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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
224【交換ついでに合同演習編129】合同演習二日目:〝大好き〟の定義
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【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】
ザボエス
「おや。一班の〝頭〟が分離したぞ」
ヴァッサゴ
「班長隊のほうだな。いったい何事だ?」
ザボエス
「うーん。たぶん、この妙ちきりんな〝魚〟の群れを外から眺めに行ったんじゃねえかな。ついでに撮影もするつもりかもしれねえ」
ヴァッサゴ
「そんなことさせそうなのは、おまえの大好きなフィリップス副長だな」
ザボエス
「まあ、まず間違いねえな。今頃、腹抱えて大笑いしてそうだ。……いいな、エリゴール」
ヴァッサゴ
「……自然にスルーしたな」
ザボエス
「何を?」
ヴァッサゴ
「〝おまえの大好きなフィリップス副長〟」
ザボエス
「事実だし」
ヴァッサゴ
「真顔で認めた!」
ザボエス
「何か問題でも?」
ヴァッサゴ
「問題でもって……おまえのその〝大好きな〟は、いったいどういう種類の〝大好きな〟なんだ?」
ザボエス
「どういう種類?」
ヴァッサゴ
「つまり……恋人にしたいとか、そういう種類の〝大好きな〟じゃないよな?」
ザボエス
「ああ、それは違うな」
ヴァッサゴ
「よかった!」
ザボエス
「できれば同じ軍艦に乗って、生で罵られたい……」
ヴァッサゴ
「よくなかった……!」
ザボエス
「一班、おまえじゃ絶対フィリップス副長と交換してくれねえもんな。枯葉と札束交換してくれって言ってるようなもんだ」
ヴァッサゴ
「ひでえこと言うな! そのとおりだけども!」
ザボエス
「まあ、今のところは現状維持でいいさ。下手に気に入られると、罵ってもらえなくなるからな」
ヴァッサゴ
「……普通、気に入られて褒められたほうが嬉しくないか……?」
ザボエス
「褒め言葉は罵り言葉よりバリエーション少ねえんだよ」
ヴァッサゴ
「……言われてみれば確かに……」
ザボエス
「ちなみに、今の気に入りは、『それらしい理由くっつけてぴったり横にくっつけんな!』だ」
ヴァッサゴ
「また録音してたのか! つーか、どこに何くっつけてたんだよ!」
ザボエス
「ただの紙きれ同士だ。万が一、俺が直接フィリップス副長に触れてみろ。本人より先にエリゴールに殴られる」
ヴァッサゴ
「エリゴール……!」
ザボエス
「エリゴールもフィリップス副長が〝大好き〟だからな。昨日もこれ以上フィリップス副長の神経逆撫でするようなことしたら、元パラディン大佐隊に転属させてやると本気で脅された」
ヴァッサゴ
「コールタン大佐隊じゃなく、元パラディン大佐隊っていうところがエリゴールだな……」
ザボエス
「ああ。あそこなら、その気になればいつでも俺を転属させられる」
ヴァッサゴ
「一応〝平〟なのに、権力ありすぎ……」
ザボエス
「今はこの隊で、絶対敵に回してはいけない男ナンバー1だ」
ヴァッサゴ
「参考までに、ナンバー2は?」
ザボエス
「フィリップス副長だろ。フィリップス副長に〝命令〟されたら、一班長もエリゴールも、しょうがねえなと言いながら言うとおりにする」
ヴァッサゴ
「それなら、フィリップス副長のほうがナンバー1じゃないか?」
ザボエス
「まあ、そうだな。エリゴールに気に入られてる分、レラージュよりも影響力強えしな。そのレラージュも、フィリップス副長個人には不思議と敵対心は持ってねえ」
ヴァッサゴ
