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第一章 軍神が迫ってきて辛い
ただの模擬戦の、筈だったのに……
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先に動いたのは、「謙信」の方だ。既に彼女もしくは彼かもしれない人格は人であると見下していた、信玄に対して様子見をするほど余裕が無くなっている。
もはや模擬戦とは名ばかりの殺意を向けてくる。神の化身と化した彼女の一撃を信玄は楯無で受け止める。
ゴガガガガ!!と信玄の周りの地面が地割れのように亀裂が入るのと同時に地面が抉り取られていく。
あまりの余波に甲斐国全体に軽い地震のような揺れが襲う。
「なんだ!?」
「この揺れは一体!?とりあえず頭を守れ!出来るだけ、机などの下に入れ!」
怒号が飛び交い、甲斐の人々は命を守るために必死に動き始めていた。
無論甲斐の本拠、躑躅ヶ崎館も例外では無くこの地震に少なからず館内も慌ただしくなってしまう。
「虎昌様!、この揺れは一体何事ですか?。」
「狼狽えるな、そこまで強い揺れでは無いのだぞ。それよりも震源地の近い街がどうなっているかが心配だ。揺れが収まり次第すぐに部隊が派遣できるように準備だけは怠るなよ」
「はっ!」
すぐさま兵に指示を出し下がらせると誰かが虎昌の元まで走ってくる。
他の兵士に比べて少し背は小さく鎧は赤一色で統一してあり、ずりそうになる兜を必死に押さえながら。
「虎昌のおじちゃん!!」
少し合ってない兜をクイッと上に上げ、顔が見える、そこにいたのはなんとも可愛らしい少女の顔がそこにある。
「どうした!、昌景!」
「おじさん、まだ私は襲名はしていませんのでまだ「綾」と呼んでください!!」
少し頬を膨らませ機嫌を損ねる彼女、妙に威圧がある鎧と違い、年頃の娘らしさが出てしまうようだ。
「すまん、綾。ところで一体何が合ったんだ!?」
虎昌が謝るとすぐに機嫌を直し彼女はある方向を指差す。
「あの方向から、かなりの魔力の流れが感じます。確かあそこには……」
「あぁ、お館様がおられる場所な筈だが一体どのような模擬戦をしているのか、少し気になってしまう。これではまるで戦争をしているようだぞ」
「流石、信玄様ですね、私もあのぐらい強くなりたいです!おじさん!!」
「そうだな、だが相手はあの「謙信公」だ我々が加勢に行っても足でまといになるかもしれん」
「そうですね。叔父さん今日姉さんを止めようとして一撃で吹き飛ばされてしまいましたからね」
純粋な少女の一言に精神的ダメージを、受けてしまう虎昌。
「まぁ……確かにそうだが。」
「確かに、姉さんは強いのもわかりますけどもう少し信玄様が上がるまで足止めができればよかったんですけどね、叔父様」
「無理を言うな、相手は「軍神」と呼ばれる程の化け物相手にいくらワシ一人では勝てないぞ。お前達「新四天王」全員とワシと勘助が挑んでやっと時間稼ぎが出来るレベルの強さを持っておられるだ」
ちょうど一年前ほどになる川中島での戦にて武田は初めて越後の龍の強さを体感したのだ。
「それを一人で数秒程止めたワシをもう少しは評価してもらいたい」
「まぁ、叔父様が無理なら私等でもかなり厳しいからねあの人は……でも今回ばかりは洒落にならないかもしれないね」
綾が指を指す方向に視線を移すと二つの魔力の塊がぶつかりあっていたのだ。
「うむ、事態はかなり深刻かもしれん……お館様が「奥の手」をお使いになっておられると見て違いない」
激しい魔力のぶつかり合いに虎昌は最悪の事態を考える。今までの模擬戦でこの規模でやり合うことは川中島以来かもしれないがそれ以上に激しいかも知れないと。
「綾、すまないが……あの周り以外に結界を張るように伝えてくれ。それと出来るだけ市民の方々をこの館に避難できるようにしてもらいたい。若い人と子供を優先的に後は専門的な知識がある物もだ」
