すると、ノルンのお婆さんはぽかん、とした表情を浮かべた。
朝早くにしおらしい態度で出ていった孫娘が、俺にお姫様抱っこされて両手を俺の首に回し抱きつきながら、帰ってくるなりご機嫌でそんな事を宣言してきたら、そんな表情にもなるわな……。
そういや俺、ノルンに結婚してくれって言ったっけ……?
愛の告白をして、一緒にいたいとは言ったけれど。
そりゃあ、ノルンと結婚したいと言えばしたいが、ノルンはこの前15才になったばかりだしなあ。
でもずっと好きだったノルンが、俺のお嫁さんになると言ってくれたのはとても嬉しい。
その内ちゃんとした指輪を用意して正式にプロポーズしよう。
ノルンのお婆さんの顔を見ると、お婆さんは俺に尋ねる。
「勇者様。こんな子ですが、本当に貰っていただけるのですか?」
「はい。絶対に幸せにします」
俺は速答する。
「……だーりんだいすき♡」
そう言って、ノルンが俺の頬にちゅっとキスをしてくれた。
かあっと顔が赤くなる……。
幸せすぎて死にそうだ……。
「ノルン!!なんですかはしたない!!それにいつまでも勇者様に抱きついていたら、勇者様にご迷惑でしょう!!いい加減、そろそろ勇者様から離れなさい!!」
お婆さんがノルンを咎める……が。
「やだもーん。やっと両想いになれたんだから、もっとくっついてたいんだもーん♡」
ノルンはそう答えて、俺にギュッとしがみつく。
「……まったく。この子ったら。本当に仕方のない子ね」
ノルンのお婆さんはそう言って優しい目をする。
普段厳しくしてても、お婆さんはノルンの事を本当に大切にしてるんだ。
今朝、俺にノルンの向かう先と、そこまでの道程を教えてくれたのはこの人だった。
俺はこの人の信頼に応えなければいけない。
絶対にこの人の大切なノルンを幸せにしてみせる。
ーードサッ。
不意に音がした方に視線を向けると、お婆さんの背後の方でノルンのお父さんが、両膝から崩れ落ちて放心した顔で真っ白になっていた。
……いつか、ノルンとの間に女の子が生まれて、その子が恋人を連れてきたりしたら、俺もああなるのだろうか、と俺はふと思ってしまった。
……いかんいかん。少々気が早すぎる想像だった。
「勇者様。ノルンの事をよろしくお願い致します」
「……はい!!」
俺は頭を下げるノルンのお婆さんに、誠意を込めてそう、返答を返したのだった。
俺の腕の中から、ご機嫌顔のノルンがそう、祖母に帰宅の挨拶をした。
「おばーちゃん聞いて聞いて!!あのね、ぼく、修道院行くのやめた!!だーりんのお嫁さんになる!!」
ノルンがご機嫌な表情で明るくそう宣言すると、ノルンのお婆さんはぽかん、とした表情を浮かべた。
朝早くにしおらしい態度で出ていった孫娘が、俺にお姫様抱っこされて両手を俺の首に回し抱きつきながら、帰ってくるなりご機嫌でそんな事を宣言してきたら、そんな表情にもなるわな……。
そういや俺、ノルンに結婚してくれって言ったっけ……?
愛の告白をして、一緒にいたいとは言ったけれど。
そりゃあ、ノルンと結婚したいと言えばしたいが、ノルンはこの前15才になったばかりだしなあ。
でもずっと好きだったノルンが、俺のお嫁さんになると言ってくれたのはとても嬉しい。
その内ちゃんとした指輪を用意して正式にプロポーズしよう。
ノルンのお婆さんの顔を見ると、お婆さんは俺に尋ねる。
「勇者様。こんな子ですが、本当に貰っていただけるのですか?」
「はい。絶対に幸せにします」
俺は速答する。
「……だーりんだいすき♡」
そう言って、ノルンが俺の頬にちゅっとキスをしてくれた。
かあっと顔が赤くなる……。
幸せすぎて死にそうだ……。
「ノルン!!なんですかはしたない!!それにいつまでも勇者様に抱きついていたら、勇者様にご迷惑でしょう!!いい加減、そろそろ勇者様から離れなさい!!」
お婆さんがノルンを咎める……が。
「やだもーん。やっと両想いになれたんだから、もっとくっついてたいんだもーん♡」
ノルンはそう答えて、俺にギュッとしがみつく。
「……まったく。この子ったら。本当に仕方のない子ね」
ノルンのお婆さんはそう言って優しい目をする。
普段厳しくしてても、お婆さんはノルンの事を本当に大切にしてるんだ。
今朝、俺にノルンの向かう先と、そこまでの道程を教えてくれたのはこの人だった。
俺はこの人の信頼に応えなければいけない。
絶対にこの人の大切なノルンを幸せにしてみせる。
ーードサッ。
不意に音がした方に視線を向けると、お婆さんの背後の方でノルンのお父さんが、両膝から崩れ落ちて放心した顔で真っ白になっていた。
……いつか、ノルンとの間に女の子が生まれて、その子が恋人を連れてきたりしたら、俺もああなるのだろうか、と俺はふと思ってしまった。
……いかんいかん。少々気が早すぎる想像だった。
「勇者様。ノルンの事をよろしくお願い致します」
「……はい!!」
俺は頭を下げるノルンのお婆さんに、誠意を込めてそう、返答を返したのだった。
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