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女性であり妻であり母であり…
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『私の娘を殺したことそろそろ償ってちょうだい。』
公爵夫人のその言葉が残りました。
夫人はクリスティーン様を亡くされてからずっと、公爵に償いを求めてきたのでしょうか?
でしたらお義姉様のご年齢が18才ですから、その期間ずっと公爵を憎み恨んできたのでしょうか?
夫人は公爵様とはどのように出逢われたのでしょうか?
こんな事を考えていい状況ではないのでしょうが、そんな事が気になって仕方ありません。
社交界を知らない私から見ても公爵夫人は素敵な女性だと思います。
このような状況でも毅然とされている夫人は強い女性だと思います。
私は社交界でのマナーも知らず、本来であれば持ち合わせているであろう知識もなく、先ほども私は何も言う事ができないほど弱い人間です。
ハル様が私を好きだと言って下さっても約束のことが頭から離れず『私も好きです。』と素直に言うことができません。
ハル様は私とした約束のことをどう思っているのか…ってそんなことを考えている場合ではありません。
どうしてこんなことを考えてしまったのでしょうか?
そうです。
公爵夫人です。
公爵夫人は素敵な女性です。
公爵とは政略結婚だったのでしょうか?それとも公爵を愛していらしたのでしょうか?
もし愛されていたのだったら…愛した人との子供であるクリスティーン様を公爵が手に掛けたと知った時の公爵夫人の気持ちは…私には想像する事も出来ません。
1人の女性であった公爵夫人は公爵と出会って妻になって、子供を産んでお母様になって…
私もそうなるのでしょうか?
そんな事を思って無意識にハル様を見てしまいました。
私の視線に気づいたハル様が私に目線を向けます。
目が…合ってしまいました…ハル様は小声で『どうしたの?』って優しく聞いてくださいます。
私は小さく首を横に振って『大丈夫です…』と答えるのが精一杯でした。
私はハル様を見ているだけで、ハル様の側に居るだけで心が温かくなります。
ずっと一緒に居たいと思えます。
公爵夫人もそうだったのでしょうか?
だとしたら公爵夫人は今、どんな気持ちでこの場に立っているのでしょうか?
公爵夫人は今度は国王様の方を向き話し始められました。
「不敬を承知で話させていただくとすれば、私は前国王にも思うことはあるんですよ。だって全ての元凶は前国王様の行動にあるように思うのですから。」
「夫人が言いたいことは分かります。俺も今回の事は重く受け止めている。直ぐにというわけにはいかないが、俺の後継を早々にも立位する考えでいる。今しばらく思う事はあると思うが待ってほしい。」
「国王様、私は前フィッツジェラルド国王に思うことがあるのであって貴方様にではありません。立位を急いで国が傾くようなことだけはおやめ下さい。それに前王に思うことがあろうとも、夫が我が子とパトリシア夫人を手をかけネイオウミ嬢も傷つけたのはひとえに夫の弱さにほかなりません。それはニコラス侯爵にしても我が子キャサリンにしても同じです。それ故にシャーロットも罪を犯してしまったのです。こうなるまで止められなかった私にも、もちろん責任はあります。ですので、老婆の最後の頼みと思って聞いて下さいませ。ジェダイナ公爵家は我が孫ヴィンセントにお与え下さいませんか?」
「ヴィンセント・レナイトにか?」
「はい。いかがでしょうか?」
公爵夫人はそう言うと深々と頭を下げました。
公爵夫人のその言葉が残りました。
夫人はクリスティーン様を亡くされてからずっと、公爵に償いを求めてきたのでしょうか?
でしたらお義姉様のご年齢が18才ですから、その期間ずっと公爵を憎み恨んできたのでしょうか?
夫人は公爵様とはどのように出逢われたのでしょうか?
こんな事を考えていい状況ではないのでしょうが、そんな事が気になって仕方ありません。
社交界を知らない私から見ても公爵夫人は素敵な女性だと思います。
このような状況でも毅然とされている夫人は強い女性だと思います。
私は社交界でのマナーも知らず、本来であれば持ち合わせているであろう知識もなく、先ほども私は何も言う事ができないほど弱い人間です。
ハル様が私を好きだと言って下さっても約束のことが頭から離れず『私も好きです。』と素直に言うことができません。
ハル様は私とした約束のことをどう思っているのか…ってそんなことを考えている場合ではありません。
どうしてこんなことを考えてしまったのでしょうか?
そうです。
公爵夫人です。
公爵夫人は素敵な女性です。
公爵とは政略結婚だったのでしょうか?それとも公爵を愛していらしたのでしょうか?
もし愛されていたのだったら…愛した人との子供であるクリスティーン様を公爵が手に掛けたと知った時の公爵夫人の気持ちは…私には想像する事も出来ません。
1人の女性であった公爵夫人は公爵と出会って妻になって、子供を産んでお母様になって…
私もそうなるのでしょうか?
そんな事を思って無意識にハル様を見てしまいました。
私の視線に気づいたハル様が私に目線を向けます。
目が…合ってしまいました…ハル様は小声で『どうしたの?』って優しく聞いてくださいます。
私は小さく首を横に振って『大丈夫です…』と答えるのが精一杯でした。
私はハル様を見ているだけで、ハル様の側に居るだけで心が温かくなります。
ずっと一緒に居たいと思えます。
公爵夫人もそうだったのでしょうか?
だとしたら公爵夫人は今、どんな気持ちでこの場に立っているのでしょうか?
公爵夫人は今度は国王様の方を向き話し始められました。
「不敬を承知で話させていただくとすれば、私は前国王にも思うことはあるんですよ。だって全ての元凶は前国王様の行動にあるように思うのですから。」
「夫人が言いたいことは分かります。俺も今回の事は重く受け止めている。直ぐにというわけにはいかないが、俺の後継を早々にも立位する考えでいる。今しばらく思う事はあると思うが待ってほしい。」
「国王様、私は前フィッツジェラルド国王に思うことがあるのであって貴方様にではありません。立位を急いで国が傾くようなことだけはおやめ下さい。それに前王に思うことがあろうとも、夫が我が子とパトリシア夫人を手をかけネイオウミ嬢も傷つけたのはひとえに夫の弱さにほかなりません。それはニコラス侯爵にしても我が子キャサリンにしても同じです。それ故にシャーロットも罪を犯してしまったのです。こうなるまで止められなかった私にも、もちろん責任はあります。ですので、老婆の最後の頼みと思って聞いて下さいませ。ジェダイナ公爵家は我が孫ヴィンセントにお与え下さいませんか?」
「ヴィンセント・レナイトにか?」
「はい。いかがでしょうか?」
公爵夫人はそう言うと深々と頭を下げました。
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