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11話

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和樹は、自分の症状に気づいていない。
自分で気づくことは難しいだろう。
でも、周りの人は和樹が忘れていることに気づいてなかった。
和樹がふざけていると思っていたのだろう。

次の日────────

今日の昼休みに屋上に行く。

その事を忘れないように授業を受けている。
4時限目。
いつも眠くなる国語を終え、昼飯を食べている。
いつもの如く、1人で食べてるが今日はなんだかクラスの雰囲気が違った。

なんでかと考えていると、和樹の様子がおかしかった。
いつものはしゃぎすぎておかしい、ではなく、喋らなすぎておかしい、だ。
体調が悪いのか。
俺にはわからなかったけれど、周りの和樹の友達は、和樹の異変に気づいてないみたいだった。

昼食を食べ終わり、直ぐに屋上へ向かった。

階段を上がっていると、普通はあまり吹かない風が、踊り場にふきつける。
1番上まで上がると、屋上のドアが空いている。
いつもは、ほとんど閉まっているというのに。

「誰かいるのかな。」

屋上に入り、周りを見渡すと人の姿が。
その人は、屋上のフェンスを飛び越えようとしていた。

「ちょ、ちょっと!待って!!」

先輩か、後輩かも分からないのにタメ口で叫んでしまった。
そして、フェンスの中に連れ戻した。

「やめろっ!」

その声の主は、

「和樹。」
「なんだ、大翔か」
「大翔か。じゃないよ!何してんだよこんなところで」
「別に。何も。。」

「何も。」という声は、嘘をついてる時の声だった。

「本当は何があった?」

俺がそう聞くと、和樹は少し黙り込んで言った。

「嫌なんだよ。」
「えっ、」
「病気が進行してるって言われて、どんどん弱って死ぬ。そんな姿を見られたくないんだよ。病気ってこと隠してても、結局はバレるし、皆に気使わせたりするじゃん。そういうのが嫌なんだよ。弱っていくところを見られるのも嫌だ。」

和樹がここまで追い詰めてるって気づくことが出来なかったんだ。

「だからって、なんで死のうとするんだよ。」
「どうせ死ぬなら、苦しんで死ぬより、サッって痛みも苦しみもなく死にたい。周りのヤツらに迷惑かけずに」
「余命なんて、ただの基準だろ。実際、和樹がどこまで生きるかなんて誰にもわからないじゃん。もしかしたら、余命より長く生きるかもしれないだろ。諦めんな。」
「諦めんな。か。」
「えっ」
「ありがとな。大翔」
「俺は、別に大したことしてないよ。」
「大したことだよ。大翔は、俺の命を救ってくれた。ここに来てくれてありがとう。」
「ほんと、来てよかった。あ、思い出じゃないけどさ、明日の放課後どっか行かない?」
「おう。放課後な。久しぶりで楽しみだわ」
「俺も。教室戻ろっか」
「うん」

和樹の気持ち。気づけなかったのが、少し情けない。
でも、和樹を助けることが出来て良かった。
遊ぶ約束も出来た。
和樹を、今まで以上に支えていこう。
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