無冠の皇帝

有喜多亜里

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【05】始まりの終わり(中)

21 お礼参りされました(後)

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 ――左翼の前衛と後衛を入れ替える。
 それは、イルホンには一生思いつけなそうな発想だった。
 これまで、ヴァラクが何を話してもほぼ無表情を通していたクロケルも、灰青色の目を丸くしてヴァラクを見つめている。
 だが、ヴァラク当人は、誰でも考えつくことだと言わんばかりに平然としていた。

「なるほど。でも、それだとパラディン大佐もこれまでと同じことができなくなるな」

 いつのまにか両腕を組んでいたドレイクが、苦笑いして駄目出しをする。
 それでイルホンの緊張はやわらいだが、クロケルもまたほっとしたような顔をしていた。事前に聞かされていたかどうかは別として、ドレイクに賛成はしてもらいたくなかったようだ。

「ああ、あそこなら大丈夫です。エリゴールがいますから。どこに配置替えされてもどうにかします」

 ヴァラクはにこりと笑うと、マイボトルを自分の膝の上に置いた。
 本当はローテーブルの上に置きたかったのかもしれないが、今そこはコーヒー豆のパックに占領されている。半分は待機室に持っていこうとイルホンはひそかに思った。

「エリゴール……ああ、四班長か」
「やっぱりご存じでしたか。正確には、元四班長ですけど」
「俺にとっては、永遠に四班長だよ。人から聞いた話じゃ、おまえは彼を嫌ってたそうだが、そういう信頼はしてるんだな」
「それとこれとは話は別なんで」

 珍しく、ヴァラクは不快そうに眉間に皺を寄せた。

「あいつ、俺と似てるから嫌なんですよ」
「似てる?」
「……必要だと思ったら、いくらでも嘘をつく」
「ああ、なるほど。同属嫌悪だったのか」

 いたく感心したようにドレイクがうなずく。
 しかし、それは多かれ少なかれ、誰でもしていることではないだろうか。
 と、そんなイルホンの心の声が聞こえたかのように、突然ヴァラクは叫び出した。

「俺は馬鹿みたいに誠実な奴が好き! 顔もよかったらもっと好き!」

 イルホンは噴き出しかけたが、クロケルはもう慣れているのか諦めているのか、何も言わずに聞き流していた。

「ああ、それは知ってた」

 クロケルが知らないことを知っているドレイクは、思わせぶりにニタニタする。

「悪魔でも、自分にないものを求めるんだな」
「何言ってるんですか。俺が悪魔だったら、大佐なんか大魔王ですよ」
「いやいや、俺よりおまえのほうが、あらゆる意味で凶悪だ。……そうか。前衛と後衛を入れ替えるか。また殿下のメール一本で?」
「当然でしょ。パラディン大佐の前例があるから、もう誰も驚かないですよ」
「いや、当事者二人は驚くだろ」
「ただ、大佐の挨拶回りが終わった後で急にそんなことになったら、また大佐が殿下に進言したんだろうって思われますね」
「そりゃそうだ。俺でも思う」
「でも、大佐は絶対認めないでしょ?」
「ああ、俺は絶対認めない。……七班長。おまえのその〝左翼の前衛と後衛を入れ替える〟ってのは、単純かつ効果的で実にいいんだが、リスクもかなり高いんだよな。こっちの思惑どおりにポカしてくれるとは限らないし、逆にとんでもないポカされて、〈フラガラック〉を危険にさらされる恐れもある」
「なるほど。確かにそうですね」
「うーん。次の出撃までには退場していただきたかったんだがなあ……」
「ずいぶん急ぎますね。後任の指揮官、誰にするんですか?」
「パラディン大佐でいいだろ」
「ええっ?」

 本気で驚いたように、ヴァラクは声を張り上げた。

「パラディン大佐に二〇〇隻を指揮させるんですか? それもリスク高すぎません?」
「何でだよ? パラディン大佐のところには、前例のないことをどうにかできるエリゴールくんがいるんだろ?」
「それはまあ、そうですけど。俺以上に無茶振りしますね」
「自分が無茶振りしてる自覚はあったんだな。……しかし、何だな。八方丸く収める方法ってのは、なかなかないもんだな」
「八方丸く収めなくてもいいじゃないですか。殿下に〝栄転〟させてもらいましょうよ。大佐が一言言えば済む話でしょうが」
「それはしたくないから、こうして悩んでるんだろ」
「俺にはまるで無駄なことしてるとしか思えませんが」
「公私共に充実してる奴はいいよな。じゃあ、おまえは不参加! これまでどおり、ダーナのお守り続けてろ!」
「えー、俺、戦力外ですかー」

 ふざけてヴァラクが笑う。ドレイクも一緒に笑ったが、すぐに笑みを消した。

「……この件は、ダーナには絶対に気づかれないようにしろ。それがおまえの今回の役割だ。というか、最初からおまえにはそうしてもらうつもりだった。あの男に累が及ばないように、おまえが守れ、七班長」
「大佐……」

 ヴァラクが絶句して、ドレイクを見つめる。
 そもそも、ドレイクはヴァラクを知る以前からダーナを気に入っていた。ヴァラクの希望を叶えたのも、それがダーナにとってプラスになるから、というのもあったのではないだろうか。
 ドレイクといいヴァラクといい、ダーナのどこがそれほどいいのだろう。内心イルホンは首を傾げていたが、そのとき、ドレイクが「あ、そうだ」と両手を叩いた。

