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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
51【悪魔の居場所編16】意外
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【パラディン大佐隊・第十一班第一号待機室】
ザボエスが十二班に戻った後、エリゴールが第一号から待機室に戻ってくる。
ちなみに、第一号の医務室にはユニットバスがあるため、飲食物を持ちこめば籠城できる。
レラージュ
「え? あの隊形の名前ですか?」
エリゴール
「ああ。あるのか?」
レラージュ
「いえ、ないです。俺は考えるだけで、名前をつけたり分類したりとかはしないんで」
エリゴール
「じゃあ、今すぐつけろ。もしなかったら十一班でつけておくようにって大佐に言われてたんだ。大佐はあれをずいぶんと気に入ったらしくて、〝とても芸術的だ〟とまで言っていた」
レラージュ
「〝芸術的〟……ですか?」
エリゴール
「少なくとも、大佐にはそう思えるらしい」
レラージュ
「名前ねえ……うーん……〝檻〟とかどうですか?」
エリゴール
「檻!?」
レラージュ
「〈オートクレール〉を守ってるから〝檻〟」
エリゴール
「ちょっと待て……〝檻〟って普通、危険なものを閉じこめるのに使わねえか? まあ、ある意味〈オートクレール〉も危険物だが……」
レラージュ
「駄目ですか? 俺、こういうの考えるの、本当に苦手なんですよね……班長が戻ってくれば……」
ロノウェ
「おーす。いま帰ったぞー」
レラージュ
「あ、班長!」
エリゴール
「……意外だな。こういうのは一人で決めずにロノウェを頼るのか」
物怖じしない班員A
「どうなんすね……俺らには班長を立てようとしてるのか、何かあったら班長に全責任を押しつけようとしてるのか、区別がつかないんすけど……」
エリゴール
「……確かにな」
***
ロノウェ
「いくら何でも〝檻〟はねえだろ、〝檻〟は」
レラージュ
「なら、何かいいのありますか?」
ロノウェ
「うーん……〝檻〟と似たようなもんだが〝籠〟はどうだ?」
レラージュ
「〝籠〟?」
ロノウェ
「〝鳥籠〟の〝籠〟。『〝檻〟を作れ!』より『〝籠〟を作れ!』のほうが、守ってる感あるだろ?」
エリゴール
「おまえ……馬鹿だが言語感覚はあるな……」
ロノウェ
「どういう意味だよ?」
レラージュ
「俺には違いがよくわからないですけど、班長がそう言うんだったらそれでいいです。……元四班長、今からそれ、大佐に報告しに行きますか?」
エリゴール
「今すぐには行かねえな。午後に作戦説明するそうだから、その迎えにいったついでにする」
レラージュ
「じゃあ、さらについでに大佐に頼んでおいてもらえませんか? 今度差し入れしてくださるときは、絶対十二班はうちの班よりグレード下にしてくださいって」
ロノウェ
「レラージュ……」
レラージュ
「何ですか? それくらいの差はつけてもらって当然だと思いますけど」
エリゴール
「……まあな。おまえのその要望は一応大佐に伝えとく。でも、たとえそのとおりにならなかったとしても、大佐を恨んだりするなよ?」
レラージュ
「……〝応援〟してくれるって言ったのに……」
ロノウェ
「それは〝応援〟じゃねえだろ。〝差別〟だろ」
エリゴール
「おまえ……馬鹿だが良識はあるな……」
ロノウェ
「よくわからねえが、とりあえず褒められたんだと思っとくぜ」
***
【パラディン大佐隊・執務室】
パラディン
「ふうん、〝籠〟ねえ。こう言ったら何だけど、ずいぶん可愛らしい名前をつけたね。……実態はあんなに恐ろしいのに」
エリゴール
「でもまあ、〝檻〟よりはいいかと」
パラディン
