無冠の皇帝

有喜多亜里

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【04】始まりの終わり(上)

プロローグ

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 第一宙域方面艦隊副司令官ノーマン・ストーンに朝はない。
 しいて言うなら、青い目を開けた瞬間が常に朝だ。
 ストーンの執務室に窓はないため、室内の照明は二十四時間つけっぱなしにされており――実に馬鹿馬鹿しいが、地球人の末裔たちはいまだにこの単位にこだわりつづけている――ストーンが執務机の前で目を閉じている間にも消されることはない。
 おかげですぐに仕事の続きができるのだが、机上の端末に手を伸ばしかけると、まるでそれを制止するかのように、副官だけが出入りできる手動ドアをノックされる。
 監視カメラでも仕掛けてあるのかと疑ったこともあったが、たとえ仕掛けてあったとしても、その監視カメラの映像を一人の人間が二十四時間見続けることは不可能だ。今の地位を与えられてから今年で二年目。この件に関してはもう深く考えることを放棄した。

「入れ」

 端末を操作しながら端的に許可すると、いつものように「失礼します」というきびきびとした声が返ってきて、ストーンの実質唯一の部下である副官ワインドが入室してきた。
 この第一宙域方面艦隊に配属される軍人たちの大半は、「連合」の五大星系の一つザイン星系に不要と判断された人間たちである。
 だが、ストーンとこのワインドだけは、今のところ、あの〝死刑場〟――「帝国」皇帝軍護衛艦隊の管轄である第一宙域行きを免れている。
 第一宙域方面艦隊の副司令官たるストーンの主な仕事は、この第一基地に赴任しては戦死する第一宙域方面艦隊の司令官たちのお守りと彼らの不在時の代行。ワインドはその補佐だ。
 なぜ司令官の自分が出撃させられて、副司令官のおまえはここでふんぞり返っていられるのかと八つ当たりされることはしょっちゅうだが、ほどなくこの司令官も宇宙の塵と化すのだと思えば、神妙な顔で受け流すこともできる。
 ストーンはあえて口にはしないが、ザイン星系の宇宙軍上層部は、第一宙域方面艦隊の司令官たちに『出撃したら撤退するな』とは命じていない。
 つまり、撤退できるなら撤退してもいいのだ。上層部が望んでいるのは、あの護衛艦隊――〝死の艦隊〟を間を置かず攻撃しつづけ、わずかずつでも戦力を低下させていくことなのだから。撤退したからと言って、司令官を責める者は誰もいない。その必要がなくなるまで、出撃させつづければいいだけの話だ。
 しかし、ストーンが知るかぎり、あの〝死刑場〟からこの基地に生きて帰ってきた司令官は一人もいない。
 司令官以外でもいなかったが、今から三ヶ月ほど前、ついにその前例が破られた。
 第一宙域へと通じる〝ゲート〟から、脱出艇二隻で帰ってきた彼らは、ストーンがある筋から〝延命〟を命じられた大佐――エドガー・ドレイクの部下たちだった。
 ここに配属される軍人は、即〝死刑場〟送りである。その命令を受けた一年前、どうしたものかとストーンは悩んだが、交戦後の生存者回収という、砂漠から砂金を拾い集めるような虚しい任務をひねり出し、この執務室でしかつめらしくドレイクに命じた。
 噂では聞いていたが、確かにドレイクは大佐とは思えない大佐だった。
 消そうと思えば消せたはずの左目の下の古傷もだが、髪はぼさぼさで顎には無精髭。軍服もだらしなく着崩していた。
 それでも不潔感はなかったのは、軍服自体はクリーニングしたてのように皺が少なかったからだろう。確認はしなかったが、あの脱出艇の中にいたドレイクの副官が、せめて軍服だけでもどうにかしようとアイロンがけしたのかもしれない。
 だが、ストーンはドレイクの身なりよりも、自分の命令を聞いた後の彼の発言のほうに驚かされた。

