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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
181【交換ついでに合同演習編86】訓練二日目:十一班一号待機室の横暴
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【パラディン大佐隊・第十一班第一号待機室】
ロノウェ
「おーす」
班員たち
「うぃーす」
レラージュ
「え、もう班長会議終わったんですか? 今日はえらく早くないですか?」
ロノウェ
「細かい打ち合わせは一昨日もう済ませたからだってよ。結局、今日いちばん長くやってたのは、メモリカード交換だな」
レラージュ
「メモリカード交換?」
ロノウェ
「エリゴールの奴、何考えてんだか、メモリカード受け渡しするのに、テーブルの上滑らせろって言い出しやがってな。仕方ないからみんなしてメモリカード滑らせてた」
レラージュ
「そんな馬鹿なこと……どうして誰も逆らわないんですか」
ロノウェ
「あの場であの男に逆らえる奴は一人もいねえ。俺は一枚だけしか滑らせられなくて残念だった」
レラージュ
「なら、六班長にコピーの件、頼んできてくれたんですね」
ロノウェ
「ああ。でも、向こうも今日、あのときの映像手に入れたばかりだから、二、三日中には無理だと思うぞ」
レラージュ
「それはわかってます。早急に欲しいものでもありませんから」
ロノウェ
「そのかわり、こっちはメモリカードずいぶんもらった。これが『パラディン大佐隊〈オートクレール〉の恐怖!』で、エリゴールが絶対に見とけって言ってた。〝本当に〈オートクレール〉が恐ろしい〟そうだ」
レラージュ
「六班が撮ったという、あの演習のときの映像ですか?」
ロノウェ
「ああ。あとこれみんな、今日の分の映像。六班長がテーブルの上滑らせて寄こしてきた」
レラージュ
「……本当に、元四班長は何を考えて……」
ロノウェ
「まあ、楽しかったけどな」
レラージュ
「とりあえず、その『〈オートクレール〉の恐怖』とやらを見てみましょうか」
ロノウェ
「あ、あと〝飴ちゃん〟五個!」
レラージュ
「俺はこんなのどうでもいいですけど。……〝飴ちゃん〟管理班!」
班員(管理班)
「はい、副長!」
レラージュ
「五個追加だ。厳重に保管しておけ」
班員(管理班)
「了解しました、副長!」
ロノウェ
「いつのまにそんな班を……」
レラージュ
「もし万が一〝飴ちゃん〟が紛失したら、あいつらのせいにできますから」
ロノウェ
「相変わらず悪魔……」
レラージュ
「……なるほど。あのとき、隣から撮ってたんですね」
ロノウェ
「確かに恐ろしい……」
レラージュ
「実戦のときのほうがもっと恐ろしかったと思いますけど」
ロノウェ
「いくら演習でも、味方を容赦なく撃ってるとこがいちばん恐ろしいんだよ。……ちゃんとカット割りもしてあるんだな。まるで記録映画みてえだ」
レラージュ
「変形マニアなだけではなかったんですね」
ロノウェ
「自称撮影班らしい」
レラージュ
「では、今日のタイム計測のときの映像も見てみます。……〝移動しながら縦〟のほうを」
班員A
「……おおう、かっこいい!」
班員B
「ほんとだ、SF映画みてえ!」
班員C
「でも、俺らはここの配置じゃねえんだよなあ、残念!」
ロノウェ
「……これ、明らかに編集してあるよな?」
レラージュ
「してますね。元四班長は編集しなくていいって言ってましたけどね」
ロノウェ
「撮影班の意地か」
レラージュ
「比較のため、今度は〝移動しながら縦〟のエキシビションの映像を見てみます」
班員A
「……一応、撮れてはいるが物足りなさが……」
班員B
「何というか、素人くさい」
班員C
「そりゃ、素人なんだからしょうがねえだろ」
レラージュ
「……十班の他にこれを撮った班はいないんですか」
ロノウェ
「いないことはないと思うが……不満なのか?」
レラージュ
「班長は不満じゃないんですか?」
ロノウェ
「まあ……実戦で〝移動しながら縦〟で配置につくことはねえだろうから、もっとかっこよく撮ってほしかったなとは思うが……」
レラージュ
「六班以外にもう一つ撮影班が必要ですね」
ロノウェ
「おまえ、〝移動しながら縦〟のこと、馬鹿にしてたくせに……」
レラージュ
「そういえば、六班が撮った〝最初から縦〟のエキシビションの映像はないんですか?」
ロノウェ
「ああ、それは一班・二班・四班・五班にしか配られなかった」
レラージュ
「……もらってきてください」
ロノウェ
「え、どこから?」
レラージュ
「六班からと言いたいところですが、あそこは今、編集作業に追われていそうなので、一班に確認の電話を入れてから、これにコピーしてもらってきてください」
ロノウェ
「今からか!」
レラージュ
「今ならまだいそうです!」
ロノウェ
「おまえ、自分で行けよ!」
レラージュ
「一介の副長が一班長と直接交渉はできません」
ロノウェ
