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夜会仕様のイオ ハロルド視点

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夜会の準備が進む中イオの夜会用のドレスが仕上がった。
社交界に慣れていないイオのために今日は夜会と同じ装いをする事になっていた。
朝から全身のケアを行いヘアセットにメイクドレスや装飾品を身につけていく。
夜会のために1日掛で女性は準備をしていくのは本当に大変な事だと思う。
イオはそういった経験がないため1日掛で準備をすると聞き青ざめていた。
いや、青ざめていたのは母さんのせいか?
確か準備が大変だと知ったイオが『夜会が始まる前に疲れてしまいます…』と言ったら、母さんが『準備ができてからが戦場なのよ。』と言ったのを聞いて青ざめていた。
脅してどうすんだよとその時は言ったが母さんが言う様に夜会が戦場なのは間違いないんだよな。
まぁイオの事は俺が守るけど。
それにしてもシャーロット嬢は懲りもせずによくもこんなに手紙を送ってくるもんだよ。
イオへの恨言を書き連ねた手紙を最初に見た時は全員絶句した。
この手紙はイオには見せてはいけないと思った。
ダニーに『やっぱりハル兄がエスコート役をするのはイオの身が危険だ。』と言われた。
そうかもしれないと思う程にその手紙は印象的だった。
だがエドが『それはダニーがエスコート役でも同じだろう?それならハルがエスコートした方がイオのためだ。ハルをエスコート役として準備を進めているんだから。それに俺達だって動かないわけじゃないんだからな。』とサポートしてくれたのだ。
もちろんエドは俺だけを応援しているわけじゃない。
今回はイオの負担を考えて俺のままでいいと言ったまでだ。
だからダニーはエドのこの言葉に反発する事はなかった。
そして俺も意地を張って一人で何とかしようとは決してしないと心に留めた。
2人は間違いなくイオのために動いてくれるのだから。
そんな事を考えながらイオの準備が整うのを待った。

夕刻になってイオの予行準備が完了したとアリーが伝えに来た。
イオが準備していた部屋に足早に向かう。
エドやダニーも恐らく呼ばれている。
2人もりも先に俺がイオを見たいから急いだ。
部屋の扉の前に着きノックをする。

「は!はい!」

イオの声も緊張している様に感じる。
扉を開けると青い帷色のドレスを見に纏ったイオが立っていた。
黄色い髪は出会った頃よりも伸びていて毛先はオレンジがかっている。
化粧もし装飾品も身につけたイオは普段の可愛さとは変わって綺麗な女性の姿になっていた。
綺麗になると分かっていた。
分かっていたけれど女性はこんなに変わるものなのか?
俺より遅れてダニーがやって来る。
ダニーも俺と同じく固まっている。
イオは俺達が動かなくなってしまった事に驚き動揺しているが俺達もイオに動揺している。
エドが少し後に入ってきた。

「どうしたんだお前達?」

「イオが綺麗で見惚れてた。」

エドに聞かれ俺は素直にそう答えていた。
ダニーは俺の言葉に頷くだけだった。
俺の発した言葉を聞きイオが赤面していたが俺だってそれどころじゃなかった。

どうしようか…夜会にイオを参加させたくない。
こんなに綺麗なイオを誰にも見せたくない…

そんな考えが俺をを占めていた。
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