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騒ぎの合間

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お父様がキャサリンお義母様とシャーロットを連れ会場を一度出られました。
サミュエル公爵様はお父様と話をしなければならないからと一緒に出て行かれました。
ヴィッキーお義母様は私達が心配だからと会場に残って下さいました。
イザベルお義姉様は少し離れた場所から私達を見ていましたがお父様達と共に行ってしまわれました。
私もレナイト侯爵家の名を持っているのに共に行くことはしませんでした。
結局あの家において私は異質な存在だったのです。
そんな事を私が考えている事をハル様はお見通しなのか私の肩を抱き寄せてこう言うのです。

「イオはこれからも俺達と共に居ればいい。俺はイオに側にいて欲しい。」

なんて言うんです。
肩を抱き寄せられるのも恥ずかしのに、そんな事を言われたら普通は勘違いすると思うんです。
普通がどうなのかは分かりませんが…物語なら勘違いする所です。
でもそんな事はないと私は知っていますので勘違いしたりしません。
イザベルお義姉様のように物語の主人公になる人ならそういう事が起きるのは分かります。
でも私は物語で言うなら脇役で…いえもしかしたらシャーロットが言うように悪役かもしれなくて…そんな存在のものにはあり得ない事なのです。
物語になるくらいなんですからそういうものだと思うのです。
大体ハル様が優しくして下さり、あぁいう言葉をかけて下さるから私は…私は…ってハル様のせいにしたい訳ではなくて…望みがないのに好きになって、挙句ハル様ももしかしたらなんて勘違いしてしまっている私が一番悪い訳で…
そんなん勘違いをしている自分が恥ずかしくて遠慮がちにハル様を見上げてどう返事をすればいいか迷っているとハル様に『そこは、はいって言っておけばいいんだよ。』と言われました。

「は…はい……」



「ねぇエド兄、シャーロット嬢はともかく他の令嬢達はあの2人の姿を見てそれでもイオが悪いと言い続けるなら余程ハル兄に喧嘩を売りたいって事だろうね。」

「そうだな。ハルだけじゃなく俺達にもだけどな。………ん?ダニーはイオのことはもういいのか?」

「よくないよ。今もイオのことが好きだけど…」

「だけど?」

「イオもハル兄のことが好きなんだから見守る事にした。」

「はぁ?」

「ちょっとエド兄!声大きいよ。何なの?」

「イオもハルのことが好きなのか?」

「え?気付いてなかったの?エド兄は気づいているんだと思ってた。」

「ダニーまだまだだな。俺だぞ?」

「…………そうだったね。」

「そうか、そうか。ハルの恋が実ったのか。」

「ただね…あの約束があるからね…」

「あの約束?」

「俺達の誰も選ばないっていうやつ。」

「あぁ…それはハルが頑張るしかないな。それにまだ本命は動いていなんだから。」

「それもそっか。」

そんな私達の会話を少し離れた場所からエド様とダニー様が見てこんな話をしていたことを私は生涯知ることはありませんでした。

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