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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
272【挨拶回りの前後編24】三班の場合
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【パラディン大佐隊・旗艦〈オートクレール〉ブリッジ】
パラディン
「ついに本日のメインイベント! 三班の初計測だ!」
モルトヴァン
「なるほど……だから今日は最初から、危ないくらいにハイテンションだったんですね……」
パラディン
「だって、楽しみじゃないか! エリゴール中佐が志願して臨時で班長になった班がどんなタイムを出すか! 少なくとも、さっきの二班は越えてほしいよね! できれば一班も!」
モルトヴァン
「そこまで望むのは酷かと。あと、一班がかわいそうです」
パラディン
「とにかく、三班にアナウンスを……うん?」
モルトヴァン
「どうしました?」
パラディン
「いや……きっと何かするだろうとは思っていたが、まさかそう来るとは。まあ、ルール違反ではないから、今は何も言わないでおこうか」
モルトヴァン
「え? また例の第二号が何かしてるんですか?」
パラディン
「ああ。また例の第二号だ。ただし、今回は完全にエリゴール中佐の命令で、だろうね。班長艦のクルーは複雑だろう。もしかしたら、副班長も」
モルトヴァン
「……エリゴール中佐のことですから、事前に検証はしているんでしょうが……本当に思いきりますね」
パラディン
「そうだな。普通の班長だったら、プライドが邪魔してできないだろうな。……班長艦と第二号の位置を入れ替えるなんて」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「おとっつぁん……元四班長が、班長艦と第二号の席替えしてるよ……」
ハワード
「そうか……班長艦の操縦士より、第二号の操縦士のほうが腕がいいのか……」
フィリップス
「確かに、〝死んだふり〟できたくらいだからそうなんだろうけど……班長艦の操縦士のプライド、ズタズタだね……」
ハワード
「元四班長のことだから、何の根拠もなくこんなことはしていないだろう。しかし……非情だ」
パラディン
『それでは、三班の計測、開始します! 五、四、三、二、一、ゴー! 頑張ってねー!』
フィリップス
「あ。私情が入った」
ハワード
「タイム計測に入れなければいいさ、もう……」
***
【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】
副長・ウィルスン
「班長艦と第二号を入れ替えても……うわ! さっきの二班より速い!」
八班長・ブロック
「もともと〝移動しながら縦〟はできてた班だから、変形も二班よりスムーズだ!」
ウィルスン
「問題は〝開き〟……二班よりできてる!」
ブロック
「最後の〝縦走り〟は元四班長にさんざんやらされていたから、二班並みにはできるはず……二班より速い!」
ウィルスン
「二班……二班でよかったな……三班の後だったら……はっ!」
ブロック
「四班のタイム、楽しみだねー」
クルーA
「班長の笑顔がどす黒い……!」
***
【パラディン大佐隊・第三班第六号ブリッジ】
副長
「艦長……」
第六号艦長(副班長)・クライン
「うちで計ったタイムは!?」
オペレータ
「は、はい! 五分十二秒六三……です」
ざわつくクルーたち。
クルーA
「え……あの一班と一秒程度しか変わらない……?」
クルーB
「何かの間違いじゃないのか?」
オペレータ
「そりゃ、公式タイムと多少の誤差は出るだろうが、出ても一秒か二秒程度のはずだ!」
パラディン
『三班、お疲れ様! すごいよ! 今まで何してたのっていうくらいすごいよ! タイムは五分十二秒五一! あともう少しで一班を越えられたよ! 二巡目ではぜひ越えてね!』
クルーたち
「公式のほうがタイムがいい!」
副長
「そして、大佐の嫌味と依怙贔屓がひどい!」
クライン
「くそう!」
クライン、艦長席のコンソールを叩く。
一瞬にして静まり返るブリッジ内。
クライン
「これでは……またあの馬鹿が調子に乗る……!」
副長
