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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

169【交換ついでに合同演習編74】訓練二日目:戦う半身様

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【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】

クルーA
「班長! 一班の班長隊が……通りすぎました!」

六班長・ラムレイ
「何!?」

クルーA
「この後方にはまだ四班がいます。おそらく、四班を先に潰しにいったのではないでしょうか」

ラムレイ
「このタイミングで四班? 〝魚〟が〝砲撃隊〟を〝全艦殲滅〟しようとしてるのか?」

クルーA
「どうしますか? 四班を助けにいきますか?」

ラムレイ
「……四班長、すみません。この訓練が終わったら〝縦走り〟を自主練してください」

クルーA
「班長!? 見捨てるんですか!?」

ラムレイ
「四班は〝移動しながら縦〟もできないし……」

クルーB
「ひどっ! ある意味、元四班長よりひどっ!」

副長
「〝変形〟差別!」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

一班副班長
『班長! いったいどこに行くんですか!?』

フィリップス
「そんなことより! 今、六班の注意が十班からそれてるだろ? 三班の〝元四班長撃ち〟を中止して、十班と一緒に高速離脱しろ!」

一班副班長
『はい?』

フィリップス
「いいから早く! 十班! うちの副班長隊と一緒に離脱して、二班、五班と合流しろ! 絶対に六班につかまるんじゃないぞ! いいな!」

十班長・ヒールド
『りょ、了解!』

 ***

【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】

クルーA
「班長! 一班の副班長隊と十班が高速離脱しました!」

ラムレイ
「何!? うちが揉めてる隙に何て卑怯な!」

クルーB
「そんなのは向こうの知ったことじゃないでしょ」

クルーA
「どうします!?」

ラムレイ
「副班長隊に追わせろ! 俺たちはここで一班の班長隊が戻ってくるのを待つ! 一班の班長隊だけには〝先生〟を追わせるわけにはいかない!」

クルーたち
「了解!」

 ***

【パラディン大佐隊・第四班第一号ブリッジ】

クルーA
「班長! 前方から〝半身〟が高速で向かってきます!」

ワンドレイ
「何!? どこの〝半身〟だ!?」

クルーA
「一班……それも班長隊です!」

ワンドレイ
「どうして引き返してきた? 〝魚〟が〝砲撃隊〟を〝全艦殲滅〟する必要はないだろ?」

副長
「そのはずですが……迎撃しますか?」

ワンドレイ
「もちろんだ! 前半も後半も〝魚〟役のほうが勝っている!」

クルーA
「……駄目だ! 当たらない!」

クルーB
「やっぱり〝魚〟には〝卑怯撃ち〟しかないのか!」

ワンドレイ
「……え? 通りすぎた?」

副長
「ということは……?」

クルーA
「班長! 一班が旋回して、またこっちに向かってきます!」

副長
「わざわざ折り返して〝卑怯撃ち〟!」

ワンドレイ
「ああ、三班を追い越して終わりたかった……!」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「こちら一班の班長隊! 今、四班を〝元四班長撃ち〟で全滅させた! まだ十一班には追いつけないか! どうぞ!」

八班長・ブロック
『こちら八班! 捉えてはいるんですが、どうしても射程圏内まで入れません!』

フィリップス
「二隻でも追いつけないのか!? どんだけ速いんだ、その〝ロールケーキ〟!」

五班長・ロング
『たぶん、護衛艦隊最速。……こちら五班、〝無旋回〟すらまだ確認できてない……』

二班長・キャンベル
『こちら二班。五班に同じ』

十班長・ヒールド
『こちら十班! やっと二班と五班を確認できましたが、後ろから六班の半分が……!』

五班長・ロング
『うわ! そんなもの連れてくるな! どっか捨ててこい!』

フィリップス
「捨て犬じゃないんだから。……副班長隊、旋回して斜め後方から六班二分の一を〝元四班長撃ち〟しろ!」

一班副班長
『さっきの七班みたいにですね! 了解!』

五班長・ロング
『斜め後方?』

フィリップス
「〝魚〟は真後ろから撃ったほうが当たるけど、〝ロールケーキ〟は斜め後ろから撃っていったほうが、効率よく当てていけるんだよ」

五班長・ロング
『ほう、そうか。今度試してみよう。……いつになるかわからんが』

一班副班長
『フィリップス副長! 六班二分の一、全滅できました! こちらの被害はゼロです!』

フィリップス
「よくやった! ……十班! 六班二分の一は全滅したそうだ!」

十班長・ヒールド
『何から何までありがとうございます……』

フィリップス
「後はさっさと十一班に追いついて全滅させろ」

五班長・ロング
『簡単に言うな……ところで、残りの六班と三班は今どうなってるんだ?』

フィリップス
「三班はたぶん〝縦走り〟の練習つづけてると思う。六班二分の一たぶん班長隊は、四班を全滅させた俺たちが戻ってくるのを待ってるはずだ」

五班長・ロング
『は?』

フィリップス
「秘技〝待ちぼうけ〟。……六班長はこっちに来るかな。それともそっちに行くかな」

五班長・ロング
『絶対こっちには来させるな!』
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