『それ、本当に今までしてなかったんですか?』

 その口の利き方もとても上官に対するものではなかったが、ドレイクもストーンの命令に意表を突かれていたのだろう。信じられないようにストーンを見下ろしていた。

『人間以外にも回収が必要なものはいくらでもあるでしょうが。宇宙船のブラックボックスは、滅多なことじゃ死にません』

 真顔でそう言ってから、ドレイクは口角を上げてにやりと笑った。

『我が〝連合〟は、本気で〝帝国〟に勝ちたいと思ってるんですかね?』

 思わずストーンは同意しそうになったが、副司令官という自分の立場を思い出し、そういった発言は外ではするなと無表情に窘めた。
 しかし、ドレイクは恐縮するどころか、いよいよ楽しげに黒い瞳を細めた。

『だから今、ここで発言したんじゃないですか。ストーン副司令官殿』

 食えない男だった。だが、ストーンがここで初めて会った、まっとうな男でもあった。
 実際のところ、戦場跡での回収業は、決して安全な仕事ではなかった。運が悪ければ、あの〝死の艦隊〟と鉢合わせして、自分たちも〝全艦殲滅〟されるかもしれない。
 しかし、ドレイクとその部下たちは、必ず生きて帰ってきた。〝死の艦隊〟に関する貴重な資料や情報と共に。
 上層部の一部がなぜドレイクを〝延命〟させたのか、ストーンは数ヶ月で理解した。同時に、司令官の目がドレイクに向けられないよう、これまで以上に尽力した。そのためになら、司令官の罵倒も時には暴力も甘んじて受けた。
 だが、ドレイクがここに来てから一年後。ストーンたちにとって最悪な男が司令官として赴任してきてしまった。
 モア中将。ドレイクの元上官であり、自分の命令に逆らったドレイクを、「連邦」方面からこの基地へと左遷させた張本人。
 軍隊において上官命令は絶対だが、あの命令は従ってはいけない命令だったとストーンも思う。現に、モアはその命令をドレイク以外の部下に遂行させたことが原因で、今度は自分が〝死刑場〟に送られることになった。
 しかし、モアはまったく反省していなかった。むしろ、あの命令を撤回させようとしたドレイクを逆恨みしていた。
 ここに来て、まだドレイクが一度も〝死刑場〟に出撃していないことを知った彼は、そのことに憤りつつも、自分が指揮する侵攻艦隊の中に問答無用でドレイクの隊を編入した。
 モアの真の狙いが何か、この時点でストーンはある程度察していたが、回収業はドレイク以外の人間にもできるだろうと言われてしまえば、反論することは難しい。
 ドレイクの〝延命〟を命じたある筋も、モアも〝死刑場〟送りとなったことでそうなることは想定していたようだ。ここまでかという言葉には、モアの左遷先を変えられなかった自分たちに対する自責の念も、明らかに含まれていた。
 だが、ドレイクならあの〝死刑場〟から生きて帰ってくるかもしれない。そんな期待がストーンにはあった。モアの命令に強硬に反対しなかったのはそのせいでもある。
 だから、出撃の前日、適当な理由をつけてドレイクをこの執務室に呼び出すと、この基地に生きて帰ってきたら、必ずまた回収業に従事させると約束した。
 ドレイクはいつものとおり、にやにやしながらストーンの話を聞いていたが、聞き終えると『ああ、そいつはいいですね』と言った。

『でも、もし俺の部下だけ帰ってきたら、副司令官殿のお力で、ここ以外のどこかに異動させてやってはもらえませんかね。あいつら、単に俺の巻き添え食らっただけなんで』

 驚いてドレイクを見つめると、彼は出撃前とは思えないほど穏やかに笑った。

『あんたが今日まで俺らを生かしてくれたのは、きっとどっかのお偉いさんの指示なんでしょうが、でもまあ、感謝はしてますよ。その分だけ、生きて帰る手段を考える時間が増えましたからね。ただ、正直言って、回収業はもう飽きたかな。それより俺は、あの〝死刑場〟自体を永遠になくしたい』

