寂しいからそばにいて（仮）【『無冠の皇帝』スピンオフ】

砲撃のパラディン大佐隊編（【05】の裏）

161【交換ついでに合同演習編66】訓練二日目：今日だけ三班長の恐怖

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

十二班長・ザボエス
『一班長！　最悪の展開だ！　十一班に逃げられた！』

ハワード
「何!?」

十二班長・ザボエス
『六班だ！　六班が一班を横撃ちして、十一班を逃がした！　六班は全滅させたから、今からうちもそっちに向かう！』

フィリップス
「了解……っていうか、早く十一班どうにかして！」

十二班長・ザボエス
『もう十班がそっちに向かってる！　十班！　今どこだ!?』

十班長・ヒールド
『こちら十班！　〝護衛隊〟を追いかけていますが、速すぎて……』

十二班長・ザボエス
『〝護衛隊〟一隻だけだからな……なら、そのまま追いかけつづけて、十一班が来たら横に張りついて横撃ちしろ！　うちは後ろから〝元四班長撃ち〟する！』

十班長・ヒールド
『了解！』

ハワード
「ところで……三班は？」

五班長・ロング
『こちら五班……三班に〝元四班長撃ち〟されて全滅した……まだ三隻生き残ってる……今、十二班を追っていった……』

フィリップス
「しぶとい！」

ハワード
「〝元四班長〟が〝元四班長撃ち〟させてるからな」

十二班長・ザボエス
『じゃあ、今いちばんやばいのはうちじゃねえか！　三班にとりつかれたらおしまいだ！』

フィリップス
「たった三隻なのに……どうしてどこも全滅できないんだ？」

十二班長・ザボエス
『たった三隻だからだよ！　あいつ、そこまで計算して、班長艦の他に使える軍艦ふね二隻残したに違いねえ！　〝元四班長撃ち〟だけするなら三隻だけで充分だ！』

フィリップス
「ええっ!?　元四班長ってそこまでダークっ!?」

十二班長・ザボエス
『ダークだよ！　頭ん中から腹の底まで真っ黒だ！』

その隣にいるヴァッサゴ
（いや、おまえはエリゴールのことは言えない……）

ハワード
「十二班長にそこまで言われるとは……やっぱりうちはくじ運が悪かった！」

十二班長・ザボエス
『まったくだ！　でも、今は十一班の始末が先だ！　十班！　まず班長艦を潰せ！　〝頭〟がいなくなりゃ何とかなる！』

十班長・ヒールド
『了解！』

フィリップス
「〝元四班長撃ち〟のせいで、サンドイッチ作戦失敗か！」

ハワード
「まさか〝壁〟を〝元四班長〟に〝元四班長撃ち〟されるとは思わなかったからな」

フィリップス
「改めて、俺たちが〝護衛隊〟に負けつづけた理由がわかった！」

ハワード
「ああ、俺たちももっとダークにならなくては！」

フィリップス
「え、おとっつぁん、そっちの方向に行っちゃうの!?」

　＊＊＊

【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】

クルーＡ
「副長！　十二班が護衛隊形を縦に走らせて追ってきてます！」

レラージュ
「十二班なら〝魚〟並みの速度が出せるな。……十班は？」

クルーＡ
「速度に変化がなければ、約三十秒後に追いつきます！」

レラージュ
「遅い！　その間にうちが十二班につかまる！　その前に十班の後ろについて〝卑怯撃ち〟しろ！」

クルーＡ
「了解！」

ロノウェ
「何か〝卑怯撃ち〟合戦みてえになってきたな……」

レラージュ
「〝今日だけ三班長〟のせいですよ」

ロノウェ
「本当に、今日だけ味方でよかった……」

レラージュ
「今日の敵は十二班です。前半も今も、無傷なのは十二班だけです」

ロノウェ
「……すげえな」

レラージュ
「いっそ腐った魚投げこんでやりましょうか」

ロノウェ
「それは投げこむこっちもつれえぞ」

クルーＡ
「副長！　三班が十二班の後ろに……！」

レラージュ
「よし！　全速力で十二班を振りきれ！　十班はガン無視だ！」

クルーたち（ゲアプ含む）
「了解！」

　＊＊＊

【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】

クルーＡ
「班長！　三班が、三班が……！」

ザボエス
「ついに来たか。……前三隻はこのまま十一班を追う！　残りの七隻で三班をしとめろ！」

ヴァッサゴ
「どうやって!?」

ザボエス
「後ろ三隻が撃たれてる間に、前の四隻が三班の両脇に回りこんで撃て！　いいか！　何があっても班長艦だけは潰せ！　潰せなかったら俺がおまえら潰してやる！」

クルーたち
「ひいいっ！」