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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

280【挨拶回りの前後編32】十一班の場合

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【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】

八班長・ブロック
「ついにと言うか、やっと来た! タイム上の大本命、十一班!」

副長・ウィルスン
「ここはなー、六班と同じミスはしないだろうなー」

ブロック
「注目は、五分を切るかどうかだけだな」

ウィルスン
「あと、物言いがつくかどうか」

 ***

【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】

十一班長・ロノウェ
「待ち時間、結構長かったな。途中、うっかり寝ちまった」

副長・レラージュ
「六班は見ました?」

ロノウェ
「ああ、六班は見た。……暫定一位はまだ一班か?」

レラージュ
「はい。暫定二位も三班のままです」

ロノウェ
「……すげえな。あくまで臨時の三班長」

レラージュ
「ええ。すごいです。だから……うちは当然一位になります!」

ロノウェ
「……ああ。頑張れ」

ゲアプ(操縦士)
(頑張れ俺! 負けるな俺! ここで六班には越えられないタイムを出しておかないと、一位にはなれない……!)

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「来たよ来たよ、十一班!」

ハワード
「何かこう、スタート地点にいるだけで迫力があるな」

フィリップス
「今頃、レラージュ副長が班員たちにプレッシャーかけてるよ……」

ハワード
「あそこはもう、一位しか狙ってないからな。……頼むから、六班には絶対越えられないタイムを出してくれ!」

フィリップス
「他力本願……」

パラディン
『それでは、十一班の計測、開始します! 五、四、三、二、一、ゴー!』

 ***

【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】

八班長・ブロック
「やっぱり速い! 思わず笑ってしまうほど速い!」

副長・ウィルスン
「しかも移動も滑らかだ! 遠隔操作されてる無人艦じゃないのか、こん畜生!」

ブロック
「速いのにピタッと静止できるのが……操縦士、すごいな!」

ウィルスン
「プレッシャーもすごいだろうけどな!」

ブロック
「うわ! もう〝縦走り〟! 十一班の〝縦走り〟、初めて見た! やっぱり速い!」

ウィルスン
「オペレータ! タイムは!?」

オペレータ
「……よ、四分五十八秒九一……」

ブロック
「余裕で五分切ってきた……」

ウィルスン
「あとは物言いがつかなければ……」

ブロック
「何かもう、一班と六班のいいとこ取りした感あるな」

ウィルスン
「あの班に苦手なことってあるのかよ……」

ブロック
「……団体行動?」

ウィルスン
「確かに」

パラディン
『十一班、お疲れ様! 六班の無効タイムを越えるすごいタイムが出たよ! 四分五十八秒八八! 物言いもなし! 暫定一位は一班から十一班に替わります! 二巡目でもこの調子で頑張ってね!』

ブロック・ウィルスン
「やっぱり!」

ウィルスン
「あとは十二班か。……二位?」

ブロック
「うーん……あそこはわからないな……一位は絶対に狙わないと思うけど、今の二位は一班だし……」

ウィルスン
「……十二班長は、そういう気も遣うのか」

ブロック
「だから厄介」

ウィルスン
「何がどう厄介かは訊かねえよ。厄介そうだから」

 ***

【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】

副長・ホフマン
「どんなに努力しても到達できない領域があるのだと、十一班を見るたびに思い知らされます……」

エリゴール
「そうか。でも、あそこの班員の八割は、もともと別の班の班員だったぞ」

ホフマン
「……え?」

エリゴール
「最初はどこも寄せ集めだ。共通の目的意識を持って、初めて一個の集団になる。……あそこの班長は、人をまとめるのはうまいんだ。あとは全部班長艦の副長に丸投げしてる」

ホフマン
「ああ、レラージュ副長」

エリゴール
「知ってるのか?」

ホフマン
「はい。若くて美形で頭もいいと」

エリゴール
「性格は悪いぞ?」

ホフマン
「頭が悪いよりはいいです」

エリゴール
「……そうか。性格より頭か」
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