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パトリシア・レナイトの秘密
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サミュエル公爵様は私に王家の血が流れていると言いました。
でも、私のお父様はニコラス・レナイトでお母様はパトリシア・レナイトであることも間違いないと言います。
お父様がお生まれになったレナイト侯爵家には王家の血は混ざっておりません。
お母様もはバーナバス伯爵家の生まれですから王家とは関係がありません。
それに髪の色が変化するのは王家に近い者だけですから私に王家の血が流れているのはおかしいのです。
「どういうことですか?サミュエル公爵。分かるように話してください。」
お父様も何を言われているのか分からないようです。
「よく考えれば分かる事ですよ。ネイオウミ嬢の父親は貴方で、母親はパトリシア夫人。貴方の家には王家の血は流れていない。だとしたら誰に王家の血が流れているのですか?」
だとしたら…お母様?でも…お母様はバーナバス伯爵家の生まれですよ?
「パティ?でも彼女はバーナバス伯爵家の…」
「実子ではないとしたら?」
だとしたら…
「そんな話は聞いたことがありません。」
いえ、違います…お父様…
「当然ですよ。言えるわけないでしょう?」
そうです…だって、お母様に王家の血が流れているなら…
「………?」
「本当に分からないのですか?それとも認めたくないからですか?」
きっと、そうなんだと思います。
お父様はお認めになれないのです。
だって、お母様に王家の血が流れているなんて思ってもいなかったのですから。
だから最愛のお母様を今日まで疑い続けてきたのですから。
でも、お母様に王家の血が流れているなら…お母様は不貞を行なっていないですからお父様を裏切っていませんし、私は2人の子供です。
その事実をお父様は認められないんです。
裏切られたと思い続けてきたこの十数年を認めることに耐えられないんです。
「嘘だ…自分達の過ちを誤魔化しているだけでしょう?」
それは紛れもなく王家への冒涜です。
それでも今となっては、王家に連なる方とお母様が不貞を行なっていた方がお父様のお心は平穏でいられるのでしょうね。
「なぜ誤魔化す必要が?」
「パティには…王家の…?」
「えぇ。パトリシア・バーナバス伯爵令嬢は、本当は我が父…前国王の子供です。パトリシア夫人の母親、レイリア夫人は身分が低く側室として迎える事も出来なかったと…だから秘匿されてきたと聞かされています。かくいう私もパトリシア夫人が亡くなって初めて姉であると知らされました。私の母はレイリア夫人が1人でパトリシア夫人を育てていくことを案じ、バーナバス伯爵当主との縁談を結んだと聞いています。バーナバス伯爵はレイリア夫人を快く受け入れパトリシア夫人を実のこのように育てたそうです。母が何故バーナバス伯爵家当主にレイリア夫人を託したかについては、伯爵家よりも家格が上の家ではレイリア夫人や産まれてくる子供を利用するものが出かねないと危惧したからです。バーナバス伯爵は性格も温厚でその心配もない好青年だったからだそうです。これは母から聞いた話なので間違いありませんよ。この話は王家の恥であり本来なら明かす事も禁じられる内容ですが、生憎と私の兄はこの事を隠さなくとも良いと言いましたものですから、明かさせて頂く次第となったわけです。どうです?ご理解いただけましたか?」
サミュエル公爵説明に父が膝から崩れてしまわれました。
驚きと後悔と…様々な思いに耐えられなかったのでしょう。
私もハル様が支えてくださっていなければ倒れていたかもしれません。
この時、他にもキャサリンお義母様や先ほど私を悪く言っていた令嬢達も青ざめた顔で座り込んでしまっていたようです。
唯一この時も『そんなの、ありえない!』とシャーロットだけが叫んでいました。
でも、私のお父様はニコラス・レナイトでお母様はパトリシア・レナイトであることも間違いないと言います。
お父様がお生まれになったレナイト侯爵家には王家の血は混ざっておりません。
お母様もはバーナバス伯爵家の生まれですから王家とは関係がありません。
それに髪の色が変化するのは王家に近い者だけですから私に王家の血が流れているのはおかしいのです。
「どういうことですか?サミュエル公爵。分かるように話してください。」
お父様も何を言われているのか分からないようです。
「よく考えれば分かる事ですよ。ネイオウミ嬢の父親は貴方で、母親はパトリシア夫人。貴方の家には王家の血は流れていない。だとしたら誰に王家の血が流れているのですか?」
だとしたら…お母様?でも…お母様はバーナバス伯爵家の生まれですよ?
「パティ?でも彼女はバーナバス伯爵家の…」
「実子ではないとしたら?」
だとしたら…
「そんな話は聞いたことがありません。」
いえ、違います…お父様…
「当然ですよ。言えるわけないでしょう?」
そうです…だって、お母様に王家の血が流れているなら…
「………?」
「本当に分からないのですか?それとも認めたくないからですか?」
きっと、そうなんだと思います。
お父様はお認めになれないのです。
だって、お母様に王家の血が流れているなんて思ってもいなかったのですから。
だから最愛のお母様を今日まで疑い続けてきたのですから。
でも、お母様に王家の血が流れているなら…お母様は不貞を行なっていないですからお父様を裏切っていませんし、私は2人の子供です。
その事実をお父様は認められないんです。
裏切られたと思い続けてきたこの十数年を認めることに耐えられないんです。
「嘘だ…自分達の過ちを誤魔化しているだけでしょう?」
それは紛れもなく王家への冒涜です。
それでも今となっては、王家に連なる方とお母様が不貞を行なっていた方がお父様のお心は平穏でいられるのでしょうね。
「なぜ誤魔化す必要が?」
「パティには…王家の…?」
「えぇ。パトリシア・バーナバス伯爵令嬢は、本当は我が父…前国王の子供です。パトリシア夫人の母親、レイリア夫人は身分が低く側室として迎える事も出来なかったと…だから秘匿されてきたと聞かされています。かくいう私もパトリシア夫人が亡くなって初めて姉であると知らされました。私の母はレイリア夫人が1人でパトリシア夫人を育てていくことを案じ、バーナバス伯爵当主との縁談を結んだと聞いています。バーナバス伯爵はレイリア夫人を快く受け入れパトリシア夫人を実のこのように育てたそうです。母が何故バーナバス伯爵家当主にレイリア夫人を託したかについては、伯爵家よりも家格が上の家ではレイリア夫人や産まれてくる子供を利用するものが出かねないと危惧したからです。バーナバス伯爵は性格も温厚でその心配もない好青年だったからだそうです。これは母から聞いた話なので間違いありませんよ。この話は王家の恥であり本来なら明かす事も禁じられる内容ですが、生憎と私の兄はこの事を隠さなくとも良いと言いましたものですから、明かさせて頂く次第となったわけです。どうです?ご理解いただけましたか?」
サミュエル公爵説明に父が膝から崩れてしまわれました。
驚きと後悔と…様々な思いに耐えられなかったのでしょう。
私もハル様が支えてくださっていなければ倒れていたかもしれません。
この時、他にもキャサリンお義母様や先ほど私を悪く言っていた令嬢達も青ざめた顔で座り込んでしまっていたようです。
唯一この時も『そんなの、ありえない!』とシャーロットだけが叫んでいました。
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