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3話

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「お母様は……最善を尽くしましたが……19時52分お亡くなりになりました。」

医者が告げたその言葉は、これからの人生を左右する言葉だった。

母さんが死んだ………

なんで。なんでだよ。
なんで母さんなんだよ。今日の朝だって、笑って、みんなで朝食食べて…
いつもと変わらない、平和な家族だったのに。
いなくなるなんて……
考えてもないし、、そんなことこんな直ぐに来るなんて思ってなかったのに。

「お母さん…泣」

俺の隣では、由香がなにも喋ることの出来ないくらいに、涙を流していた。
俺もだけど。
でも、中学生の由香の方がショックが大きかったのか。
いや、俺だって。。
俺の方が少しだけだけど、母さんと長く居たんだ。
どっちが大きいとかではない。
2人とも。
みんな悲しい思いは同じなんだ。

悲しい。
その一言では表せないくらい。
俺は、複雑な気持ちだった。

複雑と言っても、マイナスの気持ちなのには変わりない。

あの時、彼女の話してる間。
母さんは、由香はどんな気持ちでいたんだろうか。
俺が早く帰ってきてなくても、結果は同じだったかもしれない。
でも、もし早く帰ってきて母さんの代わりに買い物に行っていれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。
もしあの時。。。

もう、母さんに会えない。

そうすぐには考えられなかった。


ー数日後ー

その事実がしっかりと理解出来たのは、母さんの葬式の後だった。
葬式の手続きは、叔父さんがしてくれた。
叔父さんは母さんの6個下の弟だったから、母さんが自分より早く死ぬなんて思ってなかったってずっと言ってる。

葬式に参加した人のほとんどが
「若いのに…」「子供たち大丈夫かしら」「今からなのに…」
と、口々と言う。
でも、その一言が俺には他人事にしか聞こえなかった。
どうせ、自分のことじゃないから…って。
俺だって、母さんがいなくなって悲しんでるとは思う。
だけど、、だけど、、、

母さんの火葬が終わって、お寺に行って──────

家に帰ってきてからは、叔父さんと3人でご飯を食べた。
叔父さんとは、あまり会う機会も少なくて少し緊張気味だった。

母さんに言い残したこと。してあげられなかったこと。沢山あるし、ましては親孝行なんてまだまだ先のことだと思ってた。
だから、なんもしてなかった。
こんな未来。
考えるなんてできなかった。誰だって出来ないよ。親が死ぬ未来なんて…

夕食を済ませ、眠りにつこうとしたが眠れない。
誰だってそうだろう。
葬儀の後は直ぐに寝れない。

その時だった

「大翔くん。」

そう呼ぶ、彼女の優しい声が聞こえた気がしたのは。
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