「確かにね。どちらも〝閉鎖空間〟には違いないけど、〝檻〟だと守られているというより、閉じこめられているような感じがするよね」
エリゴール
「その差が十一班長にはわかって、副長にはわからないようです」
パラディン
「意外だね。でも、素晴らしい補完関係だよね!」
エリゴール
「そうですか?」
パラディン
「そのレラージュ副長の要望だが、まあ気持ちはわかるけど、それじゃ十二班がかわいそうだから、グレードは同じで、十一班だけちょっと品数を増やすというのではどうだろう?」
エリゴール
「別に、あいつの要望を無理に叶えてやる必要はないと思いますが……」
パラディン
「そういうわけにもいかないよ。彼は〝籠〟の考案者で、十一班を勝利させた立役者でもあるわけだから。ところで、エリゴール中佐。君だったらあの〝籠〟、何て名前をつけた?」
エリゴール
「自分も副長と同じで、その手のセンスはありませんので……」
パラディン
「かまわないよ。君が抱いたイメージだけでもいい」
エリゴール
「それなら……〝女王蜂とそれを守る蜂〟ですかね」
パラディン
「蜂?」
エリゴール
「中央の〈オートクレール〉が女王蜂で……その周りを飛び回っている十一班は、敵の蜂の攻撃から必死で女王蜂を守っている働き蜂のように見えました」
パラディン
「なるほどね。〈オートクレール〉が女王蜂というのは少々複雑だが、君のその見方はとても的確だと思うよ。現に十一班の軍艦が一隻、我が身を犠牲にして〈オートクレール〉を守ってくれたからね。そういうところもまさに蜂だ」
エリゴール
「しかし、これでは隊形の名前にはなりませんね」
パラディン
「そうだね。隊形名としては、やはり十一班長の〝籠〟のほうが、働き蜂にはわかりやすいだろう」
エリゴール
「確かに、十一班長も指示するときのことを考えていましたね。『〝籠〟を作れ!』と」
パラディン
「……意外だね」
エリゴール
「そうですね」
パラディン
「元マクスウェル大佐隊は本当に奥が深い……いったいどこまでできるのか……」
エリゴール
「大佐……いったいどこまでやらせる気ですか……?」
ザボエスが十二班に戻った後、エリゴールが第一号から待機室に戻ってくる。
ちなみに、第一号の医務室にはユニットバスがあるため、飲食物を持ちこめば籠城できる。
レラージュ
「え? あの隊形の名前ですか?」
エリゴール
「ああ。あるのか?」
レラージュ
「いえ、ないです。俺は考えるだけで、名前をつけたり分類したりとかはしないんで」
エリゴール
「じゃあ、今すぐつけろ。もしなかったら十一班でつけておくようにって大佐に言われてたんだ。大佐はあれをずいぶんと気に入ったらしくて、〝とても芸術的だ〟とまで言っていた」
レラージュ
「〝芸術的〟……ですか?」
エリゴール
「少なくとも、大佐にはそう思えるらしい」
レラージュ
「名前ねえ……うーん……〝檻〟とかどうですか?」
エリゴール
「檻!?」
レラージュ
「〈オートクレール〉を守ってるから〝檻〟」
エリゴール
「ちょっと待て……〝檻〟って普通、危険なものを閉じこめるのに使わねえか? まあ、ある意味〈オートクレール〉も危険物だが……」
レラージュ
「駄目ですか? 俺、こういうの考えるの、本当に苦手なんですよね……班長が戻ってくれば……」
ロノウェ
「おーす。いま帰ったぞー」
レラージュ
「あ、班長!」
エリゴール
「……意外だな。こういうのは一人で決めずにロノウェを頼るのか」
物怖じしない班員A
「どうなんすね……俺らには班長を立てようとしてるのか、何かあったら班長に全責任を押しつけようとしてるのか、区別がつかないんすけど……」
エリゴール
「……確かにな」
***
ロノウェ
「いくら何でも〝檻〟はねえだろ、〝檻〟は」
レラージュ
「なら、何かいいのありますか?」
ロノウェ
「うーん……〝檻〟と似たようなもんだが〝籠〟はどうだ?」
