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価値観

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「これは…予想外の展開になってしまいましたね。」

「クラレンスでもこんなミスをする事があるんだな。」

「一体何があってこんな事になっているんだ?」

「まぁ色々あってね。」

「ふぅん。」

こんな呑気に会話をしているのはハル様とクラレンスさんと…そして何故かエド様です。
どうしてこうなったのかと言いますと、抜け出すことは造作もないと言い切ったクラレンスさんの言葉通り私達は図書室を無事抜け出す事に成功しました。
どう抜け出したかですか?
それはもう見事な…………正面突破だったんです。
私は抜け道を見つけ出してそこから追っ手さん達の目を盗んで抜け出すものと思っていたんです。
ですがお二人の考えは…私の想像とは全く別だったんです。
公爵家の方にしたら普通のことだったんでしょうか?
いえ、絶対に違います。
だって追っ手さん達も私たちが正面突破した時に唖然とされていましたもの。
はっ!それが狙いだったのでしょうか?
いえ、それも違いますね。
だってお二人はこう言いましたもの。

「案外正面突破でなんとかなるものなんだな。」

「そうでございます。もちろん練りに練った作戦を駆使して敵に気付かれずに抜け出すことがベストでしょうが、今はそんな事をしている暇はありませんからね。こういった事に不慣れなネイオウミ様にもスムーズに抜け出して頂くなら正面突破一択でしょうな。」

いえ、不慣れな私を連れてでしたら間違いなく、ひっそりこっそりがベストにございますよクラレンスさん。

「確かにそれもそうだな。」

何故ですか?何故ハル様もその意見に同意なんですか?私の考えがおかしいのですか?誰か教えてください。
何て思いながらも私はハル様に手を引かれて走っていました。
手を繋いで走るだけでも私には大変な事だったのですが、もしこれをお断りしたら私は横抱きに…いわゆるお姫様抱っこというのをハル様にされながら抜け出す事になってしまうため手を繋ぐことはお断りできませんでした。
だって、手を繋ぐだけでもドキドキで心臓が爆発しそうなのに、お姫様抱っこなんて…
とにかく手を引かれてあるお部屋に避難したのですが…そこにいらっしゃったのがエド様とアイザック・ジョセフさんだったのです。
エド様は冒頭の通り冷静に?何故こんな状況で冷静でいられるのでしょうか?とにかく冷静に話されたんですが、アイザック・ジョセフさんは驚いていらっしゃいました。
そして私は気づいてしまったのです。
夜会前に私を拐った人はアイザック・ジョセフさんだという事に。
何故気づいかと言いますと、髪の色が私を拐った人と同じブルーがかったグレーの切り揃えた髪型だったからです。
気づいた私は本来であればすぐにその事をハル様にお伝えするべきなのでしょうが…何故でしょうか?この部屋で私と同じ気持ちで3人のお話を聞いていると思うと仲間意識が芽生えてしまうような気になって…
いえ言わねばならないことは分かっているのですが、まずはこのトンデモな状況からの打開を何とか致したいものです。
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