 このとき、ドレイクがどういう意味で〝死刑場〟をなくしたいと言ったのかはわからない。一瞬あっけにとられたストーンが真意を訊ねようとしたときには、『じゃあ、明日の準備があるんで、そろそろ失礼させてもらいます』と、一方的に退室してしまった。そして、それが「連合」のドレイクと最後に交わした会話となった。
 いま思えば、ドレイクもまたモアの浅はかな行動を予期していたのだろう。脱出艇で基地に帰ってきたドレイクの部下たちから、「帝国」との交戦中にランプトン大佐の軍艦〈ウィルム〉に背後から攻撃され、それが原因でドレイクの軍艦〈ワイバーン〉は戦闘不能となり、ドレイクは部下たちの脱出時間を稼ぐためにただ一人〈ワイバーン〉に残って戦死したと報告されたとき、ストーンは銀髪の頭を抱えて深い溜め息を吐き出した。
 ランプトンがモアの子飼いであることは周知の事実だ。だからこそ、モアと一緒に〝死刑場〟送りとなった。
 ならば、ランプトンは自分の意志で〈ワイバーン〉を攻撃したのではなく、モアの命令を受けてそうしたと考えたほうが自然である。
 戦闘中に子飼いを使って気に入らない部下を殺そうとするなど、まったく愚かとしか言いようがないが、そのモア自身は〝死の艦隊〟の旗艦〈フラガラック〉の粒子砲によって戦死した。
 おそらく、モアはドレイクを盾にして、自分だけは撤退しようと考えていたはずだ。しかし、ドレイクを戦死させることに固執するあまり、撤退するタイミングを見誤ってしまったのだろう。モアは自業自得だが、彼の部下たちには心から同情する。モアが憎んだドレイクは、自分の部下たちだけは生きて帰した。
 一方、ランプトンは〈ワイバーン〉を攻撃した後、ただちに第一宙域を離脱していた。ストーンが司令官代行としてランプトンの行方を調べさせたところ、第二宙域方面艦隊の司令官から、彼らの基地である第二基地にランプトンが逃げこんできたとの連絡があった。
 司令官によると、ランプトンが途中で戦場を離脱したのは、〝死の艦隊〟の無人艦に関する情報等を第二基地に持ちこむよう、交戦前にモアから命じられていたからだそうだ。
 まさに、死人に口なしだ。なぜモアがランプトンにそんな任務を与えたのか、なぜ第一基地ではなく第二基地なのか、考えれば考えるほど矛盾しか出てこないが、ランプトンはモアにそう命じられたから従ったまでだと押し通すつもりだったのだろう。
 確かに、あの〝死刑場〟から生きて帰ってきたのがランプトンたちだけだったなら、ランプトンの浅薄な目論見――どさくさにまぎれて、第一基地から第二基地に異動する――は、もしかしたら成功したかもしれない。
 しかし、第一基地に帰投したドレイクの部下たちと、第二基地に逃亡したランプトン、どちらの話に信憑性があるかと言えば、圧倒的に前者だ。
 幸い、第二宙域方面艦隊の司令官もそう判断してくれたらしく、最終的にランプトンは、自分がモアに命じられていたのは、戦闘中に〈ワイバーン〉を攻撃することだけだったことを白状した。
 その間、ドレイクの年若い副官は、ドレイクが命を賭して帰還させた部下たちを、どうかこの第一基地以外――できれば「帝国」方面以外に早急に異動させてやってほしいと、切々とストーンたちに訴えつづけた。
 そうするようにドレイクに頼まれたのかとも思ったが、その副官は自身の異動は望まなかった。ストーンは次の司令官が赴任してくる前に、自分が使えるコネはすべて使い、ドレイクの部下たちもその副官も、全員まとめて「帝国」方面以外に異動させてやった。ドレイクの〝遺言〟は、彼らにも彼ら以外の人間にも明かさなかった。
 「連邦」に〝ファイアー・ドレイク〟と恐れられていた男の悲劇的な死は、彼に反感を抱いていた軍人たちの心にも多少は響いたようで、この異動に反対した者は表立ってはいなかった。
 何はともあれ、ドレイクの〝遺言〟を守れたことにストーンは安堵した。だが、もうあのふざけているようでふざけていない男とは会えないのだと思った瞬間、自分の体の一部を失ったかのような強い喪失感を覚えた。
 会った回数も時間もさほど多くはなかったが、死刑囚の待機所のようなこの基地で、おそらくただ一人、〝死の艦隊〟に勝つ方策を真剣に考えつづけていたドレイクの存在は、ただただ与えられた職務をこなしているだけのストーンにとって、ある種の希望でもあった。
 この男なら、この生き地獄を終わらせてくれるかもしれない。
 そう思っていたのに。
 あの愚かしい主従が、何もかも台無しにしてしまった。
 だから、事実上の懲罰として、ランプトンがわずか二〇〇〇隻の艦艇を率いて第二基地から〝死刑場〟に直接出撃することになったと知らされたとき、ストーンの気は少しだけ晴れた。
 もうランプトンに逃げ道はない。〝死の艦隊〟は容赦なく〝全艦殲滅〟してくれるだろう。ストーンはランプトン隊全滅の報を心待ちにしていたが、実際にもたらされたのは、ストーンだけでなく誰も予想だにしなかったものだった。

