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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
258【挨拶回りの前後編10】大佐に駄目出しする大佐代行
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【パラディン大佐隊・執務室】
ドレイクが帰った後、メールで執務室に呼び出されたエリゴール。
パラディンは応接セットの一人掛けのソファに座っていて、ローテーブルの上にはクッキー缶が一つだけ置いてある。
エリゴールはソファには座らず、パラディンの傍らに立ったまま、彼の説明を聞いている。
パラディン
「というわけで、ドレイク大佐はこのクッキー缶を置いて、早々に立ち去られたよ。やはり、今日一日で全員と会う予定のようだ」
エリゴール
「クッキー缶……」
パラディン
「私も驚いたが、もらっても気にならないような品をあえて選ばれたのかもしれないね。何にせよ、おいしそうだから一緒に食べよう。ついでに、三班長の話もしようじゃないか」
エリゴール
「ついでですか」
パラディン
「私は彼を慰留する気はまったくないからね。本日十四時、ここで退役届を書くよう通知した」
エリゴール、眉をひそめる。
エリゴール
「退役届?」
パラディン
「ああ。彼の退役希望理由に呆れてね。……見るかい?」
エリゴール
「ぜひ」
モルトヴァン、三班長・プライスのメールをすばやくタブレット型端末に表示し、エリゴールに手渡す。
エリゴール
「……なるほど。これは呆れられても仕方ありませんね。しかし、ここで三班長にさせることを明示したのは悪手です」
パラディン・モルトヴァン
「え?」
エリゴール
「大佐殿のお怒りはごもっともですが、あの班長の性格ですと、十四時を過ぎてもここに来ないかもしれません。最悪、〝エスケープ〟を使われるかも」
パラディン
「自殺!? 望みどおり退役できるのに!?」
エリゴール
「実質、クビでしょうが。大佐殿はただ時間だけを指定して、直接糾弾すればよかったんです。……まったく、余計なことを」
パラディン
「ひい! エリゴール中佐に相談してから返信すればよかった!」
モルトヴァン
「エリゴール中佐に頼りすぎと言いたいところですが激しく同意です!」
エリゴール
「あの班長は小心者ですが、プライドだけは人並み以上にあります。……一言で言ってしまうと、外面のいいアンドラスです」
パラディン
「そう言われると、とてもわかりやすい」
エリゴール
「アンドラスのときは、何も言わずに呼び出したんでしょう? なぜ今回もそうしなかったんですか?」
パラディン
「すみません。面倒くさくて、先に結論を言ってしまいました」
モルトヴァン
「面倒くさかったんだ……」
エリゴール
「こんなことなら、一班長に間に入ってもらえばよかったですね。……まったく、どちらも余計なことを」
パラディン
「ひいい!」
エリゴール
「でもまあ、退役願を出しに行けと言ったのは自分です。どうにかしましょう」
パラディン
「……え?」
エリゴール
「とりあえず、三班長との面談時刻を早めてください。今から自分が迎えに行ってまいります」
ドレイクが帰った後、メールで執務室に呼び出されたエリゴール。
パラディンは応接セットの一人掛けのソファに座っていて、ローテーブルの上にはクッキー缶が一つだけ置いてある。
エリゴールはソファには座らず、パラディンの傍らに立ったまま、彼の説明を聞いている。
パラディン
「というわけで、ドレイク大佐はこのクッキー缶を置いて、早々に立ち去られたよ。やはり、今日一日で全員と会う予定のようだ」
エリゴール
「クッキー缶……」
パラディン
「私も驚いたが、もらっても気にならないような品をあえて選ばれたのかもしれないね。何にせよ、おいしそうだから一緒に食べよう。ついでに、三班長の話もしようじゃないか」
エリゴール
「ついでですか」
パラディン
「私は彼を慰留する気はまったくないからね。本日十四時、ここで退役届を書くよう通知した」
エリゴール、眉をひそめる。
エリゴール
「退役届?」
パラディン
「ああ。彼の退役希望理由に呆れてね。……見るかい?」
エリゴール
「ぜひ」
モルトヴァン、三班長・プライスのメールをすばやくタブレット型端末に表示し、エリゴールに手渡す。
エリゴール
「……なるほど。これは呆れられても仕方ありませんね。しかし、ここで三班長にさせることを明示したのは悪手です」
パラディン・モルトヴァン
「え?」
エリゴール
「大佐殿のお怒りはごもっともですが、あの班長の性格ですと、十四時を過ぎてもここに来ないかもしれません。最悪、〝エスケープ〟を使われるかも」
パラディン
「自殺!? 望みどおり退役できるのに!?」
エリゴール
「実質、クビでしょうが。大佐殿はただ時間だけを指定して、直接糾弾すればよかったんです。……まったく、余計なことを」
パラディン
「ひい! エリゴール中佐に相談してから返信すればよかった!」
モルトヴァン
「エリゴール中佐に頼りすぎと言いたいところですが激しく同意です!」
エリゴール
「あの班長は小心者ですが、プライドだけは人並み以上にあります。……一言で言ってしまうと、外面のいいアンドラスです」
パラディン
「そう言われると、とてもわかりやすい」
エリゴール
「アンドラスのときは、何も言わずに呼び出したんでしょう? なぜ今回もそうしなかったんですか?」
パラディン
「すみません。面倒くさくて、先に結論を言ってしまいました」
モルトヴァン
「面倒くさかったんだ……」
エリゴール
「こんなことなら、一班長に間に入ってもらえばよかったですね。……まったく、どちらも余計なことを」
パラディン
「ひいい!」
エリゴール
「でもまあ、退役願を出しに行けと言ったのは自分です。どうにかしましょう」
パラディン
「……え?」
エリゴール
「とりあえず、三班長との面談時刻を早めてください。今から自分が迎えに行ってまいります」
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