チャラ男は愛されたい

梅茶

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Sクラス

新クラス

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「わ~2人と一緒のSクラスに入れてよかった~!またよろしくね~!」
「…ん、よろしく」
「僕も遥と一緒のクラスで嬉しいよ。これからもよろしくね?」


にこにこと顔に笑みを浮かばせながら千歳と琉生くんに話しかける。無事にテストも終わりクラス替えとなったのだが、内部生で学年1位である千歳と特待生の琉生くんはもう確定でSクラスだからね。クラス分けでは家柄も重視されるから、Sクラスは大体身分が凄く高いかめっちゃ賢くて家柄が程々にあるとかだからなぁ…特待生は家柄関係例外でよかった…

千歳と琉生くんを見て、改めて特待生としてSクラスに無事入ることが出来て良かったと安堵する。
それと2人は入学前から知り合いらしく、親しげに話しているのを聞いて驚いた。は~世間って狭いなぁ…オレの中学校の時の不良仲間に、この学園に入学できるような金持ちがいたらどうしようか。これでも不良校にいた頃よりだいぶ明るくなってると言うか、結構素で振舞っているので絶対に前の自分を知る人には見られたくない…

そんなことを考えていると、教室の入口の方が微かに騒がしくなり始める。少し気になってそちらに耳を傾けていると、ざわざわと特待生とか赤とか聞こえてきてハッとする。

そ、そうだ…!茜くんも特待生なんだった!特待生ってことはほぼSクラスだもんな~!!あれと同じクラスかぁ~~!!

……まあ、彼はデリカシーって言うものが驚くほど無いだけで悪い奴ではない…気がするので、そんなに嫌いな訳では無いのだが…割と鋭いこと言いそうだし一緒にいたら「なんでわざとそんな喋り方してんだ?」とか言われそうじゃん!?

嫌いではなく苦手、正直関わりたくない。まあ悪いやつじゃないとしても初対面で琉生くんに地味とか言う本当に失礼なやつではあるしな。そう思って無視する方向にしたんだが…


「あーっ!!お前ら、昨日の…!!な、なんでお前も同じ教室なんだよ!?」


くぅ、それはこっちのセリフだよ…!朝からそんなことを大声で言われてなんだか腹が立つ。これは流石に文句を言ってもいいだろうと眉をひそめながらそちらをみやり…ピシリと固まってしまう。

そこには、長いまつ毛に覆われた大きな薄いピンク色の目にピンクの髪という女児向けアニメの主人公のような色合いを持ち、小さな顔についた桃色に色づく唇を戦慄かせながらこちらを見る、華奢な美少年がいた。だ、誰…?


「え~…っと、どちら様ぁ~?」
「な、なにっ!?俺の事をもう忘れたのか!?お前も失礼じゃないか!!俺は鬼十 茜きとう あかねだ!!」


そう言ってむんと胸を張る自称茜くんに目を見開く。いや、もう詐欺じゃん。というかなんでこんな美少年があんなクソダサい格好するんだよ。わざわざ人に嫌がられる格好をする意味がわかんない。


「い、いや絶対嘘じゃん!昨日はマリモみたいな頭してたじゃん!!」
「あ、あれは!叔父さんがこの格好じゃ目立つから変装しなさいって…!それに、俺は見た目じゃなくて中身を知って仲良くなりたいんだ!!外見だけ見て判断するようなやつとは仲良くなれないからな!」
「はっ、なにそれ」


そういう茜くんは興奮しているのか頬を赤く染めていて大変可愛らしいが、もう正直嫌いすぎる。なんだよ中身を知って欲しいって。それで人に嫌がられるような格好するなんて馬鹿じゃないのか?人は第一印象で決まるって言うし、仲良くなりたくてもあんな格好じゃそもそも話しかけたくないだろ。

…それに、そんな…そんなことが出来たらオレだって、あの学校で自分を偽らないことだって……そうやって暗くなっていくのを自覚しながら、なんだか自分に無いものをまざまざと見せつけられたようで胃がムカムカするのを止められなかった。
それに、そんなことは言っても所詮綺麗事じゃん。なんで変装を辞めたのかは知らないけど、もしこれから仲がいい人が出来ても、それはその容姿込みだろうし昨日の状態で好きになってくれる人なんて…

その時教室でオレと千歳、そして琉生くん並に目立っていたイケメンくんがガタッと音を立てて立ち上がり、呆然とした目で茜くんを見る。


「も、もしかして君は…昨日の少年?」
「ん?お、れんか!お前も一緒の教室だったんだな!…あっいや、べ、別に変装は騙すつもりはなくて…!!」


……どうやら昨日知り合ったらしい二人の会話に、なんだか見たくも無いものを見せられる気がして目を塞ぎたくなる。そんなこっちの気分とは対照的に、怜くんとやらは目を潤ませ熱い視線で茜くんを見ている。


「っ、そんなことはどうでもいいんだ!僕は昨日君に、容姿なんて関係ない、僕の中身を見て友達になりたいと思ったんだって言って貰えて…初めて中身を見て貰えてる気がして、救われたんだ…!」
「な、なんだ?俺は当たり前のことしか言ってないぞ!」
「当たり前なんかじゃ!っいや、君にとっては当たり前なんだろうね。…僕はそんな君だから好きになったんだ。」


……好き!!??
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