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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

299【挨拶回りの前後編51】臨時三班長がいない班内会議

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【パラディン大佐隊・第三班小会議室】

 副班長・クラインが入室。
 すでに着席していた八人の艦長たちが一斉にクラインを見る。

クライン以外
「元四班長は!?」

クライン
「今日はここには来ない。大佐の執務室に行って、そのまま直帰するそうだ」

第二号艦長・ハミルトン
「来ないのかよ! だったら何で全員集合させたんだよ!」

クライン
「……これだ」

 クライン、自分の席に行き、小脇に抱えていた小さな段ボール箱を机上に置く。

第七号艦長・ガース
「それは……メモリカードの段ボール?」

クライン
「箱はそうだが、中身は〝飴ちゃん〟だ。今日の班長会議で回収した二十八個と、これまで獲得した五個。計三十三個ある」

 クライン、段ボール箱を開ける。中には個別包装された飴が詰まっている。

クライン以外
「これが、元四班長の〝飴ちゃん〟……!」

第七号艦長・ガース
「噂には聞いてたが……物自体は普通だな」

第八号艦長・ブレイド
「プライス班長、〝飴ちゃん〟もらっても、結局一度も見せてくれなかったよな」

第七号艦長・ガース
「まあ、見せたところで、五個じゃ分けようがなかったからだろ。……たぶん」

クライン
「元四班長からの伝言をそのまま伝える。『今日は本当によくやった。明日の朝、ミーティングが終わったら、また班内会議をする。それまでに〝飴ちゃん〟を艦ごとに分配しておけ』。以上」

第二号艦長・ハミルトン
「ヨッシャーッ! 二回目あったーッ!」

第三号艦長・ウェントワース
「そっちかよ!」

第四号艦長・キャッスル
「でもまあ、気持ちはわかる。少なくとも、明日の午前中くらいまでは、元四班長はうちの班長でいてくれるんだな?」

第五号艦長・テネショー
「しかし、分配しておけって……班長艦の分は?」

クライン
「今回はいらないそうだ。よって、三十三個を九人で分配することになる」

第七号艦長・ガース
「それなら、とりあえず三個ずつ取っていって、残りの六個はジャンケンで決めればいいんじゃないか?」

第八号艦長・ブレイド
「なるほど! そりゃいいな!」

クライン
「まあ、それがいちばん妥当だろうな。じゃあ、この箱から三個ずつ取って、隣に回していってくれ」

 クライン、嫌そうな顔をしながらも、ハミルトンの前に段ボール箱を押しやる。

第二号艦長・ハミルトン
「俺からか?」

クライン
「号数順に回していくのがいちばん無難だろ。ただし! 一度選んだらそれで終了! 選び直しはいっさい認めない!」

第七号艦長・ガース
「選び直しって……みんな同じ〝飴ちゃん〟だろ?」

クライン
「確かに、元四班長が配ったという意味では同じだが、保存状態が多少違う。どこの班とは言わないが、冷凍保存していた班もあった」

クライン以外
「冷凍保存……」

第四号艦長・キャッスル
「まあ、保存状態はいちばんよさそうだが、飴玉なら冷蔵でもよかったんじゃ……」

第二号艦長・ハミルトン
「……ちょっと待て。どうせ後でジャンケンするんなら、今ジャンケンして取る順番決めて、ついでに最初から六人が四個ずつ取ればそれでよくねえか?」

ハミルトン以外
「畜生! 頭いいな!」

第二号艦長・ハミルトン
「よし! じゃあ、先にジャンケンだな! と、その前に!」

 ハミルトン、箱を傾けて、机の上に〝飴ちゃん〟を全部並べる。

第二号艦長・ハミルトン
「こうしたほうが〝飴ちゃん〟も選びやすいだろ!」

ハミルトン以外
「畜生! 本当に頭いいな!」

 ***

 両手で頭を抱えているハミルトン。その前には〝飴ちゃん〟が三個だけ置かれている。

第九号艦長・エンディコット
「ハミルトン、頭はいいけどジャンケンは弱いんだな」

第十号艦長・デイヴィッドスン
「まあ、それくらいのハンデはあってもいいだろ」

第七号艦長・ガース
「九人のうち六人は四個取れるのに、まさかハミルトンが三個しか取れない三人の一人になるとは……」

第四号艦長・キャッスル
「俺もその一人になるとは思っていなかった……」

第八号艦長・ブレイド
「くそう! 〝飴ちゃん〟があともう三個あれば……!」

クライン
(ハミルトン……ざまぁ!)
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