かわいい小悪魔

夕貴

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運命の日

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「ねぇ、暇?」


腕をからめられた僕はたじろいだ。
「えっ?」

「ねぇ、暇?」
その捕まれた腕の脇から上目遣いで、覗きこんでいる子は、明らかに男の子だ。

「君、誰?」
訳がわからず、知り合いなのか、危ない勧誘なのか、何の判断もつかず、でも、冷静を装って聞いてみる。

「しゅん!お兄さんは?」

「あの!なんかのお店なら、ま、間に合ってますから!」

腕を振り払って、足早に歩き出す。

「そんなんじゃないよぉ。ただ、寂しくて。」
あっさり腕を離したその子は、しっかり立つと僕より少し背が低くて、思ったより青年だった。

あまりに寂しそうな声を出されて、こんなことを言われたことのない僕はその声に足を引き留められた。

「俺、お金持ってないから。ほ、他の人あたったら?」
振り返って、その子を見ると、うつむいたその瞳からポロポロと雫が落ちている。

あわてて駆け寄って、周りを歩いている人に
「な、なんでもないですから!」
となぜか取り繕ってしまう。

「ちょ、君、なんで泣いてんの?」
あわてて背をさする。


「ごめんなさい。困らせて、お兄さんなら、僕の気持ち、わかってくれるような気がしたから、振り払われて、悲しくなっちゃった。迷惑ですよね?ごめんなさい。」

「やっ、あの、なんかの勧誘かと思って、あの、何か困ってるの?相談にのるだけなら。」

「ほんとに?!僕、お兄さんのお金とか狙ってないよ!お話してくれる?」

「わ、わかった。とりあえず、歩こうか?」
周りの視線に耐えられず、背を押して歩かせる。

(会社の近くなのに…。誰かに見られてませんように!)




ーーーーーーーーーー


「いらっしゃいませ!」
店員の元気な声が響く居酒屋

「お好きなお席にどうぞ!」
入って右側の席に座らせると、向かえに腰をおろした。
(これだけ騒がしいところなら、変にも思われないかな。)

「ビール飲む?」

「うん♪」
「あっ、ちょっと待って。君、いくつ?」

「23だよ♪」

「えっ?俺の2こ下?ギリギリ二十歳かと思った。」

青年はにっこり笑うと、
「生2つと、枝豆下さーい!」
と、元気に注文した。

(さっきまで泣いてたよね?)
僕は騙されたのではないかという疑いを拭えないまま、乾杯をした。



「しゅんくん、だっけ?」

「はい。お兄さんは?」
頬杖をついて、覗きこんでくる。

「俺は柏木明(かしわぎあきら)で、なんで声をかけてきたのかな?」
(この子の行動、胸がざわつくなあ。)
僕はいちいちドキドキさせられた。

「あきらさん、絶対優しいだろうなあって、思って。それに、なんか暇そうだったから♪」

「暇そうって…。まあ、当たってるけど。」

「僕、人を見る目あるんで!」

「そう。」

「あきらさん!飲みましょう♪生1つくださーい!串盛りも!」
ぐっと飲み干すと、また頼んだ。

「俺、そんなに持ち合わせないんだけど…。」

くすくす笑って、
「大丈夫ですよ。僕、たかりじゃないですって♪自分の分は自分で払います。奢ることはできませんけど。」

「いや、それならいいんだ。ごめん、疑って。」

「いえいえ、あきらさんは普通ですよ。誰だって急に腕捕まれたらびびりますよね♪」


それから、他愛もない話をだらだらとした。
しゅんは今日明日はオフで、明後日の日曜日は仕事らしい。
意外に普通で、拍子抜けした。
仕事はショップ店員で、もう後輩もいるらしい。
実はもう酔っていたと聞いて、ほっとした。
(だよね。正気であんなことしてきてたら、驚く。)

すっかり打ち解けて、連絡先も交換した。
お酒も進んで、いい気分だ。

「まもなく閉店です。」
店員に声をかけられるまで時間なんか忘れてた。

「そんな時間かあ。じゃあ、帰ろうか?」

「明さんちに?」
にこにこしながら、すごいことを言う。

「えっ?待って待って。汚いから、うち。」

「でも、僕も明さんも明日は休みですよね?」

「それはそうだけど。」

「男同士で部屋の汚いとか気にしないで下さいよ♪まだ、話したいです!終電なくなるし、早く行きましょう!」

「そうだな。行こうか♪」
お酒の力もあって、楽観的になっていた。

「行きましょう!」
肩を組んで店をでて、自宅に向かった。


ーーーーーーーーーー


ガチャ

「あ~、重かったぁ。」

「そんなに買うからだろ?」
途中、コンビニに寄って買い出しして帰ってきた。

「だって、歯ブラシとか色々いるから♪」

「歯ブラシ!?泊まる気か?」

「うん♪」

「勘弁してくれよぉ。…わあっ!」

頭に手をやった僕に後ろから思いっきり抱きついてきた。
僕の心臓は口から出そうになった。

「だって、もう終電ないもん。」

「わ、わかったから、ちょっと離れて。」
人肌に慣れていない僕にとって、男と言えども抱きつかれたら、ドキドキが止まらない。

「やだ。」

「え?なんで?」

「気持ちいいから。」

僕の腰で一周しているその腕をはずそうと引っ張ってみるが、力加減がわからず、上手くはずせない。

「一回座ろう?あっ、コンタクト外してきていい?」

「わかった。」
すっと腕が外され、解放される。
捕まる前に洗面所に行き、一度心を落ち着かせる。

(やっぱあの子、ヤバイかも。そっち系なんじゃないか?僕、襲われちゃうんじゃない?童貞なのに、処女を捨てるの?!待て!待て!そうとは限らない。ちょっと奔放なだけかも…。)
(いや!僕の本能が叫んでいる!危ない。僕の体が。)

