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ハロルドの覚悟②
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「シャーロット嬢に返事をせずジェダイナ公爵家の動向を探ろうと思っていた。それはイオも分かっているよね?」
まずはイオにこの事をはっきり確認する。
「はい。」
イオが理解している事に胸を撫で下ろしながらも説明を続ける。
「でもシャーロット嬢が妊娠していて更に家族には知られていないとなると俺がその子供の父親に仕立てられる可能性があるから婚約の話は断りを入れる。これは俺達にとっても予定外だけどジェダイナ公爵にとっても予想外の展開になると思う。」
本当に予定外だがお陰で早く婚約話を断る事も出来るから良かったとも思っている。
イオが首を傾げているのを見てもう少し詳しく話す事にする。
「恐らく断りを入れないのはそういう事だと思うだろうという事だ。でなければ直ぐに良い返事をするか直ぐに断るだろう。もしくは何らかの理由で直ぐには返事が出来ないが…と先方に伝えるだろう。だが俺達はそのどれもしていない。だから、公爵は自分達の動向は探られていると思われていただろう。」
「成程…」
「だがここに来てエスコートを頼まれた直後に断りを入れるとなると公爵からすれば…」
「予想外の出来事になりますね。」
イオの理解を得られてホッとする。
「そういう事だ。」
「待ってハル兄!それがどうしてイオのエスコートをする話に繋がるんだよ!」
だよな…ダニーが簡単に納得するはずはないがどうやって黙らせるか…
「婚約を断って1人で行くのは相手に付けいる隙を与えかねないからだ。」
「だったら相手はイオじゃなくても良いよな?」
イオに勘違いさせるような発言をするって事はダニーも同じ様に勘違いされても良いんだな?
「俺はお前と違って仲の良い女性はいないんだよ。」
今はどうか知らないがこう言われて答えにくいのはダニーの方だ。
「な、どういう意味だよ。」
ダニーには悪いがイオに勘違いされたくないのは俺も一緒なのだ。
「別に?それで、どうだろうイオ。嫌なら諦めるけど俺はイオが一緒だと心強いんだけど。」
イオが困るのは想定内だ。
それでも俺が夜会中も側に居たいのだからイオには悪いが話を進める。
「ハル兄のエスコートで行ったらイオがどんな目に遭うか分からないだろう?」
その事は俺も考えたが…
「大丈夫だよ俺がずっと側にいるから。」
俺が側にいて何かしようものなら…いや側に居なくてもイオに何かしようものならタダじゃおかないさ。
「大丈夫だよイオ。何かされるとかではなく俺達は一応公爵家の子息だし、イオは初めての夜会だから…社交界デビューでしょ?良くない考えの人間はどこにでもいるから念のためだよ。」
「それなら俺でも良いよな?」
「ダメだよ。シャーロット嬢のことがあるんだから。ねぇイオ俺を助けると思ってエスコートされてくれない?良いよね?イオ!」
「は、はい!」
まさかの元気のいい返事をもらえ俺は上機嫌、ダニーは沈み込んでいる。
「それじゃあ俺がエスコートするって事で決まりね!」
「イオ!ハル兄じゃなくて俺をエスコート役にしても良いんだぞ?」
「ダメだよダニー。もう決まった事だから!!」
それに、この夜会が終わったらイオにどう思われようと俺は自分の気持ちを伝えるんだから。
動揺するイオに俺は心からの喜びを笑顔で返した。
まずはイオにこの事をはっきり確認する。
「はい。」
イオが理解している事に胸を撫で下ろしながらも説明を続ける。
「でもシャーロット嬢が妊娠していて更に家族には知られていないとなると俺がその子供の父親に仕立てられる可能性があるから婚約の話は断りを入れる。これは俺達にとっても予定外だけどジェダイナ公爵にとっても予想外の展開になると思う。」
本当に予定外だがお陰で早く婚約話を断る事も出来るから良かったとも思っている。
イオが首を傾げているのを見てもう少し詳しく話す事にする。
「恐らく断りを入れないのはそういう事だと思うだろうという事だ。でなければ直ぐに良い返事をするか直ぐに断るだろう。もしくは何らかの理由で直ぐには返事が出来ないが…と先方に伝えるだろう。だが俺達はそのどれもしていない。だから、公爵は自分達の動向は探られていると思われていただろう。」
「成程…」
「だがここに来てエスコートを頼まれた直後に断りを入れるとなると公爵からすれば…」
「予想外の出来事になりますね。」
イオの理解を得られてホッとする。
「そういう事だ。」
「待ってハル兄!それがどうしてイオのエスコートをする話に繋がるんだよ!」
だよな…ダニーが簡単に納得するはずはないがどうやって黙らせるか…
「婚約を断って1人で行くのは相手に付けいる隙を与えかねないからだ。」
「だったら相手はイオじゃなくても良いよな?」
イオに勘違いさせるような発言をするって事はダニーも同じ様に勘違いされても良いんだな?
「俺はお前と違って仲の良い女性はいないんだよ。」
今はどうか知らないがこう言われて答えにくいのはダニーの方だ。
「な、どういう意味だよ。」
ダニーには悪いがイオに勘違いされたくないのは俺も一緒なのだ。
「別に?それで、どうだろうイオ。嫌なら諦めるけど俺はイオが一緒だと心強いんだけど。」
イオが困るのは想定内だ。
それでも俺が夜会中も側に居たいのだからイオには悪いが話を進める。
「ハル兄のエスコートで行ったらイオがどんな目に遭うか分からないだろう?」
その事は俺も考えたが…
「大丈夫だよ俺がずっと側にいるから。」
俺が側にいて何かしようものなら…いや側に居なくてもイオに何かしようものならタダじゃおかないさ。
「大丈夫だよイオ。何かされるとかではなく俺達は一応公爵家の子息だし、イオは初めての夜会だから…社交界デビューでしょ?良くない考えの人間はどこにでもいるから念のためだよ。」
「それなら俺でも良いよな?」
「ダメだよ。シャーロット嬢のことがあるんだから。ねぇイオ俺を助けると思ってエスコートされてくれない?良いよね?イオ!」
「は、はい!」
まさかの元気のいい返事をもらえ俺は上機嫌、ダニーは沈み込んでいる。
「それじゃあ俺がエスコートするって事で決まりね!」
「イオ!ハル兄じゃなくて俺をエスコート役にしても良いんだぞ?」
「ダメだよダニー。もう決まった事だから!!」
それに、この夜会が終わったらイオにどう思われようと俺は自分の気持ちを伝えるんだから。
動揺するイオに俺は心からの喜びを笑顔で返した。
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