「はい!、そのように手筈は整えておきます!」
「うむ、頼んだぞ」
綾が走るのを見送った後、虎昌はもう一度魔力同士がぶつかり合う模擬戦場に目を向ける。
「お館様……どうかご無事で」
何度目の斬り合いだろうか、既にお互いかなりの手傷を負っている状態だ。
「人間風情が……この私と互角にやり合うとは……」
忌々しげにこちらを睨みつけてくる「謙信」微塵も疲れた表情は見せないのだが魔力はかなり消耗してしまっている。
「いや…本当……そろそろ休ませて欲しいんだけどな……」
対して信玄の方は…「楯無」からの魔力供給のおかげでまだ戦えるが、既に体の方が限界をむかえてしまっている。
既に即死級の一撃を「楯無」の防御力と対神性防御と自前の魔術による防御という三重にかけてなんとか死なずにいるのだが、既に自身の魔力量が枯渇し始めていた。
(「不味いな……次で決めないとな。どうすることもできなくなる、「楯無」の魔力を攻めに回すと多分瞬殺されてしまうだろな」)
何回かの斬り合うたびに体に激痛が走ってしまう。「楯無」のおかげでこの程度で済んでいるのだが、所詮ただの人間が神に対して敵うはずが無いむしろここまでやり合えていること事態異常なのだ。
「だが、お前自身の魔力はどうやら限界そうだなその状態で我に勝つつもりか?」
「フン、それがわかっているならもう少し手加減してほしいものなんだがな。ここまで食い下がった、人間はなかなかいないと思うんだが?」
「手加減?はてその必要はないだろう?貴様は我に対してこの女よりマシと言ったのだぞ。何故加減する必要があるのだ?」
「おい、神がそんな小さな事で根に持つとはな。神というより人間の子供と対して変わらないとおもうんだがな」
キュイン!と「謙信」はその場から姿を消してしまう。
「そうやってすぐ挑発に乗ってしまうのが人間らしいといったばかりだろう!」
単調な動きは読みやすいが、既に回避系のスキルは全て使い果たしてしまっている。
もはや、魔力が少ない状態でのダメージは受けたくない。その為後一回分残っていた索敵スキルを使い奴の動きをとらえる。
既に刀は折れてしまい、残った獲物は、軍配に似た斧剣だけなのだが、既に刃こぼれだらけでいつ折れてもいいぐらいに磨耗してしまっている。
ガギィン!!と何回目になるかわからない刃同士のぶつかり合いが響く、同時に二人の魔力の余波により、彼ら二人のいる場所が少しだけ沈む。
「チィ!」
なんとか弾き返すがそこまでが精一杯であった。
グラっと態勢を崩してしまう、とうとう体に限界が来てしまった。
それを見過ごす程奴は甘くは無かった。
「オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ」
奴が唱えた瞬間、持っていた槍が黄金に輝き出し、三叉戟に姿を変える。
「これで終わりだ」
無慈悲に告げられ、黄金の戟が信玄に襲い掛かる。
「兜跋神槍……人よ我が武力の前に恐れを抱くがよい」
放たれた一撃は信玄の数倍ぐらいあるレーザーとなり彼の体を包み込む。
レーザーが通り過ぎる頃には彼の肉体だけが消えており。
ドサッと、主人を失った「楯無」だけがその場に崩れ落ちてしまう。
「勢い余って殺してしまったか……まぁ良いか惜しい人間ではあったがそれも仕方ないと言うーー」
それ以上奴が喋ることは無かった。腹を殴られた為なのと、一気に力が抜けていく感覚に襲われてしまったからだ。
しかも、ただ力が抜けていくだけで無かった。何かに拘束されながら力を奪われていくような感じであった。
「まさか……これが…貴様の「奥の手」か」
「「謙信」は薄れゆく意識の中殺した筈のとるに足らない人間の姿に驚く」
「あぁ、確かに「楯無」は奥の手ではあったさ。だがこれは勝負事での話だ。これは俺の個人的な物だな」
フラフラと体を揺らしながらも彼はしっかりと彼女を見つめる。例え声は届いていなくても今伝えるべきだと思ったからだ。
「一応、手段は別として俺もお前といると楽しかっただが、俺は「軍神」としてのお前よりも「人」としてのお前の方がいい」