 ――ドレイクの幽霊が「帝国」の軍艦に乗って現れ、〈ウィルム〉にランプトン一人だけを残させて、あとは全員、脱出艇等で第二基地に引き帰させた。

 唖然としたのもつかのま、ストーンは声を立てて大笑いした。
 狂ったとでも思われたのか、滅多に表情を崩さないワインドが、切れ長の緑色の目を大きく見張っていた。
 やはり、あの男は食えない男だった。いや、あの男の部下たちもか。
 ランプトンから受けた攻撃――部下たちによればレーザー砲一発――は、おそらく最後の一押しだった。あれで完全に「連合」を見限ったドレイクは、自分は〈ワイバーン〉と共に戦死したことにして、敵国である「帝国」に亡命したのだ。
 いったいどうやって亡命したのかまではわからないが――ドレイクの部下たちは、たとえ知っていたとしても、決して他言はしないだろう――「帝国」の軍艦を使ってランプトンに復讐させてもらえるくらいだ、よほどうまく自分を売りこんだに違いない。
 「連合」から「帝国」に居場所を変えても、あの男の目的はたぶん変わっていない。
 あの〝死刑場〟を、一日でも早く永遠になくす。
 そのために、今度は「帝国」の一員として「連合」と戦うことを選んだ。
 一日でも早く、「連合」に「帝国」侵攻を諦めさせるために。
 ドレイクの〝手段〟は、常人にはきっと理解されないだろう。ストーンもあの〝遺言〟がなかったら、単純に「連合」に嫌気がさしたから亡命したのだと思っていたはずだ。
 しかし、ランプトン以外の乗組員は全員第二基地に帰らせたと知り、ドレイクは〝死刑場〟で殺される人間の数を少しでも減らしたいのだと悟った。
 だが、「連合」の側からすれば、ドレイクは「帝国」に寝返った裏切り者である。公式には戦死したことにされているが――その原因がモアとランプトンだったことも公式には伏せられている――人の口に戸は立てられない。少なくとも、「帝国」方面の軍人には公然の秘密となっている。
 モアとの一件も知っている人間はドレイクに同情しているが、そんな人間はごくごく少数だ。ストーンにドレイクの〝延命〟を命じたある筋でさえ、「帝国」に亡命されるくらいなら、すぐに〝死刑場〟送りにしておけばよかったとぼやいたくらいだ。ストーンは肯定も否定もせずに聞き流した。それくらいの自由はストーンにもある。
 実に皮肉な話だが、「連合」よりも「帝国」のほうが、ドレイクの使い方をよく心得ている。ドレイクが亡命してから、「帝国」――〝死の艦隊〟は明らかに変わった。
 常に「連邦」と最前線で戦っていたドレイクは、最小限の損失で戦闘を終了させることを信条としていたという。〝死の艦隊〟はまさにその信条どおりの戦い方をするようになり、交戦時間も大幅に短縮されてしまった。
 それほど重用されているのかと、あくまで心の中だけで感心していた矢先、〝死の艦隊〟の中に、〈ワイバーン〉そっくりな砲撃艦が現れた。
 ドレイクの幽霊が現れたと聞かされたときと同様、ストーンは声を出して笑い転げ、またワインドに不気味がられることとなった。
 よりにもよって、「連合」時代の軍艦に似せた軍艦をドレイクに与えるとは、〝死の艦隊〟の司令官も相当にいかれている。もっとも、それくらいでなければ、ドレイクを生かして使おうとは思わないだろう。
 ドレイクが「帝国」に亡命してから三ヶ月が過ぎた。
 〝廃棄物〟で〝死の艦隊〟を疲弊させ、時期を見て一気に叩くなどと呑気にかまえていた上層部も、そろそろ真剣に対応策を考えはじめている。
 それはもちろん、ドレイクもわかっているだろう。だから、ここから動けないストーンは、せめてもの手助けとして、次々と赴任してくる司令官たちが要求しないかぎり、〝死の艦隊〟に関する情報は与えないことにしている。
 ストーンの主な仕事は司令官たちのお守りと、彼らの不在時の代行だ。その補佐は含まれていない。と、ストーンは解釈している。
 今度の司令官も撤退はできなかっただろう。〝死の艦隊〟が撃ち漏らしたのは、戦闘中に離脱したランプトンの〈ウィルム〉を別にすれば、ドレイクの部下たちの脱出艇二隻だけだ。
 もしもドレイクにここの司令官の座を与えてやっていたら。本来なら司令官がすべき仕事をしながら、以前から幾度も考えていた詮ないことをまた考えていると、室内にコーヒーの匂いが流れこんできた。
 またか。ストーンは眉をひそめたが、いつものように手は休めなかった。