「艦長……気持ちはわかるが、それはもう諦めよう。ハミルトン艦長が調子に乗りすぎたら、きっとあの班長は極太の釘を刺してくれる」
クルーA
「極太……」
クルーB
「実は、副長も苛立ってる……?」
クルーA
「いや、副長のほうがひどくないか?」
***
【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】
副長・ホフマン
「うちは本番には弱いはずなのに……どうして……!」
エリゴール
「それはもう、うちには〝留守番〟落ちのプレッシャーだけはないからだろ。つまり、いくらタイムが悪かろうが、失うものは何もない」
ホフマン
「……言われてみればそうですね……」
エリゴール
「でもまあ、俺もこんなにいいタイムを叩き出せるとは思わなかった。プライス前班長の見立ては間違ってなかったな」
ホフマン
「見立て?」
エリゴール
「昨日、おまえも聞いていたはずだが。『おまえが班長だったら、この班は二回も連続で〝留守番〟にはならなかった』。……〝死んだふり〟にそう言っていた」
ホフマン
「それは……まさか、だから今回、第二号を班長艦の位置に置いたんですか?」
エリゴール
「まあ、物は試しでな。あと、〝死んだふり〟が班長艦してたら、副班長艦が張りきるだろ」
ホフマン
「張りきる……まあ、そうとも言えますね……」
エリゴール
「とにかく、次の四班には充分すぎるほどプレッシャーはかけられた。あとは二巡目で今と同じくらいのタイムを出せればそれでいい」
ホフマン
「同じくらいでいいんですか?」
エリゴール
「もっといいタイムを出せと言ったら出してくれるのか?」
ホフマン
「……今の班長でしたら、言えば出せると思います」
エリゴール
「俺はおまえらを脅すつもりはないぞ?」
ホフマン
「いえ! そういう意味ではなく!」
通信士
「班長! 第二号から通信が入っています!」
エリゴール
「用件は!」
通信士
「その……班長の一言が欲しいと……」
エリゴール
「『二巡目の計測が終わってから言え』と伝えてくれ」
通信士
「りょ、了解……」
エリゴール
「……二巡目では、二号と副班長艦を入れ替えてやるか」
ホフマン
「班長!?」
操縦士
(くそう! 俺の腕がよければ、入れ替えもされなかったのに……!)
操縦士の横にいるクルー
(……班長、操縦士の入れ替えはしないんだな……)
パラディン
「ついに本日のメインイベント! 三班の初計測だ!」
モルトヴァン
「なるほど……だから今日は最初から、危ないくらいにハイテンションだったんですね……」
パラディン
「だって、楽しみじゃないか! エリゴール中佐が志願して臨時で班長になった班がどんなタイムを出すか! 少なくとも、さっきの二班は越えてほしいよね! できれば一班も!」
モルトヴァン
「そこまで望むのは酷かと。あと、一班がかわいそうです」
パラディン
「とにかく、三班にアナウンスを……うん?」
モルトヴァン
「どうしました?」
パラディン
「いや……きっと何かするだろうとは思っていたが、まさかそう来るとは。まあ、ルール違反ではないから、今は何も言わないでおこうか」
モルトヴァン
「え? また例の第二号が何かしてるんですか?」
パラディン
「ああ。また例の第二号だ。ただし、今回は完全にエリゴール中佐の命令で、だろうね。班長艦のクルーは複雑だろう。もしかしたら、副班長も」
モルトヴァン
「……エリゴール中佐のことですから、事前に検証はしているんでしょうが……本当に思いきりますね」
パラディン
「そうだな。普通の班長だったら、プライドが邪魔してできないだろうな。……班長艦と第二号の位置を入れ替えるなんて」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「おとっつぁん……元四班長が、班長艦と第二号の席替えしてるよ……」
ハワード
「そうか……班長艦の操縦士より、第二号の操縦士のほうが腕がいいのか……」
フィリップス
「確かに、〝死んだふり〟できたくらいだからそうなんだろうけど……班長艦の操縦士のプライド、ズタズタだね……」
ハワード
「元四班長のことだから、何の根拠もなくこんなことはしていないだろう。しかし……非情だ」
パラディン
『それでは、三班の計測、開始します! 五、四、三、二、一、ゴー! 頑張ってねー!』
フィリップス