「よく言うなあ……」
レラージュ
「俺の代わりに対外交渉する。それが班長の存在意義です」
ロノウェ
「普通、逆じゃあ……」
レラージュ
「よそはよそ、うちはうちです」
ロノウェ
「おーす」
班員たち
「うぃーす」
レラージュ
「え、もう班長会議終わったんですか? 今日はえらく早くないですか?」
ロノウェ
「細かい打ち合わせは一昨日もう済ませたからだってよ。結局、今日いちばん長くやってたのは、メモリカード交換だな」
レラージュ
「メモリカード交換?」
ロノウェ
「エリゴールの奴、何考えてんだか、メモリカード受け渡しするのに、テーブルの上滑らせろって言い出しやがってな。仕方ないからみんなしてメモリカード滑らせてた」
レラージュ
「そんな馬鹿なこと……どうして誰も逆らわないんですか」
ロノウェ
「あの場であの男に逆らえる奴は一人もいねえ。俺は一枚だけしか滑らせられなくて残念だった」
レラージュ
「なら、六班長にコピーの件、頼んできてくれたんですね」
ロノウェ
「ああ。でも、向こうも今日、あのときの映像手に入れたばかりだから、二、三日中には無理だと思うぞ」
レラージュ
「それはわかってます。早急に欲しいものでもありませんから」
ロノウェ
「そのかわり、こっちはメモリカードずいぶんもらった。これが『パラディン大佐隊〈オートクレール〉の恐怖!』で、エリゴールが絶対に見とけって言ってた。〝本当に〈オートクレール〉が恐ろしい〟そうだ」
レラージュ
「六班が撮ったという、あの演習のときの映像ですか?」
ロノウェ
「ああ。あとこれみんな、今日の分の映像。六班長がテーブルの上滑らせて寄こしてきた」
レラージュ
「……本当に、元四班長は何を考えて……」
ロノウェ
「まあ、楽しかったけどな」
レラージュ
「とりあえず、その『〈オートクレール〉の恐怖』とやらを見てみましょうか」
ロノウェ
「あ、あと〝飴ちゃん〟五個!」
レラージュ
「俺はこんなのどうでもいいですけど。……〝飴ちゃん〟管理班!」
班員(管理班)
「はい、副長!」
レラージュ
「五個追加だ。厳重に保管しておけ」
班員(管理班)
「了解しました、副長!」
ロノウェ
「いつのまにそんな班を……」
レラージュ
「もし万が一〝飴ちゃん〟が紛失したら、あいつらのせいにできますから」
ロノウェ
「相変わらず悪魔……」
レラージュ
「……なるほど。あのとき、隣から撮ってたんですね」
ロノウェ
「確かに恐ろしい……」
レラージュ
「実戦のときのほうがもっと恐ろしかったと思いますけど」
ロノウェ
「いくら演習でも、味方を容赦なく撃ってるとこがいちばん恐ろしいんだよ。……ちゃんとカット割りもしてあるんだな。まるで記録映画みてえだ」
レラージュ
「変形マニアなだけではなかったんですね」
ロノウェ
「自称撮影班らしい」
レラージュ
「では、今日のタイム計測のときの映像も見てみます。……〝移動しながら縦〟のほうを」
班員A
「……おおう、かっこいい!」
班員B
「ほんとだ、SF映画みてえ!」
班員C
「でも、俺らはここの配置じゃねえんだよなあ、残念!」
ロノウェ
「……これ、明らかに編集してあるよな?」
レラージュ
「してますね。元四班長は編集しなくていいって言ってましたけどね」
ロノウェ
「撮影班の意地か」
レラージュ
「比較のため、今度は〝移動しながら縦〟のエキシビションの映像を見てみます」
班員A
「……一応、撮れてはいるが物足りなさが……」
班員B
「何というか、素人くさい」
班員C
「そりゃ、素人なんだからしょうがねえだろ」
レラージュ
「……十班の他にこれを撮った班はいないんですか」
ロノウェ
「いないことはないと思うが……不満なのか?」
レラージュ
「班長は不満じゃないんですか?」
ロノウェ
「まあ……実戦で〝移動しながら縦〟で配置につくことはねえだろうから、もっとかっこよく撮ってほしかったなとは思うが……」
レラージュ
「六班以外にもう一つ撮影班が必要ですね」
ロノウェ
「おまえ、〝移動しながら縦〟のこと、馬鹿にしてたくせに……」
レラージュ
「そういえば、六班が撮った〝最初から縦〟のエキシビションの映像はないんですか?」
ロノウェ
「ああ、それは一班・二班・四班・五班にしか配られなかった」
レラージュ
「……もらってきてください」
ロノウェ
「え、どこから?」
レラージュ
「六班からと言いたいところですが、あそこは今、編集作業に追われていそうなので、一班に確認の電話を入れてから、これにコピーしてもらってきてください」
ロノウェ
「今からか!」
レラージュ
「今ならまだいそうです!」
ロノウェ
「おまえ、自分で行けよ!」
レラージュ
「一介の副長が一班長と直接交渉はできません」
ロノウェ
「よく言うなあ……」
レラージュ
「俺の代わりに対外交渉する。それが班長の存在意義です」
ロノウェ
「普通、逆じゃあ……」
レラージュ
「よそはよそ、うちはうちです」
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