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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

211【交換ついでに合同演習編116】合同演習一日目:背面撃ち組の場合

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【パラディン大佐隊・ミーティング室(左側)】

フィリップス
「くそう! 俺はただ、早くこの会議を終わらせたかっただけなのに……!」

エリゴール
「だから、早く終わらせられるように〝丸投げ〟してやっただろ。ここでも仕切れ」

フィリップス
「仕切れって言われてもな……とりあえず、俺たちの仕事は〝ライト〟にかわされたコールタン大佐隊を〝背面撃ち〟することだが、そのコールタン大佐隊に逆に〝背面撃ち〟されるのがいちばん怖い。たぶん、十一班は最後まで生き残ると思うが、仮に〝ライト〟が全滅させられたら、今度は俺たちが〝切りこみ組〟にならなくちゃならない。でも、その前に俺たちが〝背面撃ち〟で全滅してたらなりたくてもなりようがない。そのためにも、そんな事態が起こりにくいように隊列を組みたいんだが……」

五班長・ロング
「〝背面撃ち〟されにくい隊列ねえ……ようするに、コールタン大佐隊に後ろに回りこまれないようにしたいってことだよな。……後ろに回りこまれる前に、一班が全部撃ち落とす」

フィリップス
「五班長まで〝丸投げ〟か」

八班長・ブロック
「……俺、思ったんですけど」

フィリップス
「来た、〝無旋回〟!」

八班長・ブロック
「俺、最初からここにいましたよ。……〝ライト〟にかわされたコールタン大佐隊は、すぐには反転できないですよね? それなら、反転される前に〝側面撃ち〟していったらどうでしょう?」

フィリップス
「……え? つまり、どういうこと?」

八班長・ブロック
「俺たちは〝ライト〟の後ろにはいますが、基本、中央をあけて進みます。〝ライト〟にかわされたコールタン大佐隊が出たら、その都度、〝側面撃ち〟していきます」

フィリップス
「〝無旋回〟、ちょっと待て。俺たち、明日は〝魚〟だぞ? いったいどう並んで前進して〝側面撃ち〟するんだ?」

八班長・ブロック
「ええと……何か棒状のもの、六本ありますか? できたら十二本あったらいいんですけど……」

フィリップス
「棒?」

エリゴール
「各自、ペンの一本くらい持ち歩いていないのか?」

八班長・ブロック
「あ、そうか。じゃあ、俺の一本」

フィリップス
「なら、俺は残りの五本」

二班長・キャンベル
「フィリップス副長だけで五本!?」

一班長・ハワード
「何でそんなに持ってるんだ!?」

フィリップス
「インク切れが嫌で……テヘ」

一班長・ハワード
「それほど嫌か!」

エリゴール
「事務の鑑だな」

八班長・ブロック
「とにかく、今だけお借りします。……このペン一本が〝魚〟で、ペン先が頭とします。これを三・三で並べます」

フィリップス
「え……まさかの〝魚〟横向きで縦列隊形!?」

五班長・ロング
「これでどうやって前進するんだよ!?」

八班長・ブロック
「普通の護衛隊形のように。〝側面撃ち〟しにいくときは、艦首旋回します」

フィリップス
「あっさり言うが、ほんとにそんなことできると思ってんのか?」

八班長・ブロック
「さあ……」

十班長・ヒールド
「さあって何だよ、さあって」

八班長・ブロック
「とりあえず、これなら〝背面撃ち〟されるリスクは減らせるかと」

フィリップス
「コールタン大佐隊の旋回が早いか、うちの旋回が早いかだな。でも、〝ライト〟にかわされたコールタン大佐隊が、今度はうちを狙って逆に〝側面撃ち〟してくる可能性もあるぞ?」

八班長・ブロック
「そのときには、最後尾の〝魚〟に〝側面撃ち〟してもらいます」

フィリップス
「うーん……面白いとは思うが、明日の〝絶対に負けられない戦い〟でこれをするのは、さすがにちょっと……」

エリゴール
「いいんじゃないか?」

フィリップス
「元四班長! これはいいのか!?」

エリゴール
「これでうまく行かなかったら、ただの横列隊形にすればいい。ただし、最後尾の二班は〝魚〟のままコールタン大佐隊を全部撃ち落とす」

フィリップス
「何か、すっごく嫌な予感……」

五班長・ロング
「それなら、当然その最後尾は、一班と十二班だな」

フィリップス
「ぎゃあ、やっぱり!」

十二班長・ザボエス
「そうだな。それがいちばん妥当だな」

フィリップス
「自分で言うな、十二班!」

二班長・キャンベル
「じゃあ、並び順は、一昨日チーム分けしたときの並び順で、一班と十二班だけそのまま最後尾に持っていけばいいでしょうか? つまり……左は前から十班・〝無旋回〟・一班、右は前から五班・うち・十二班」

五班長・ロング
「それでいいんじゃないか? 一班と十二班さえ最後尾にいれば、あとは正直、どうでもいいだろ」

一班長・ハワード
「どうでもいいことはないと思うが……かといって、絶対こうじゃなきゃいけないっていうのも特にないな」

エリゴール
「よし、ならこれで決まり。明日、〝魚〟の横向き移動、練習しながら演習区域に行くぞ」

フィリップス
「横向き移動……〝横泳ぎ〟?」

一班長・ハワード
「〝横縦ぐるり〟といい〝縦走り〟といい……本当におまえのネーミングは〝ストレート〟だな……」

フィリップス
「おとっつぁんの〝開脚屈伸〟よりましだ。〝縦走り〟はいつのまにか定着してたぞ」

エリゴール
「そういえば、何となく」

十班長・ヒールド
「冷静に考えると変だなと思いつつ、何となく」

フィリップス
「だったらこれも〝横泳ぎ〟でいいだろ! 中央に〝頭〟向けて〝横泳ぎ〟で前進!」

一班長・ハワード
「もはや暗号文のようだな」

フィリップス
「それでは、カード並べ替え……うわっ、〝ライト〟が六班横一列になってる!」

一班長・ハワード
「今度は〝ライト〟がうちをパクったか?」

フィリップス
「パクったって言うか……やけっぱち?」
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