上 下
198 / 215

見苦しい者の後

しおりを挟む
「さて公爵夫人…そろそろ、この夜会もお開きにした方が良いのではないか?」

「そうですわね。そういたしましょうか。」

国王様の問いかけに夫人が同意します。
夫人が立ち上がり夜会の終わりを告げようとした時でした。

「待って下さい!私はどうなるのですか!私は何も悪いことをしてないのに罰するというのですか?」

「何も悪い事をしていない?」

「そうです。確かに私はクリスティーンが亡くなる事を“知っていたが止められなかった“。それを私が殺したなどと言うなんて…大体証拠があると言っていますが、私は公爵として恨まれることも少なくありません。証言したものが私を陥れようとして行なった可能性もあるでしょう。」

公爵様が言っていることは私にはもっともらしく聞こえるのですが…嘘ですよね。
嘘だと分かっていても信じてしまいそうになる私は世界を知らないのですよね…

「それで?だから自分は悪くないと?クリスティーンについてはそうだったとしよう。ではパトリシアは?なぜ毒殺した?」

「パトリシア夫人のことは何も知りません。私は無関係です。」

「無関係か…アイザック・ジョセフよ。」

アイザックさん?どうしてここでアイザックさん?

「は、はい。」

「本来であればお前は俺の娘を拐った罪で処刑すべきところだが…まぁ、実際にはネイオウミを俺の娘にする手続きはこれからだ。そこで聞くが、お前は処刑されるのと真実を話してキャサリンと同じ地に行くのであればどちらを選ぶ?」

!!!
な、なんてことを聞くのですか?そ、そんなことを選ばせるなんて…ア、アイザックさんはどうするのでしょうか?

「そんなもの選ぶ必要もない。俺はキャサリン様について行く。どんな証言でも証拠でも出してやる。一番近くにいた俺が一番知っているからな。だが約束は守れよ。必ずキャサリン様の元に俺を連れて行け。」

お、王様になんて強気な発言を…

「アイザック~裏切る気か?ここまで面倒を見てやったのに!!」

「俺の命を救ってくれたのはキャサリン様です。あんたじゃない。今まではキャサリン様のためにジェダイナ家に仕えていただけだ。勘違いするな。」

「それでは話をじっくり聞かせてもらおう。その話を聞いて処罰を決定しよう。関係者を捕らえ連れていけ。」

そこからは逃げる公爵様やラグデル家の人達を捕らえる騎士団の人達や大人しく捕まるキャサリン様達が会場からいなくなるのを黙って見ているのみでした。
処罰が決定したら私達にも通達が来るそうです。

「皆様、お見苦しいところをお見せし大変申し訳ございませんでした。つきましては後日、皆様にはお詫びお品を届けさせて頂きたく存じます。本日はこのような状況でございますので夜会はひとまずお開きとさせて戴きます。」

公爵夫人のその声に会場にいた人達は徐々に帰って行きました。
あ、あれ?そ、そう言えば…私が国王様の娘になるとかなんとか言ってませんでしたっけ?娘になるのですか?

「あ、あのハル様…」

「ん?どうしたのイオ」

「あ、あの国王様は…私を娘になんて言ってましたが、ご冗談を仰っていらっしゃるのですか?」

「ん~恐らく本気だと思うよ。俺にも牽制かけてくるくらいだから。」

「ハル様に牽制?」

「この話は後でゆっくり時間をもらってしてもいいかな?」

「は、はい。もちろんです。」

はっ!待って下さい。
ハル様は国王様は冗談で言っているわけではないと言ってませんでした?
つ、つまり…私は国王様の娘になるのですか⁉︎
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。

112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。 愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。 実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。 アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。 「私に娼館を紹介してください」 娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました

柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」  結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。 「……ああ、お前の好きにしろ」  婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。  ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。  いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。  そのはず、だったのだが……?  離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。 ※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。

たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。 わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。 ううん、もう見るのも嫌だった。 結婚して1年を過ぎた。 政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。 なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。 見ようとしない。 わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。 義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。 わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。 そして彼は側室を迎えた。 拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。 ただそれがオリエに伝わることは…… とても設定はゆるいお話です。 短編から長編へ変更しました。 すみません

七年間の婚約は今日で終わりを迎えます

hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。

処理中です...