1 / 2
執事?
しおりを挟む
『ようこそ当館へ。
今宵集りし御客様は当館と関わりの有る方々に御座います。
そんな方々に混じりとても重要な方もいらっしゃっています』
招待客の一人で、かなり早い時間に到着したと思われる人物に話し掛ける初老の男性。
その招待客は小首を傾げ、その初老に誰かと尋ねる。
すると初老はしまったと言う表情し話す。
『嗚呼、私とした事が、大事な事をお伝えするのを忘れていました。
先ず私は当館の執事をさせて頂いております靈と申します。
そしてご存知かも知れませんが、当館は何時、誰が呼び出したのかは解りませんが、こう呼ばれております…【呪霊館】と……』
それを聞いた招待客は驚き、恐怖で震えあがる。
それを見た靈は慌ててその客を宥める。
『あー、その様に怖がらないで下さいませ。
何もなさっていない貴方様に危害を加えるつもりはありませんので御安心下さい。
それに呪霊館と呼ばれ、悪い噂が流れている様ですが、それは全くの間違いでございます。
確かに此処には色々な物が集まりますが、それには理由が御座います』
それを聞いて少しホッとした客だったが、その理由は何だと靈に尋ねる。
すると靈は、顎に手を置き、どう説明すればと考えながら話す。
『ふむ…そうですね……………話しても良いのですが、信じて貰えないのと、実感がわかないかもしれません。
なので説明させて頂くより、実際に体験して頂いた方が宜しいかと思いますので、大変申し訳ありませんが、今は話す事が出来ません』
そう言って靈は本当に申し訳なさそうな顔をし、深々と頭を下げる。
それを見た客は訝かしがりながらも了承する。
それを見て靈はお礼を言う。
『有難う御座います御客様。
おや?
他の方々もご到着なされたようですね。
少し此方でお待ちを…』
そう言うと執事は他の客達を出迎えに行った。
取り残されたその客は靈に言われた通り、その場で待つ事にした。
その時、ハッキリではないが何処かから声が聞こえ、キョロキョロと辺りを見渡す。
しかし何処にも声の主らしき人物はおらず、気のせいかと思い頭を掻く。
すると今度は何かが横をすり抜けた感覚がし、客はバッと後ろを振り向く。
だがやはり其処には勿論、周りにも何も居ない。
得体の知れない何かがいる事を察し始めた客が靈が向かったであろうと玄関へ行こうとした時、後ろから話し掛けられる。
〘駄目〙
その声を聞いた瞬間飛び上がり、大きな声で悲鳴を上げる。
その悲鳴を聞いて、何事だと続々と人が集まり始めた。
そして、集まって来た人々を見て少し安堵し、鼠が出て驚いただけだと言う。
それを聞いた他の客達は呆れ、奥の部屋へと向かった。
きっと言っても信じて貰えないと思った末の嘘だった。
怖い、帰りたい、そう思ったが何故か先程の声の主が言った“駄目”と言うのも気になりその客は他の客達同様奥の部屋へと足を向けた。
すると後ろから
『嗚呼、会われたのですね。
大丈夫、貴方は何があっても助かります』
と言う靈の声がし、振り向く。
しかし其処に靈の姿は無く、黒猫が佇ずんで居るだけだった。
それを館に設置されているカメラで見ていた男が呟く。
「あいつは………」
今宵集りし御客様は当館と関わりの有る方々に御座います。
そんな方々に混じりとても重要な方もいらっしゃっています』
招待客の一人で、かなり早い時間に到着したと思われる人物に話し掛ける初老の男性。
その招待客は小首を傾げ、その初老に誰かと尋ねる。
すると初老はしまったと言う表情し話す。
『嗚呼、私とした事が、大事な事をお伝えするのを忘れていました。
先ず私は当館の執事をさせて頂いております靈と申します。
そしてご存知かも知れませんが、当館は何時、誰が呼び出したのかは解りませんが、こう呼ばれております…【呪霊館】と……』
それを聞いた招待客は驚き、恐怖で震えあがる。
それを見た靈は慌ててその客を宥める。
『あー、その様に怖がらないで下さいませ。
何もなさっていない貴方様に危害を加えるつもりはありませんので御安心下さい。
それに呪霊館と呼ばれ、悪い噂が流れている様ですが、それは全くの間違いでございます。
確かに此処には色々な物が集まりますが、それには理由が御座います』
それを聞いて少しホッとした客だったが、その理由は何だと靈に尋ねる。
すると靈は、顎に手を置き、どう説明すればと考えながら話す。
『ふむ…そうですね……………話しても良いのですが、信じて貰えないのと、実感がわかないかもしれません。
なので説明させて頂くより、実際に体験して頂いた方が宜しいかと思いますので、大変申し訳ありませんが、今は話す事が出来ません』
そう言って靈は本当に申し訳なさそうな顔をし、深々と頭を下げる。
それを見た客は訝かしがりながらも了承する。
それを見て靈はお礼を言う。
『有難う御座います御客様。
おや?