レラージュ
「〝籠〟?」
ロノウェ
「〝鳥籠〟の〝籠〟。『〝檻〟を作れ!』より『〝籠〟を作れ!』のほうが、守ってる感あるだろ?」
エリゴール
「おまえ……馬鹿だが言語感覚はあるな……」
ロノウェ
「どういう意味だよ?」
レラージュ
「俺には違いがよくわからないですけど、班長がそう言うんだったらそれでいいです。……元四班長、今からそれ、大佐に報告しに行きますか?」
エリゴール
「今すぐには行かねえな。午後に作戦説明するそうだから、その迎えにいったついでにする」
レラージュ
「じゃあ、さらについでに大佐に頼んでおいてもらえませんか? 今度差し入れしてくださるときは、絶対十二班はうちの班よりグレード下にしてくださいって」
ロノウェ
「レラージュ……」
レラージュ
「何ですか? それくらいの差はつけてもらって当然だと思いますけど」
エリゴール
「……まあな。おまえのその要望は一応大佐に伝えとく。でも、たとえそのとおりにならなかったとしても、大佐を恨んだりするなよ?」
レラージュ
「……〝応援〟してくれるって言ったのに……」
ロノウェ
「それは〝応援〟じゃねえだろ。〝差別〟だろ」
エリゴール
「おまえ……馬鹿だが良識はあるな……」
ロノウェ
「よくわからねえが、とりあえず褒められたんだと思っとくぜ」
***
【パラディン大佐隊・執務室】
パラディン
「ふうん、〝籠〟ねえ。こう言ったら何だけど、ずいぶん可愛らしい名前をつけたね。……実態はあんなに恐ろしいのに」
エリゴール
「でもまあ、〝檻〟よりはいいかと」
パラディン
「確かにね。どちらも〝閉鎖空間〟には違いないけど、〝檻〟だと守られているというより、閉じこめられているような感じがするよね」
エリゴール
「その差が十一班長にはわかって、副長にはわからないようです」
パラディン
「意外だね。でも、素晴らしい補完関係だよね!」
エリゴール
「そうですか?」
パラディン
「そのレラージュ副長の要望だが、まあ気持ちはわかるけど、それじゃ十二班がかわいそうだから、グレードは同じで、十一班だけちょっと品数を増やすというのではどうだろう?」
エリゴール
「別に、あいつの要望を無理に叶えてやる必要はないと思いますが……」
パラディン
「そういうわけにもいかないよ。彼は〝籠〟の考案者で、十一班を勝利させた立役者でもあるわけだから。ところで、エリゴール中佐。君だったらあの〝籠〟、何て名前をつけた?」
エリゴール
「自分も副長と同じで、その手のセンスはありませんので……」
パラディン
「かまわないよ。君が抱いたイメージだけでもいい」
エリゴール
「それなら……〝女王蜂とそれを守る蜂〟ですかね」
パラディン
「蜂?」
エリゴール
「中央の〈オートクレール〉が女王蜂で……その周りを飛び回っている十一班は、敵の蜂の攻撃から必死で女王蜂を守っている働き蜂のように見えました」
パラディン
「なるほどね。〈オートクレール〉が女王蜂というのは少々複雑だが、君のその見方はとても的確だと思うよ。現に十一班の軍艦が一隻、我が身を犠牲にして〈オートクレール〉を守ってくれたからね。そういうところもまさに蜂だ」
エリゴール
「しかし、これでは隊形の名前にはなりませんね」
パラディン
「そうだね。隊形名としては、やはり十一班長の〝籠〟のほうが、働き蜂にはわかりやすいだろう」
エリゴール
「確かに、十一班長も指示するときのことを考えていましたね。『〝籠〟を作れ!』と」
パラディン
「……意外だね」
エリゴール
「そうですね」
パラディン
「元マクスウェル大佐隊は本当に奥が深い……いったいどこまでできるのか……」
エリゴール
「大佐……いったいどこまでやらせる気ですか……?」
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