「……おまえといいエリゴールといい、フィリップス副長のどこがそんなにいいのかわからない……」
ザボエス
「おまえはわからなくていい。ライバルは一人でも少ねえほうがいい」
ヴァッサゴ
「俺もその中に加わりたくない……」
ザボエス
「おや。一班の〝頭〟が分離したぞ」
ヴァッサゴ
「班長隊のほうだな。いったい何事だ?」
ザボエス
「うーん。たぶん、この妙ちきりんな〝魚〟の群れを外から眺めに行ったんじゃねえかな。ついでに撮影もするつもりかもしれねえ」
ヴァッサゴ
「そんなことさせそうなのは、おまえの大好きなフィリップス副長だな」
ザボエス
「まあ、まず間違いねえな。今頃、腹抱えて大笑いしてそうだ。……いいな、エリゴール」
ヴァッサゴ
「……自然にスルーしたな」
ザボエス
「何を?」
ヴァッサゴ
「〝おまえの大好きなフィリップス副長〟」
ザボエス
「事実だし」
ヴァッサゴ
「真顔で認めた!」
ザボエス
「何か問題でも?」
ヴァッサゴ
「問題でもって……おまえのその〝大好きな〟は、いったいどういう種類の〝大好きな〟なんだ?」
ザボエス
「どういう種類?」
ヴァッサゴ
「つまり……恋人にしたいとか、そういう種類の〝大好きな〟じゃないよな?」
ザボエス
「ああ、それは違うな」
ヴァッサゴ
「よかった!」
ザボエス
「できれば同じ軍艦に乗って、生で罵られたい……」
ヴァッサゴ
「よくなかった……!」
ザボエス
「一班、おまえじゃ絶対フィリップス副長と交換してくれねえもんな。枯葉と札束交換してくれって言ってるようなもんだ」
ヴァッサゴ
「ひでえこと言うな! そのとおりだけども!」
ザボエス
「まあ、今のところは現状維持でいいさ。下手に気に入られると、罵ってもらえなくなるからな」
ヴァッサゴ
「……普通、気に入られて褒められたほうが嬉しくないか……?」
ザボエス
「褒め言葉は罵り言葉よりバリエーション少ねえんだよ」
ヴァッサゴ
「……言われてみれば確かに……」
ザボエス
「ちなみに、今の気に入りは、『それらしい理由くっつけてぴったり横にくっつけんな!』だ」
ヴァッサゴ
「また録音してたのか! つーか、どこに何くっつけてたんだよ!」
ザボエス
「ただの紙きれ同士だ。万が一、俺が直接フィリップス副長に触れてみろ。本人より先にエリゴールに殴られる」
ヴァッサゴ
「エリゴール……!」
ザボエス
「エリゴールもフィリップス副長が〝大好き〟だからな。昨日もこれ以上フィリップス副長の神経逆撫でするようなことしたら、元パラディン大佐隊に転属させてやると本気で脅された」
ヴァッサゴ
「コールタン大佐隊じゃなく、元パラディン大佐隊っていうところがエリゴールだな……」
ザボエス
「ああ。あそこなら、その気になればいつでも俺を転属させられる」
ヴァッサゴ
「一応〝平〟なのに、権力ありすぎ……」
ザボエス
「今はこの隊で、絶対敵に回してはいけない男ナンバー1だ」
ヴァッサゴ
「参考までに、ナンバー2は?」
ザボエス
「フィリップス副長だろ。フィリップス副長に〝命令〟されたら、一班長もエリゴールも、しょうがねえなと言いながら言うとおりにする」
ヴァッサゴ
「それなら、フィリップス副長のほうがナンバー1じゃないか?」
ザボエス
「まあ、そうだな。エリゴールに気に入られてる分、レラージュよりも影響力強えしな。そのレラージュも、フィリップス副長個人には不思議と敵対心は持ってねえ」
ヴァッサゴ
「……おまえといいエリゴールといい、フィリップス副長のどこがそんなにいいのかわからない……」
ザボエス
「おまえはわからなくていい。ライバルは一人でも少ねえほうがいい」
ヴァッサゴ
「俺もその中に加わりたくない……」
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