「ワインド。私にコーヒーは必要ないと、何度言わせれば気が済むんだ?」
「閣下こそ、いいかげん、もう諦められては?」

 案の定、ワインドは淡々とそう切り返して、ストーンの執務机の隅にコーヒーカップを置いた。

「十時です。休憩してください」
「私はまだ仕事を始めたばかりだ」
「そうですか。しかし、ここで私ができる仕事はこれくらいしかありません。休憩してください」

 本当に、このやりとりをもう何度繰り返していることだろう。
 ストーンは両手を止めると、これ見よがしに溜め息を吐き出してから、すまし顔で立っている褐色の髪の青年を横目で睨みつけた。
 ストーンの息子と言っても通じそうなほど若いが、その言動は老成した執事のようだ。文句を言われようが睨まれようが、怯むことなくストーンを見つめ返してくる。
 結局、先に根負けするのはいつもストーンで、今回も渋々コーヒーカップを手に取った。
 飲めないわけではない。しかし、飲む必要はない。
 そのことはこの副官がいちばんよくわかっているはずなのだが、ストーンが目を閉じていないかぎり、必ず十時と十五時にコーヒーを強制的に飲ませようとする。
 ワインドが淹れるコーヒーがうまいかどうかはストーンにはわからない。が、ワインド以外が淹れたコーヒーと判別することはたぶんできるだろう。
 そういえば、ドレイクはコーヒーは極薄にしないと飲めないと言っていた。
 それならコーヒー以外を飲んだほうがよさそうなものだが、コーヒー自体は嫌いではないのだという。

『こっちに来るまでは普通のをお湯割りされてましたけど、今の副官は最初から極薄で淹れてくれますよ。監視役だろうが何だろうが、俺好みのコーヒー淹れてくれるんならどうでもいいですわ』

 向こうでも、自分好みのコーヒーを淹れてくれる副官はいるのだろうか。
 自分の副官が淹れたコーヒーを啜りながら、ストーンはふとそんなことを思った。
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