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ハロルドの覚悟①

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ジェダイナ公爵家から招待状が届いた。
俺にはシャーロット嬢からも手紙が届いていた。
内容は至って不快な内容で婚約の返事をしていないことをいい事に夜会のエスコートをするように要求してきた内容だったためため息をついてしまった。
不快だったのはその事ではなく、イオには伝えていないが手紙には終始イオの事を悪く書いていたのだ。
仮にも義姉な訳だ。
しかも今は俺達の婚約者候補でもあるのに、どうしてイオを貶してシャーロット嬢自身がよく思われる思ったのだろうか?
エスコートの話は丁重に断ろう。

「婚約話を直ぐに断らなかったことでシャーロット嬢は期待しているようだな。」

「勘弁してほしい。エスコートの件については直ぐに断っても良いよな?よからぬ噂にでもされてはかなわないからな。」

「そうだなぁ。…」

「旦那様。少々お耳に入れたい情報がございます。」

今は事を荒立てても情報を手に入れられなくなっては困るからな。
そう思っていた矢先だった。
クラレンスが親父に何やら伝え始めたのだ。

「何だと⁉︎よく調べてくれたクラレンス。ハル、エスコートの件は直ぐに断る。それから、夜会の間は不用意に近づかなくていい。できれば今直ぐにでも婚約話を断った方がいいな。」

婚約話も?

「何があったのですか?」

「シャーロット嬢は身籠っているそうだ。クラレンスが掴んだ情報だから間違いはないだろうな。相手はレイモンド・アッセルだろがわざわざ婚約を解消してハルに婚約を申し込んできているのはお前を父親にしようとしていると考えていいだろうな。まだジェダイナ公爵もキャサリン・レナイト夫人も知らない情報だ。知っているのはジェダイナ公爵家の執事であるアイザック・ジョセフだけのようだ。2人がそんな大事な話を共有する程の仲なのかは探る必要があるがな。」

シャーロット嬢が妊娠?それなのに俺に婚約話を持ちかけているのか?いやそうしているのはジェダイナ公爵だがシャーロット嬢が強請った可能性が非常に高い。
それに妊娠の事を知っているのがジェダイナ公爵家の執事だけだなんて…それにしてもクラレンスは一体どうやってそういう事を調べてくるんだ?優秀だけど恐ろしいな。
とにかく万一にも彼女と関わったことで在らぬ噂をされてお腹の子供父親にされてはかなわない。

「そんな事情なら直ぐに断りを入れて下さい。下手に巻き込まれたくない。」

「分かった。そうしよう。」

断るのは俺としては非常に嬉しい事だがこの事でイオに何かされては困るな…俺もイオへの気持ちをこのまま隠していていい事なんてないんだし社交界にも牽制をしておきたいところだな…

「ねぇイオ、お願いがあるんだけど。」

「何でしょうか?」

「今回の夜会のイオのエスコート役を俺にさせてくれないか?」

終始側にいて離れなければイオを守れるし俺もシャーロット嬢と変に関わらなくて済むしな。
それに社交界への牽制にダニーへの牽制もできるしな。

「何でだよ!!!」

そんな事を考えていたらダニーが怒りをぶつけてきた。
でも俺はもう決めたんだ。
自分と向き合う事も、イオと向き合うことも。
だからダニーには悪いけど俺は絶対にイオを離さないよ。
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