「………」
「だからこそ「人」としての幸せになってもらいたい。これは俺のわがままなのかもしれんがな」
信玄は言うべきことは言ったとしてすぐに眼前の「神」を見る。
「まさかこんな形で負けるとは思いもしなかったな」
「だろうな、だがこれでお前が表の人格として出てくることはまず無いと思う」
信玄が使った「奥の手」は彼女の中にいる神という存在を封印するための封印術、当たれば必中の対神性特攻なのだが、これが発動させるのには条件があった。
まず直接触れること、それと神性の魔力をある程度削ることが条件となっていた。
その為に、ある程度互角に戦える状況と相手が油断する隙が必要であるのだがこれのどちらかわ任せられるものがいなかった。
その為、信玄はあらゆる手を尽くし「楯無」を完成させいくつかの特訓をしてここまでに至ったのである。
「まったくつくづく慎重な男だとは思ってはいたがここまでやるとはな。まさかかみを封印するとはな……」
「ある程度は覚悟はしていたがここまでになるとは思ってもいなかったからな……」
カクンと「謙信」が膝をつく、どうやら封印術が効いてきたのか意識が遠のいているようだ。
「何か……言い残す事はあるか?」
「いや、無いな。これ以上の驚きは無いとは思いたいな。だが」
真っ直ぐ信玄の顔を見てかの武神の化身は不敵に笑う。
「もし、彼女が力が欲する時が来た時必ず封印は解かれるだろう。その時は真っ先に殺しにいってやるぞ」
「あぁ、ならばこちらはその間策を考えて迎え撃つまでだ」
信玄の答えに満足したのか、高笑いをしてその場に崩れ落ちた。
「はぁー、疲れた」
それを見届けた、信玄もその場に倒れ込む。体に傷こそないものの、魔力切れにより一歩も歩く事はできない。
そして彼は仰向けに転がり空を見上げながらこう締めくくった。
「もう二度とこいつとは模擬戦はしたくは無い」
この模擬戦は武田の歴史の中で一番激しいものとされたのだが、甲斐人々はそうは思わず壮大なる「夫婦喧嘩」として噂を広め、少しの間観光名所として有名になったことに信玄は頭を抱えてしまうことになってしまう。
もはや模擬戦とは名ばかりの殺意を向けてくる。神の化身と化した彼女の一撃を信玄は楯無で受け止める。
ゴガガガガ!!と信玄の周りの地面が地割れのように亀裂が入るのと同時に地面が抉り取られていく。
あまりの余波に甲斐国全体に軽い地震のような揺れが襲う。
「なんだ!?」
「この揺れは一体!?とりあえず頭を守れ!出来るだけ、机などの下に入れ!」
怒号が飛び交い、甲斐の人々は命を守るために必死に動き始めていた。
無論甲斐の本拠、躑躅ヶ崎館も例外では無くこの地震に少なからず館内も慌ただしくなってしまう。
「虎昌様!、この揺れは一体何事ですか?。」
「狼狽えるな、そこまで強い揺れでは無いのだぞ。それよりも震源地の近い街がどうなっているかが心配だ。揺れが収まり次第すぐに部隊が派遣できるように準備だけは怠るなよ」
「はっ!」
すぐさま兵に指示を出し下がらせると誰かが虎昌の元まで走ってくる。
他の兵士に比べて少し背は小さく鎧は赤一色で統一してあり、ずりそうになる兜を必死に押さえながら。
「虎昌のおじちゃん!!」
少し合ってない兜をクイッと上に上げ、顔が見える、そこにいたのはなんとも可愛らしい少女の顔がそこにある。
「どうした!、昌景!」
「おじさん、まだ私は襲名はしていませんのでまだ「綾」と呼んでください!!」
少し頬を膨らませ機嫌を損ねる彼女、妙に威圧がある鎧と違い、年頃の娘らしさが出てしまうようだ。
「すまん、綾。ところで一体何が合ったんだ!?」
虎昌が謝るとすぐに機嫌を直し彼女はある方向を指差す。
「あの方向から、かなりの魔力の流れが感じます。確かあそこには……」
「あぁ、お館様がおられる場所な筈だが一体どのような模擬戦をしているのか、少し気になってしまう。これではまるで戦争をしているようだぞ」
