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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

73【異動編22】訓練二日目:二回戦・表と裏

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【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

ハワード
「Bチームは、今度も〝移動隊形半隊・縦三・横四〟で来るつもりらしいな」

フィリップス
「でも、班の並びがさっきと全然違ってないか?」

エリゴール
「出来のいいので下二段を固めて、上段は捨てる作戦に出たんだろ」

フィリップス
「ええっ?」

エリゴール
「下二段の被弾が六隻で済めば、上段の一隊が全滅したとしても十一隻。さっきより八隻も少なくできる」

フィリップス
「あくまで理論上だろ?」

エリゴール
「ああ、あくまで理論上だ。もしかしたら九隻で済むかもしれない」

フィリップス
「三班がいるかぎり、九隻で収まることはないと思うんだけどなあ」

ハワード
「悪い意味で、三班は俺たちの希望だな」

フィリップス
「頑張れ、三班! 俺たちのために当たれ!」




パラディン
『二回戦表終了ー。Bチーム・十三隻被弾だよーん』

フィリップス
「さらに〝ん〟がついた!」

ハワード
「そんなことより被弾数に驚け! 俺たちよりも四隻も少なく抑えてきた!」

フィリップス
「三班……俺たちの期待を裏切ったな……」

エリゴール
「そういう問題じゃないだろ」

ハワード
「さすが、あの副長のいるチーム。次は九隻にしてくるかもしれない」

エリゴール
「別にあいつ一人の力でやってるわけじゃないだろ」

フィリップス
「向こうは最初に十九隻被弾してるが、これから三回、四回、五回と、もし最少の九隻で抑えてきたとしたら、最終的には五十九隻になる。それに対して、うちは五回連続十七隻だったら八十五隻……完璧負ける!」

ハワード
「これから四回連続十隻だったら勝てるよな?」

フィリップス
「それは勝てるが……連続十隻なんてできるのか?」

ハワード
「できるかどうかじゃなくて、できなきゃしょうがないだろ」

フィリップス
「おお、うちの班らしくないことを!」

エリゴール
「でもまあ、そのとおりだ。これからは十二班だけ犠牲にしつづけるぞ」

フィリップス
「元四班長……同じ元マクスウェル大佐隊なのに……」

 ***

【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】

ヴァッサゴ
「このAチームとBチーム……『連合』役の作戦としては、どっちが優れてるのかね……」

ザボエス
「俺は断然、こっちのAチームのほうだと思うね」

ヴァッサゴ
「どうして?」

ザボエス
「攻撃側が〝ファイアー・ウォール〟してるからさ。移動隊形は班によって多少大きさが違ってくるが、〝ファイアー・ウォール〟をするためには、各班、護衛隊形の大きさを統一しなきゃならねえ。十一班も俺らも、今は元ウェーバー大佐隊の護衛隊形と大きさを合わせてるだろ。俺らを〝盾〟にして、中段の高さに合わせて突っ走れば、理屈上は俺らの班以外は当たらねえ。元ウェーバー大佐隊が俺らの陰からはみ出さなけりゃな」

ヴァッサゴ
「……あのとき、俺があんなこと言わなかったら、エリゴールはまだこっちにいてくれたのかな……」

ザボエス
「またそれか。あのとき、おまえが言っても言わなくても、あのタイミングでエリゴールはあっちに行ってた。でも、あいつを傷つけたことだけは忘れるな。それがおまえが唯一できる〝償い〟だ」

ヴァッサゴ
「……あいつもかなりひどいこと俺に言ってたが、俺ほどひどくはなかったな」

ザボエス
「あいつは〝人切り〟だが、致命傷にならねえように切るんだよ。……さてと。また当たられに行ってくるか」

ヴァッサゴ
「昨日の訓練から、当てられてばっかだな」

ザボエス
「〝当たり屋〟ならぬ〝当たられ屋〟だ」

 ***

パラディン
『二回戦裏終了ー。Aチーム・十二隻被弾だーん』

ハワード
「〝だーん〟? ……ダジャレ?」

フィリップス
「それより、当たった二隻はどこだ!?」

ハワード
「元四班長!」

エリゴール
「……正直に申告しなければ、先ほど約束した〝飴ちゃん〟はない」

ハワード
「よし、わかった!」




ハワード
「元四班長、今度は七班二隻だ」

エリゴール
「……次から七班と一班、位置入替」

ハワード
「了解……」

フィリップス
「タイム的にいちばん悪いはずのうちが、とうとういちばん危険な位置に……!」

ハワード
「うちも撃たれたら、今度はどこと入替だ?」
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