「あ。私情が入った」
ハワード
「タイム計測に入れなければいいさ、もう……」
***
【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】
副長・ウィルスン
「班長艦と第二号を入れ替えても……うわ! さっきの二班より速い!」
八班長・ブロック
「もともと〝移動しながら縦〟はできてた班だから、変形も二班よりスムーズだ!」
ウィルスン
「問題は〝開き〟……二班よりできてる!」
ブロック
「最後の〝縦走り〟は元四班長にさんざんやらされていたから、二班並みにはできるはず……二班より速い!」
ウィルスン
「二班……二班でよかったな……三班の後だったら……はっ!」
ブロック
「四班のタイム、楽しみだねー」
クルーA
「班長の笑顔がどす黒い……!」
***
【パラディン大佐隊・第三班第六号ブリッジ】
副長
「艦長……」
第六号艦長(副班長)・クライン
「うちで計ったタイムは!?」
オペレータ
「は、はい! 五分十二秒六三……です」
ざわつくクルーたち。
クルーA
「え……あの一班と一秒程度しか変わらない……?」
クルーB
「何かの間違いじゃないのか?」
オペレータ
「そりゃ、公式タイムと多少の誤差は出るだろうが、出ても一秒か二秒程度のはずだ!」
パラディン
『三班、お疲れ様! すごいよ! 今まで何してたのっていうくらいすごいよ! タイムは五分十二秒五一! あともう少しで一班を越えられたよ! 二巡目ではぜひ越えてね!』
クルーたち
「公式のほうがタイムがいい!」
副長
「そして、大佐の嫌味と依怙贔屓がひどい!」
クライン
「くそう!」
クライン、艦長席のコンソールを叩く。
一瞬にして静まり返るブリッジ内。
クライン
「これでは……またあの馬鹿が調子に乗る……!」
副長
「艦長……気持ちはわかるが、それはもう諦めよう。ハミルトン艦長が調子に乗りすぎたら、きっとあの班長は極太の釘を刺してくれる」
クルーA
「極太……」
クルーB
「実は、副長も苛立ってる……?」
クルーA
「いや、副長のほうがひどくないか?」
***
【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】
副長・ホフマン
「うちは本番には弱いはずなのに……どうして……!」
エリゴール
「それはもう、うちには〝留守番〟落ちのプレッシャーだけはないからだろ。つまり、いくらタイムが悪かろうが、失うものは何もない」
ホフマン
「……言われてみればそうですね……」
エリゴール
「でもまあ、俺もこんなにいいタイムを叩き出せるとは思わなかった。プライス前班長の見立ては間違ってなかったな」
ホフマン
「見立て?」
エリゴール
「昨日、おまえも聞いていたはずだが。『おまえが班長だったら、この班は二回も連続で〝留守番〟にはならなかった』。……〝死んだふり〟にそう言っていた」
ホフマン
「それは……まさか、だから今回、第二号を班長艦の位置に置いたんですか?」
エリゴール
「まあ、物は試しでな。あと、〝死んだふり〟が班長艦してたら、副班長艦が張りきるだろ」
ホフマン
「張りきる……まあ、そうとも言えますね……」
エリゴール
「とにかく、次の四班には充分すぎるほどプレッシャーはかけられた。あとは二巡目で今と同じくらいのタイムを出せればそれでいい」
ホフマン
「同じくらいでいいんですか?」
エリゴール
「もっといいタイムを出せと言ったら出してくれるのか?」
ホフマン
「……今の班長でしたら、言えば出せると思います」
エリゴール
「俺はおまえらを脅すつもりはないぞ?」
ホフマン
「いえ! そういう意味ではなく!」
通信士
「班長! 第二号から通信が入っています!」
エリゴール
「用件は!」
通信士
「その……班長の一言が欲しいと……」
エリゴール
「『二巡目の計測が終わってから言え』と伝えてくれ」
通信士
「りょ、了解……」
エリゴール
「……二巡目では、二号と副班長艦を入れ替えてやるか」
ホフマン
「班長!?」
操縦士
(くそう! 俺の腕がよければ、入れ替えもされなかったのに……!)
操縦士の横にいるクルー
(……班長、操縦士の入れ替えはしないんだな……)
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