「流石、信玄様ですね、私もあのぐらい強くなりたいです!おじさん!!」
「そうだな、だが相手はあの「謙信公」だ我々が加勢に行っても足でまといになるかもしれん」
「そうですね。叔父さん今日姉さんを止めようとして一撃で吹き飛ばされてしまいましたからね」
純粋な少女の一言に精神的ダメージを、受けてしまう虎昌。
「まぁ……確かにそうだが。」
「確かに、姉さんは強いのもわかりますけどもう少し信玄様が上がるまで足止めができればよかったんですけどね、叔父様」
「無理を言うな、相手は「軍神」と呼ばれる程の化け物相手にいくらワシ一人では勝てないぞ。お前達「新四天王」全員とワシと勘助が挑んでやっと時間稼ぎが出来るレベルの強さを持っておられるだ」
ちょうど一年前ほどになる川中島での戦にて武田は初めて越後の龍の強さを体感したのだ。
「それを一人で数秒程止めたワシをもう少しは評価してもらいたい」
「まぁ、叔父様が無理なら私等でもかなり厳しいからねあの人は……でも今回ばかりは洒落にならないかもしれないね」
綾が指を指す方向に視線を移すと二つの魔力の塊がぶつかりあっていたのだ。
「うむ、事態はかなり深刻かもしれん……お館様が「奥の手」をお使いになっておられると見て違いない」
激しい魔力のぶつかり合いに虎昌は最悪の事態を考える。今までの模擬戦でこの規模でやり合うことは川中島以来かもしれないがそれ以上に激しいかも知れないと。
「綾、すまないが……あの周り以外に結界を張るように伝えてくれ。それと出来るだけ市民の方々をこの館に避難できるようにしてもらいたい。若い人と子供を優先的に後は専門的な知識がある物もだ」
「はい!、そのように手筈は整えておきます!」
「うむ、頼んだぞ」
綾が走るのを見送った後、虎昌はもう一度魔力同士がぶつかり合う模擬戦場に目を向ける。
「お館様……どうかご無事で」
何度目の斬り合いだろうか、既にお互いかなりの手傷を負っている状態だ。
「人間風情が……この私と互角にやり合うとは……」
忌々しげにこちらを睨みつけてくる「謙信」微塵も疲れた表情は見せないのだが魔力はかなり消耗してしまっている。
「いや…本当……そろそろ休ませて欲しいんだけどな……」
対して信玄の方は…「楯無」からの魔力供給のおかげでまだ戦えるが、既に体の方が限界をむかえてしまっている。
既に即死級の一撃を「楯無」の防御力と対神性防御と自前の魔術による防御という三重にかけてなんとか死なずにいるのだが、既に自身の魔力量が枯渇し始めていた。
(「不味いな……次で決めないとな。どうすることもできなくなる、「楯無」の魔力を攻めに回すと多分瞬殺されてしまうだろな」)
何回かの斬り合うたびに体に激痛が走ってしまう。「楯無」のおかげでこの程度で済んでいるのだが、所詮ただの人間が神に対して敵うはずが無いむしろここまでやり合えていること事態異常なのだ。
「だが、お前自身の魔力はどうやら限界そうだなその状態で我に勝つつもりか?」
「フン、それがわかっているならもう少し手加減してほしいものなんだがな。ここまで食い下がった、人間はなかなかいないと思うんだが?」
「手加減?はてその必要はないだろう?貴様は我に対してこの女よりマシと言ったのだぞ。何故加減する必要があるのだ?」
「おい、神がそんな小さな事で根に持つとはな。神というより人間の子供と対して変わらないとおもうんだがな」
キュイン!と「謙信」はその場から姿を消してしまう。
「そうやってすぐ挑発に乗ってしまうのが人間らしいといったばかりだろう!」
単調な動きは読みやすいが、既に回避系のスキルは全て使い果たしてしまっている。
もはや、魔力が少ない状態でのダメージは受けたくない。その為後一回分残っていた索敵スキルを使い奴の動きをとらえる。
既に刀は折れてしまい、残った獲物は、軍配に似た斧剣だけなのだが、既に刃こぼれだらけでいつ折れてもいいぐらいに磨耗してしまっている。