「明さん?」

「わあっ!」
後ろから声をかけられて、慌てて振り替える。

「先に飲んでていい?」

「…いいよ。」
にっこり笑ってリビングに行った。

「酔わせて眠らせてしまえば、体は守れる。僕だって弱い方じゃないし。その作戦で行こう。」





話し出すとやっぱり楽しくて、僕はすっかりさっきまでの警戒を解いていた。

「明さん、見つけてほんと、良かった♪すっごい楽しい♪」

「僕もだよ♪」

「…あれ?「僕」っていってましたっけ?」

「あっ!つい!」

「強がってたんですか?」

「いや、外では「俺」って言うようにしてるんだ。気持ち悪がられるから。」

「じゃあ、しゅんの事も気持ち悪いと思ってたの?」

「思ってないよ!キャラクターってあるだろ?君は「僕」って言っても可愛いからいいと思うよ。僕が言うとオタクっぽくて。」

「ねぇ、明さん…」

「?」
しゅんがふらっと倒れてきて、僕の膝に寝転んできた。
僕の手をとって、頭を撫でさせる。

「よしよし、して。」

言われるがままによしよしをする。
(うぐっ、なんだ、このかわいさ。)

そうされながら、しゅんが寝返りをうって、僕の方に顔を向けた。
「どうしたの急に?」
声が上ずらないように気を付けながら話しかける。

すると、それには答えず、部屋着のスウェットを少しめくりあげて、ペロッと舐められた。

「ひゃっ!」

「明さん、したくなっちゃった。」

「えっ?」

「しよぉ。」
上半身を起こして、顔がどんどん近づいてくる。
後ずさる僕にどんどん覆い被さってくる。

「ちょっと、待って、整理させ…」


唇を塞がれて、(やっぱり、そうなのかあ。)と思ったが、もう遅いみたいだ。

唇を何度もついばんでくる。
こういう経験のほぼない僕はどうしたらいいかわからず、手は宙を掴んでいた。

「可愛いのは明さんの方だよ♪」
そういうと、口の端に光っていた滴をペロリと舐めた。

スウェットは上までめくられ、乳首が露になった。
そこを生暖かいぬるっとしたものがはい回っている。
「んっ…」

下半身が僕の気持ちとは裏腹に膨れ上がってくる。

「明さん、声、出していいよ♪僕が気持ちよくしてあげるから、怖がらないで。」

(それが怖いんですが。)
下半身に手をかけられて、体がビクッと反応する。

「ぬるぬるだよ♪」

「…あっ、ちょっと触らないで。」

ゆっくりと擦りあげられて、なんとも言えぬ快感の波が押し寄せてくる。
人に触られた経験のない僕の下半身は正直で、もっと触って欲しそうによだれを垂れた。

次の瞬間、ぬるりと熱い口の中に含まれて、
「あっ、ヤバい、でちゃう!」

自分でしか可愛がってこなかったそこをあっという間に快感に飲まれた。

荒い息をつく僕をお構いなしに、じゅぶじゅぶと音をたてながら、フェラが続く。

「ちょっと、待って!今、イッた所だから辛いよ。」

「だって、まだ、しゅんが気持ちよくなってない。大丈夫♪しゅんの中、最高に気持ちいいから♪」

「え?」

「明さんのをしゅんの中に入れるの♪痛いことはしないから、大丈夫だよ♪ちゃんとゴムも持ってるよ♪」

僕のそれはさっき果てたばかりなのに、みるみる固くなった。
しゅんは手際よくコンドームをつけるとローションを塗り始めた。

(こんなのも買ってたのか?!)
しゅんがジーンズを脱ぐと、しゅんのそれもよだれを垂れていた。
紅潮した肌が、えろい。

しゅんは自分でローションを塗り、ほぐすと、ゆっくりと腰を下ろしてきた。

(ほんとに、入っちゃうの?)
ドキドキしながら、しゅんのする艶かしい動きに釘付けになった。
しゅんの中に先が入るだけで、すごい快感に襲われた。
「ちょっと待って、しゅん。気持ちよすぎる。」

「でしょ?気持ちよくなろう♪」
しゅんはどんどん腰を下げてくる。
暖かいしゅんの肌が、僕と重なる。

「あぁっ。はいちゃった…明さんの。」

「しゅん、気持ちいい。」

しゅんは天使のような微笑みで、僕を見ると、ゆっくりと腰を動かした。

「ぁあっ、明さんの気持ちいい。はぁあ。はぁあ。」

「おかしくなりそうだよ。」

「僕も。明さんに会えて良かった♪」

何も考えられなくなった。
ただ、この快楽に溺れてしまいたい。

「あっ、しゅん、またイキそう!」

「まだ、ダメだよぉ。僕がもっと気持ちよくなるまで待って!」

そういうと、付け根をぎゅうっと捕まれた。
「痛いっ。無理だってでちゃうって。」

「ダメ!」

今度は首を絞められた。
「く、苦しい…」

「あっ、あっ、明さんのパンパン♪しゅん、気持ちいいよぉ。」

しゅんは手を離すと唇にもさぶりついてきた。
舌をめちゃめちゃに弄ばれて、口から涎が流れた。

「あっ、あっ、明さん、イキそう。一緒にイこう。はぁあ。はぁあ。」

「あっ、イクっ!!」

僕は何がなんだか、わからないまま、深い眠りに落ちた。


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