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血の繋がった人達 イザベル視点

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少し遅れて部屋に入ると見たくもない人達がそこに居ます。
そこに居ますと言っても私が彼らの居る部屋に来たのだから当たり前なんですけれど…気が重くてそう思ってしまいます。
部屋の中央の椅子にシャーロットが座り目の前に父が座っています。
シャーロットは涙目で俯きお腹に手を当てています。
シャーロットが妊娠しているのは本当なのかもしれません。
父は…表情からは感情が読み取れません。
少し前から父の表情はこんな感じだったと思います。
私は父のその表情はネイオウミを思うが故に助けられない苦しみや辛さを隠すためだと思っていたのですが、父の今のも表情を見る限り私の思い違いだったのではと思えてなりません。
それから叔母は目を吊り上げシャーロットを睨みながら彼女の隣に座っています。
その側には何故かジェダイナ家の執事であるアイザック・ジョセフがいるのです。
できれば私はネイオウミの側に行きたいですし、エドガード様の側に行きたいと思ってしまっています。
ですが、この場で何が話され何が決められるのか、私が見届ける必要があると思っています。

「シャーロット…」

父がシャーロットに話しかけます。
ですがシャーロットは俯いたまま応えようとはしません。
叔母は焦れたようにシャーロットを責め立てますがシャーロットには聞こえていないように見えます。
思ったよりもシャーロットは弱っているのでしょう。
彼女の立場で見てみれば、妊娠して悩んでいたと思います。
なのに誰にも相談できなくて、参加した夜会では好きな男性が別の女性をエスコートしていて…その相手は義理の姉だった。
シャーロットはネイオウミに嫌がらせをしていたくらいだから、愛しい人がその相手をエスコートしている姿はさぞ辛かったでしょうね…
ただ、そうであったとしても私はシャーロットを擁護することはないでしょう。
哀れな女性だと思う事はあっても彼女の味方になることはないでしょう。
それ程までにシャーロットはネイオウミに対して傲慢な振る舞いだったのだから。
自分の醜さが巡り巡ってこの場で返ってきたのだから。
シャーロットはどうしてそこまでネイオウミを嫌ってしまったのかしら?
沈黙が部屋を支配する中、部屋の扉をノックする音が響きました。
アイザック・ジョセフが対応していると、珍しく困り果てた顔で客人を部屋に招き入れました。
客人はサミュエル公爵でした。
公爵は私達の顔を一人一人見た後で『先程の話の続きをしにきましたよニコラス侯爵。』と言い1人掛けの椅子に座られました。
サミュエル公爵は現王の弟…王弟なのですからアイザック・ジョセフも邪険にはできなかったのでしょう。
もっと言えばサミュエル公爵は名ばかりではなく能力も高く、実質的に王の右腕でもある訳ですから無理もありません。
サミュエル公爵と言えばエドガード様のお父様な訳ですから、このような状況は私にとってもあまりいい状況とは言えないですわね。
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