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なんで……こうなったんだ………

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 朝早く、俺は寒さに少し震えながらも直ぐに起き上がり、顔を洗いにいく。

 「ふー、しかし今日も寒いなぁ」

 腕をさすりながら独り言を呟き、冷たい水を掬い、そのまま顔を、洗う。

 冷たい水が顔にかかり一気に眠気から目覚める。今日の寒さは朝にしては珍しく寒いような気がする。まだ冬が終わり、やっと春を迎えられると言うのだがまだ完全には冬は終わって無いと訴えるかのように寒さだけが続いているようだ。

 冷たい水で顔を引き締め、廊下を歩いているところに一人の初老と目が合うそれだけで彼はうやうやしく頭を垂れ静かに跪く。

 
 「これは……お館様、今日は朝早くからお目覚めで何よりです。」

 
 「いや、襲名してまだ一年も立ってはいないのだ。そこまで頭を下げられるわけにはいかないのだ。ましてやあなたほどの人物にそこまでのことをされる程俺は結果を残せていないのだぞ?」

 遠慮気味に俺は彼に立ち上がるように促そうと手を取ろうとするが、彼は俺の手を振り払い。より深々と頭を下げる。

 「何をおっしゃいますか!!、これほどまでに我が「武田家」が最大の版図できたのはお館様の手腕があったからこそなのですぞ!」

 さらに深く頭を下げ始める、彼を止めるために腕を掴みたちあがらす。

 「俺は、そこまでの能力は無い、何故選ばれたかさえわからないままこの「甲斐の虎」と呼ばれるのもやっと慣れ始めだがやっぱり役不足だと思うのだけどな」

 
 「そこまで謙虚であらせられるのはかえって他の者も遠慮されてしまいます。もっと自信を持って下さい。あなたほど「日本史」で語られる「武田家」の版図と同じぐらいに領地を広げた者はいないのです」

 少し鼻息を荒く、巻くし立ててくるこの老人は武田家四代に仕えた重臣「板垣信方」を襲名した老人だ。

 「それは俺が、たまたま「歴史」をよく知っていたことであり、戦術が奇跡的にうまくいったからだと思うがな。それにまさかあんな化け物に出会うとは思ってもいなかったしよ…まったくあの「将軍」の話を聞くべきでは無かった」

 「武田信玄」は深く息を吐き、庭に広がる庭園に視線を向ける。ここだけが彼にとって唯一のやすげる場所となりつつある。

 現代、この日本というか、世界は絶滅戦争になるほどの大戦が行われ未曾有の危機に陥ってしまっている。既に文明として高度な技術力は失われておるのだが、先人が残した過去の遺物はまだ使える為にまた新たな火種になりつつあるのだ。

 事態を重く見た時の政府は過去の遺物…つまり決戦兵器とも呼べるものを各地に分散させ、力の均衡を図ろうとした。

 だがそれが間違えであり、日本中に小さな軍事国家ができ始め争い合うようになり、数百年が経ち、皮肉にも戦国時代と同じ勢力図にまでなってしまう。

 彼等は求心力を得る為にかつて、この土地領土を支配していた戦国大名の名前を名乗るようになり始めた。

 それにより、国は幾らかの平和を保つことができたのだが、野心ある国は力を蓄え他国を滅ぼしにかかるようになる。

 ここ甲斐の国も例外では無く、「小笠原」に何度も攻められ、滅亡の危機になっていたところに彼「武田信玄」があわられ瞬く間に「小笠原」や「諏訪」、「村上」を滅ぼしかつての「武田信玄」と同じ領土にまで国を拡げることに成功する。

 皆は彼を「信玄公」の生まれ変わりというが本人はやられる前にやっただけであり、戦うことに関しては積極性は無い。だが平和は時代を作りたいのは本当のことであり一刻も早く戦乱を無くす為に彼は領土を拡大させる為に越後を狙った……だがそれが間違いであった事に彼は猛省し、「武田信玄」を降りようとまで考えいたのだ。

 「ハァー、とりあえず俺は風呂に入いろうと思うが……奴の件もあるから警戒は厳にしておいてくれよ」

 彼の言葉の意図を悟ったのか、「板垣信方」は黙ったまま下がる。

 それは彼が迅速に動く為にあえてしている事だと知っている彼は老将には目もくれずにすぐに風呂に向かうのであった。

 技術力は、かなり落ちてはいる。多分よくて西暦で例えると「昭和」や「平成」と言われた頃の時代ぐらいまでには衰退してしまった。むしろこの程度ですんでいる事事態が異常とさえ他国では言われている。

 「ふぅ~、生き返る~」

 湯に浸かり、満足げに疲れを癒す。
 
 ここ最近、公務続きでゆっくりとした時間が取れなかった為思わず声が漏れてしまう。

 「こう言う時は酒を飲むにかぎるな」

 
 ゆっくりと肩まで浸かり日頃の疲れを癒しながら誰かに酒を持ってこようと呼ぼうとした時

 バゴーン!!と大浴場の扉が破壊されてしまう。

 「来たか………」

 もはや呆れて何も言えないがすぐに誰がきたのかわかってしまう。

 使用人、ましてや武田の屈強な兵士や武将でも止められない最強の刺客が来てしまったのだから。

 奴の姿は白い長い髪をかき上げながら槍を振り回しながら堂々と入ってきた。

 「ヤッホー!愛しのハルくん、謙信ちゃんが遊びにきましたよ!」

 屈託のない笑顔を向けるこの裸の女は越後最強の軍神である、「上杉謙信」の名を襲名した女傑であり。

 俺のストーカーでもあるのだ。

 


 

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