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私のせい イザベル視点

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不安そうなネイオウミを見てつい私は姉らしい事をしてあげたくなったのです。

「ネイオウミと少しだけでも2人で話せる場所はないでしょうか?」

周囲には聞こえないように、でも伝えたい人には伝わるようにはっきりと言いました。
私の言葉にネイオウミが嬉しそうにしてくれた事に私も嬉しくなりました。
だからでしょうかハロルド様が不安そうな顔をされていました。
ですが私は有無を言わせないような笑顔でハロルド様を見ます。
まさかこの行動をエドガード様が面白くなさそうに見ていたとは、この時の私は知りませんでした。
後から言われたのですがハロルド様を笑顔で見つめる私にハロルド様の方が良いのかと思い不安になったそうです。
好きな方を不安にさせたことは反省すべきですが嬉しかったです。
それは後の話なので…とにかく私は相手に納得していただくための処世術として、笑顔で相手の方に黙って貰うことは上手になっていたのでハロルド様の不安そうな顔にも一切引くことは致しませんでした。
ハロルド様もネイオウミが心配だったのでしょう最終的には折れて下さいましたがすんなりとは行きませんでした。
ハロルド様は手強い相手でした。
私は姉として緊張しているネイオウミの支えになれることにこの時は満足してしまっていました。
ですが後から後悔したのは言うまでもありません。
せめてハロルド様かエドガード様に側にいていただくようにすべきでした。
私達はサミュエル公爵家のために用意された部屋に通されました。
廊下を挟んで向かいの部屋に皆様がいるということに安心してしたのは言うまでもありません。
部屋の中に入るとネイオウミは綺麗な装いが崩れないように気をつけながら話し始めました。

「どうしましょうお義姉様。私、緊張が緊張で緊張しすぎて辛いのですがお義姉様は平気ですか?」

「落ち着いてネイオウミ。ネイオウミは初めての夜会よね?私も初めての夜会は緊張したわ。ネイオウミだけじゃないわよ。今だって慣れてきたから前ほどではなくても緊張はするもの。」

「そうなんですの?私だけじゃないのですね。良かったです。レナイト家ではお義姉様もシャーロットもお義母様もそんな風には見えませんでしたもの。」

「それは…平気なふりをしていないと緊張している事をいいことにしつこく話しかけてくる人もいるから…」

「そうなんですの?私も気をつけなくては…」

実際にそういう人達もいます。
ネイオウミの側にはハロルド様がいらっしゃるでしょうから大丈夫でしょうがネイオウミ自身も気をつけてくれた方がいいに決まっています。

「今日はハロルド様が側にいらっしゃるから大丈夫よ!」

「そうですね。」

ネイオウミはあからさまに安心した顔でそう言います。

「それからねネイオウミ、私達今は仲のあまりよくない姉妹ってことになっていると思うのよ。だから、大勢の人達がいる前ではなるべく話さないようにしましょうね。ジェダイな公爵家や叔母様とシャーロットに気付かれないためにもね。」

「そうですわね。それではあまり長く一緒にいるのも危険ですよね?」

「ハロルド様は迎え来てくださると言っていたのでそれまでは大丈夫じゃないかしら?」

「そうですが…私、皆様の所に戻ります。お義姉様は念のため後から来てくださいませ。」

そう言い部屋を出たネイオウミはそのまま行方しれずになってしまった。
ネイオウミの行方が分からなくなった私は後悔し続けました。
私が2人で話そうとしなければ…ネイオウミが狙われていると知っていたのに…私のせいで…
ハロルド様も公開されていましたがハロルド様は直ぐにネイオウミを探すために動かれていたのです。
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