ガギィン!!と何回目になるかわからない刃同士のぶつかり合いが響く、同時に二人の魔力の余波により、彼ら二人のいる場所が少しだけ沈む。
「チィ!」
なんとか弾き返すがそこまでが精一杯であった。
グラっと態勢を崩してしまう、とうとう体に限界が来てしまった。
それを見過ごす程奴は甘くは無かった。
「オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ」
奴が唱えた瞬間、持っていた槍が黄金に輝き出し、三叉戟に姿を変える。
「これで終わりだ」
無慈悲に告げられ、黄金の戟が信玄に襲い掛かる。
「兜跋神槍……人よ我が武力の前に恐れを抱くがよい」
放たれた一撃は信玄の数倍ぐらいあるレーザーとなり彼の体を包み込む。
レーザーが通り過ぎる頃には彼の肉体だけが消えており。
ドサッと、主人を失った「楯無」だけがその場に崩れ落ちてしまう。
「勢い余って殺してしまったか……まぁ良いか惜しい人間ではあったがそれも仕方ないと言うーー」
それ以上奴が喋ることは無かった。腹を殴られた為なのと、一気に力が抜けていく感覚に襲われてしまったからだ。
しかも、ただ力が抜けていくだけで無かった。何かに拘束されながら力を奪われていくような感じであった。
「まさか……これが…貴様の「奥の手」か」
「「謙信」は薄れゆく意識の中殺した筈のとるに足らない人間の姿に驚く」
「あぁ、確かに「楯無」は奥の手ではあったさ。だがこれは勝負事での話だ。これは俺の個人的な物だな」
フラフラと体を揺らしながらも彼はしっかりと彼女を見つめる。例え声は届いていなくても今伝えるべきだと思ったからだ。
「一応、手段は別として俺もお前といると楽しかっただが、俺は「軍神」としてのお前よりも「人」としてのお前の方がいい」
「………」
「だからこそ「人」としての幸せになってもらいたい。これは俺のわがままなのかもしれんがな」
信玄は言うべきことは言ったとしてすぐに眼前の「神」を見る。
「まさかこんな形で負けるとは思いもしなかったな」
「だろうな、だがこれでお前が表の人格として出てくることはまず無いと思う」
信玄が使った「奥の手」は彼女の中にいる神という存在を封印するための封印術、当たれば必中の対神性特攻なのだが、これが発動させるのには条件があった。
まず直接触れること、それと神性の魔力をある程度削ることが条件となっていた。
その為に、ある程度互角に戦える状況と相手が油断する隙が必要であるのだがこれのどちらかわ任せられるものがいなかった。
その為、信玄はあらゆる手を尽くし「楯無」を完成させいくつかの特訓をしてここまでに至ったのである。
「まったくつくづく慎重な男だとは思ってはいたがここまでやるとはな。まさかかみを封印するとはな……」
「ある程度は覚悟はしていたがここまでになるとは思ってもいなかったからな……」
カクンと「謙信」が膝をつく、どうやら封印術が効いてきたのか意識が遠のいているようだ。
「何か……言い残す事はあるか?」
「いや、無いな。これ以上の驚きは無いとは思いたいな。だが」
真っ直ぐ信玄の顔を見てかの武神の化身は不敵に笑う。
「もし、彼女が力が欲する時が来た時必ず封印は解かれるだろう。その時は真っ先に殺しにいってやるぞ」
「あぁ、ならばこちらはその間策を考えて迎え撃つまでだ」
信玄の答えに満足したのか、高笑いをしてその場に崩れ落ちた。
「はぁー、疲れた」
それを見届けた、信玄もその場に倒れ込む。体に傷こそないものの、魔力切れにより一歩も歩く事はできない。
そして彼は仰向けに転がり空を見上げながらこう締めくくった。
「もう二度とこいつとは模擬戦はしたくは無い」
この模擬戦は武田の歴史の中で一番激しいものとされたのだが、甲斐人々はそうは思わず壮大なる「夫婦喧嘩」として噂を広め、少しの間観光名所として有名になったことに信玄は頭を抱えてしまうことになってしまう。
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