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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

109【交換ついでに合同演習編14】どうにでもなる

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【パラディン大佐隊・執務室】

パラディン
「エリゴール中佐。こんな時間になってからわざわざコールタン大佐の執務室に行って、いったい何を打ち合わせてきた?」

エリゴール
「はい。演習二日目の『帝国』側の布陣についてです。夕刻、班長会議をして出た二案を図にしてコールタン大佐殿にお渡しし、若干の説明をしてまいりました。……これがそうです」

パラディン
「……こんなものをなぜ渡した? 君たちは『連合』役だろう? 敵にヒントを与えてやってどうする?」

エリゴール
「一言で言うと〝攪乱〟です」

パラディン
「攪乱?」

エリゴール
「コールタン大佐殿なら、我々からこのようなものを渡されたら、本当は別の布陣を想定しているのではないかとまず疑うでしょう。しかし、その裏をかいて、やはりこれらの布陣を想定しているかもしれない。……ヒントではなくクイズそのものを差し上げました」

パラディン
「……そういう作戦はありか?」

エリゴール
「演習二日目の自分は、あくまで『連合』役ですので。せめて、演習二日目に関してだけは、大佐殿がコールタン大佐殿と直接打ち合わせをなさってください。それこそ、メールでも結構です。その布陣図二枚は大佐殿に差し上げますので、どうぞお好きなようにお使いください」

パラディン
「……私は今、君と打ち合わせがしたいなあ……」

エリゴール
「『帝国』の旗艦と『連合』が打ち合わせをしてどうするんですか」

パラディン
「君が私の軍艦ふねに乗ればいいじゃないか!」

エリゴール
「以前、実戦のときだけ乗艦しますとお約束しましたよね?」

パラディン
「うっ……わかってるよ……言ってみただけだよ……」

エリゴール
「今度同じことをおっしゃったら、無言で立ち去らせていただきます」

パラディン
「うん……わかった……」




モルトヴァン
「最初の勢いはどうしたんですか、大佐」

パラディン
「だって……エリゴール中佐、全然動じないし。一応、話の筋は通っているし。……絶対、建前だろうけど」

モルトヴァン
「でも、確かにエリゴール中佐の言うとおりですよ。演習二日目だけは、大佐がコールタン大佐と協力しあわないと。エリゴール中佐は容赦なく〈デュランダル〉も〈オートクレール〉も撃ってきますよ」

パラディン
「〈デュランダル〉は容赦なく撃ってくれてかまわないけど、私の軍艦ふねは〈フラガラック〉役だから、そう簡単にやられてしまうわけにはいかないな。……仕方ない。演習が終わるまでは電話くらいはしてやるか。仕事用の限定で」

モルトヴァン
「結局、大佐がコールタン大佐を避けはじめたのは、コールタン大佐がエリゴール中佐といまだにつながっているからですか?」

パラディン
「つながっている!?」

モルトヴァン
「あ、いや……通じている?」

パラディン
「通じている!?」

モルトヴァン
「え、これも駄目ですか? ……じゃあ、付き合いがある?」

パラディン
「どんな付き合いだ!?」

モルトヴァン
「普通に、元上官と元部下の付き合いだと思いますが……」

パラディン
「……やっぱりコールタン大佐とは、メールでしかやりとりはしない」

モルトヴァン
「え、私のせい!? コールタン大佐、ごめんなさい!」

 ***

【コールタン大佐隊・執務室(本物)】

コールタン
「エリゴール……〝やなこった〟と〝嫌だ〟じゃ、どっちが嫌い度高いと思う……?」

エリゴール
『嫌い度というより、相手にされなさ度は〝やなこった〟のほうが高いと思います』

コールタン
「その二つにどんな差が……」

エリゴール
『〝やなこった〟と書かれた場合、完全に見下されています』

コールタン
「畜生……相変わらず的確に分析しやがる……おまえはもうパラディンのところには〝出頭〟したのか?」

エリゴール
『はい。今、待機室に戻るところです』

コールタン
「……大丈夫だったか?」

エリゴール
『ご心配ありがとうございます。しかし、自分は本当にどうにでもなりますので。最悪、〝除隊させろ〟カードがあります』

コールタン
「上官に気に入られてる退役希望者に怖いものはねえな……」
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