他の方々もご到着なされたようですね。
少し此方でお待ちを…』
そう言うと執事は他の客達を出迎えに行った。
取り残されたその客は靈に言われた通り、その場で待つ事にした。
その時、ハッキリではないが何処かから声が聞こえ、キョロキョロと辺りを見渡す。
しかし何処にも声の主らしき人物はおらず、気のせいかと思い頭を掻く。
すると今度は何かが横をすり抜けた感覚がし、客はバッと後ろを振り向く。
だがやはり其処には勿論、周りにも何も居ない。
得体の知れない何かがいる事を察し始めた客が靈が向かったであろうと玄関へ行こうとした時、後ろから話し掛けられる。
〘駄目〙
その声を聞いた瞬間飛び上がり、大きな声で悲鳴を上げる。
その悲鳴を聞いて、何事だと続々と人が集まり始めた。
そして、集まって来た人々を見て少し安堵し、鼠が出て驚いただけだと言う。
それを聞いた他の客達は呆れ、奥の部屋へと向かった。
きっと言っても信じて貰えないと思った末の嘘だった。
怖い、帰りたい、そう思ったが何故か先程の声の主が言った“駄目”と言うのも気になりその客は他の客達同様奥の部屋へと足を向けた。
すると後ろから
『嗚呼、会われたのですね。
大丈夫、貴方は何があっても助かります』
と言う靈の声がし、振り向く。
しかし其処に靈の姿は無く、黒猫が佇ずんで居るだけだった。
それを館に設置されているカメラで見ていた男が呟く。
「あいつは………」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
怨霊師
覧都
ホラー
怨霊師とは怨念を纏いて怨霊を使役する者也
一人の少年の両親が目の前で怨霊となり、少年はそれが見えるようになります。
そのせいか、人々の黒い物、怨念まで見えるようになりました。
見えるようになった少年の目には、世の中に黒い怨念があふれているように見えます。
そして、その中でも強い怨念は人に悪影響を及ぼす事を知り、人知れずそれを取り除いていました。
あるとき怨霊に取り憑かれた暴走族が、殺人をするところを目撃します。
少年は怒りに我を忘れます。
我を忘れた少年の体から、取り除いていたはずの大量の怨念が飛び出しました。
飛び出した大量の怨念は怨霊に吸収されると、とりついている暴走族を自由に動かし、殺してしまいました。
その時、少年は自分の出来る事を理解し、自らを怨霊師と名のる事にしました。
怨霊師となった少年は、その力で怨霊に取り憑かれてもなお悪事を働く者達に正義の鉄槌を加えます。
受け継がれるローファー
ハヤサカツカサ
ホラー
「校舎にある片方だけのローファーの噂のこと知ってる?」
高校説明会後の自由時間。図書室で一冊の本を開いた少女の頭の中に、その言葉を皮切りに一人の女子高校生の記憶が流れ込んでくる。それはその高校のとある場所に新しいままであり続けるローファーに関するものだった。ローファーはなぜ新しくなり続けるのか?
その理由を知って、本を閉じた時何かが起こる!
*心臓が弱い方はあらかじめご遠慮ください
死界、白黒の心霊写真にて
天倉永久
ホラー
暑い夏の日。一条夏美は気味の悪い商店街にいた。フラフラと立ち寄った古本屋で奇妙な本に挟まれた白黒の心霊写真を見つける……
夏美は心霊写真に写る黒髪の少女に恋心を抱いたのかもしれない……
月光と弾丸
肇
ホラー
不登校の中学生、私は今日も自堕落な生活をしている。
暗澹たる気持ちで部屋にこもっていたある日、母が部屋にやって来て言った一言「カーテンを閉めなさい」。その言葉をきっかけに私の考えは変化するのだが……。思わぬ形で物語は着地する。
小学六年生のときに書いた小説に加筆修正を施した作品です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
生成(なまなり)
水沢ながる
ホラー
世界観を同じくする連作の第四話。これだけでも楽しめると思います。
「生成(なまなり)」とは、般若になる前の女の面。鬼と化すに連れ、「般若(中成)」→「蛇(本成)」と変わって行く。
鬼女の伝説の残る旧家に育った少女を待ち受ける運命とは。
この作品は、他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる