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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
239【交換ついでに合同演習編144】合同演習二日目:十一班第一号の想像
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【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
レラージュ
「この画像なら、班長でも一目瞭然でしょう。……〈オートクレール〉の右舷。四時の方向に〝墓場〟がいます。〈オートクレール〉は船尾にだけシールドを張っていましたから、ルート予測ができていれば当てられます」
ロノウェ
「うわ、こんなところに! おまけに、俺らよりも〈オートクレール〉に近え!」
レラージュ
「俺も調べてから驚きました。でも、うちだけでなく、〈オートクレール〉もまったく気にしていなかったでしょう。時間短縮のため、元四班長は〝墓場〟行きになった軍艦を粛々と帰投させていますから」
ロノウェ
「あー、そういやそうだったな。……え? ってことは?」
レラージュ
「今日の演習で、最も早く退場になったのは〝切りこみ組〟です。つまり、俺らが〈オートクレール〉を追いかけている間、退場になった〝切りこみ組〟は、複数の〝墓場〟を作って、基地へと向かっていました。俺らの邪魔にならないよう全速力で」
ロノウェ
「にしても、速すぎねえか?」
レラージュ
「〝墓場〟の移動を邪魔するものは何もありませんから。ついでに、まだ被弾していない軍艦が〝墓場〟に行ってはいけないというルールもありません。まあ、今後は間違いなく禁止されるでしょうが」
ロノウェ
「それはそうだな。でも、ほんとにエリゴールが命令したのか? あいつらが勝手にやったんじゃなくて?」
レラージュ
「〝砲撃隊〟にこんな悪知恵は働かないでしょう」
ロノウェ
「悪知恵……まあ、そうなるか」
レラージュ
「想像ですが、元四班長は、〝切りこみ組〟がほとんど全滅したという報告を受けた時点で、生き残っていた軍艦に退場になったふりをするよう命じたのだと思います。しかし、生き残った軍艦をどうやって把握したのか……うち以外の班長艦に通信を入れたんでしょうか?」
ロノウェ
「たぶん、そうだろうな。でも、通信入れたのは三班だけじゃねえのか?」
レラージュ
「どうしてですか?」
ロノウェ
「どうしてって……あいつ、一日三班長やったことあるじゃねえか。訓練んときも手足みてえに使ってた」
レラージュ
「言われてみれば確かに。もしかしたら、どの軍艦が生き残りそうかもわかっていたかもしれませんね」
ロノウェ
「だから、〈オートクレール〉撃ったのも三班だと思うんだが……どの軍艦が撃ったかまではわからねえなあ……」
レラージュ
「それはたぶん、大佐が教えてくれるでしょう。では、うちも粛々と帰投しましょうか」
ロノウェ
「いや、うちは〝墓場〟に行ってねえんだから、大佐が何か言うまで待ってやれよ」
レラージュ
「早く帰りたいのに……」
ロノウェ
「あんだけ撃ちたがってたくせに、ずいぶんあっさりしてるな。エリゴールに出し抜かれて悔しくはねえのか?」
レラージュ
「まあ、まったく悔しくないと言ったら嘘になりますが、今日のうちは『連合』ですからね。どんな手段を使おうが、〈フラガラック〉に一発でも当てられたら万々歳です」
ロノウェ
「……殿下、今日の演習見てたかね……」
レラージュ
「今日に限っては、見てないことを祈ります」
ロノウェ
「そだな」
レラージュ
「この画像なら、班長でも一目瞭然でしょう。……〈オートクレール〉の右舷。四時の方向に〝墓場〟がいます。〈オートクレール〉は船尾にだけシールドを張っていましたから、ルート予測ができていれば当てられます」
ロノウェ
「うわ、こんなところに! おまけに、俺らよりも〈オートクレール〉に近え!」
レラージュ
「俺も調べてから驚きました。でも、うちだけでなく、〈オートクレール〉もまったく気にしていなかったでしょう。時間短縮のため、元四班長は〝墓場〟行きになった軍艦を粛々と帰投させていますから」
ロノウェ
「あー、そういやそうだったな。……え? ってことは?」
レラージュ
「今日の演習で、最も早く退場になったのは〝切りこみ組〟です。つまり、俺らが〈オートクレール〉を追いかけている間、退場になった〝切りこみ組〟は、複数の〝墓場〟を作って、基地へと向かっていました。俺らの邪魔にならないよう全速力で」
ロノウェ
「にしても、速すぎねえか?」
レラージュ
「〝墓場〟の移動を邪魔するものは何もありませんから。ついでに、まだ被弾していない軍艦が〝墓場〟に行ってはいけないというルールもありません。まあ、今後は間違いなく禁止されるでしょうが」
ロノウェ
「それはそうだな。でも、ほんとにエリゴールが命令したのか? あいつらが勝手にやったんじゃなくて?」
レラージュ
「〝砲撃隊〟にこんな悪知恵は働かないでしょう」
ロノウェ
「悪知恵……まあ、そうなるか」
レラージュ
「想像ですが、元四班長は、〝切りこみ組〟がほとんど全滅したという報告を受けた時点で、生き残っていた軍艦に退場になったふりをするよう命じたのだと思います。しかし、生き残った軍艦をどうやって把握したのか……うち以外の班長艦に通信を入れたんでしょうか?」
ロノウェ
「たぶん、そうだろうな。でも、通信入れたのは三班だけじゃねえのか?」
レラージュ
「どうしてですか?」
ロノウェ
「どうしてって……あいつ、一日三班長やったことあるじゃねえか。訓練んときも手足みてえに使ってた」
レラージュ
「言われてみれば確かに。もしかしたら、どの軍艦が生き残りそうかもわかっていたかもしれませんね」
ロノウェ
「だから、〈オートクレール〉撃ったのも三班だと思うんだが……どの軍艦が撃ったかまではわからねえなあ……」
レラージュ
「それはたぶん、大佐が教えてくれるでしょう。では、うちも粛々と帰投しましょうか」
ロノウェ
「いや、うちは〝墓場〟に行ってねえんだから、大佐が何か言うまで待ってやれよ」
レラージュ
「早く帰りたいのに……」
ロノウェ
「あんだけ撃ちたがってたくせに、ずいぶんあっさりしてるな。エリゴールに出し抜かれて悔しくはねえのか?」
レラージュ
「まあ、まったく悔しくないと言ったら嘘になりますが、今日のうちは『連合』ですからね。どんな手段を使おうが、〈フラガラック〉に一発でも当てられたら万々歳です」
ロノウェ
「……殿下、今日の演習見てたかね……」
レラージュ
「今日に限っては、見てないことを祈ります」
ロノウェ
「そだな」
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