「妙案を出してくれた礼だ、ここに六班長呼んでやろうか?」

 思わず、イルホンは変な声を出しそうになった。
 だが、ヴァラクは好物を食べさせてやろうかと言われた子供のように、赤茶色の瞳を輝かせた。

「えっ! ほんとにっ!?」

 しかし、次の瞬間、携帯電話の着信音がアラートのように鳴り出した。
 全員の視線が、ヴァラクの上着の胸ポケットに集中する。

「七班長、携帯鳴ってるぞ。出ないのか?」

 見るからに嫌そうな顔をしているヴァラクを、ドレイクが訝しげにうながす。
 ここで、携帯電話の電源を切っていなかったのか、などと怒り出すような人間だったら、ドレイクは今ここにはいない。

「正直、出たくないですが……ドレイク大佐に迷惑はかけたくないんで出ます」

 観念したように答えると、ヴァラクは胸ポケットから携帯電話を取り出し、通話ボタンを押した。

「はい、何ですか? ……え? まだドレイク大佐の執務室にいますよ。大佐と楽しくおしゃべりしてました。……は? そりゃ、豆だけ渡してすぐに帰るわけないでしょ。俺は他の大佐の執務室回る必要ないんだから。……はいはい、もう戻ります。ついでに携帯の電源も切ります」

 おざなりに対応していたヴァラクは、宣言どおり携帯電話の電源を切り、さっさと胸ポケットに戻してしまった。

「……ダーナか?」

 にやにやしながらドレイクが訊ねる。イルホンは硬直したが、クロケルはすでに見当がついていたようで、小さく溜め息をついていた。

「はい、そうです。もう大佐の執務室は出ただろうと思ったそうです」
「おまえには直球で来ないんだな。素直に〝早く戻ってこい〟って言えばいいのに」
「〝馬鹿〟も少しは学習するんですよ……」
「きっと、超スパルタだったんだろうな」
「そんなわけで、ほんとはまだ帰りたくなかったけど帰ります。お邪魔しました」
「おう。あのクッキー以上に高そうな豆、ありがとな。ダーナにも、一応礼言っといてくれ。そういや、あのクッキー缶、ダーナはどうした? 捨てたのか?」
「いえ。俺にくれました。俺が食玩入れてるの見て、一つじゃ足りないだろう、自分のも使えって。自分のには『連合』の入れたらどうかって、アドバイスもくれました」

 しばらく、沈黙が落ちた。
 ヴァラクは楽しげに笑っている。考えるまでもない。これは完全に惚気だ。
 だが、クロケルの様子を窺うかぎり、そんな話までドレイクにするのかと呆れているだけのようである。ダーナの副官のように、クロケルもまた感覚が麻痺してしまっているのかもしれない。
 クロケルの前で冷やかすわけにもいかなかったのだろう。ドレイクは再び腕組みをして、生真面目に呟いた。

「……天然タラシだな」
「はい。天然タラシです」
「だから、おまえが守ってやれ。あの〝馬鹿〟はこの艦隊では貴重だ」
「大佐は、ほんとにダーナ大佐のこと、気に入ってますね」
「おまえの〝生き別れの兄〟だからな」
「ああ、なるほど。……あ、今度、その食玩持ってきましょうか? ダブってるの結構ありますから、それ、大佐にあげます」
「お、いいな。くれくれ」
「わかりました。……クロケル、片づけはもう済んでるな?」

 ドレイクに顔を向けたまま、傲岸にヴァラクが問えば、クロケルは間髪を入れずに返答した。

「もちろんです」

 クロケルの足元には、すでに二つのトランクケースが置かれている。しかし、ヴァラクのマイボトルはいつのまにか消え去っていた。おそらく、クロケルがトランクケースの中に戻したのだろうが、イルホンはまったく気づかなかった。さすが、ヴァラクが連れ歩いているだけのことはある。

「よし、それじゃ帰りますね」

 ヴァラクがソファから腰を上げる。それより少しだけ遅れてクロケルも立ち上がった。
 だが、ドレイクは見送るのが面倒になったのか、ソファに座ったままヴァラクたちを見上げた。

「ああ、気をつけて帰れよ。ダーナに苦情の電話、入れられたくねえからな」
「ここを出たら、携帯の電源入れますよ。ではまた」
「ああ、またな」

 ヴァラクが軽く手を振り、クロケルが一礼して自動ドアから出ていった。
 自動ドアが閉まって数秒後。イルホンは吐き出すようにドレイクに訴えた。

「大佐……俺は七班長より、今のダーナ大佐の電話のほうがずっと怖かったです……!」

 ドレイクは肩越しにイルホンを見やると、得意げにニヤリと笑った。

「だから言っただろ。あいつは中途半端に勘がいいんだよ」

 あれはもう、勘がいいとか悪いとかのレベルを超えているとイルホンは思ったが、ドレイクがそう言うのならそうなのだろう。

「でも、中途半端なんですね……」
「本当に勘がよかったら、六班長の転属願、部下に書かせたりはしないだろ」
「それは確かに」

 思いきり納得したイルホンは、ローテーブルの上に並べられたコーヒー豆を片づけるため、執務机の椅子から立ち上がった。
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