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約束に縛られていく

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ハル様の婚約者候補と言われ私は怖くなりました。
婚約者候補…いつかはハル様とお別れをしなければならない…まして好きになってしまったなんて知られてはいけないのだ。
私はお誕生日を祝ってもらって、プレゼントまでもらって、こうして街まで一緒に出掛けられて…いつも優しくして頂いてるから忘れていたのかもしれません…
ハル様のご友人であるマルコイさんがこの様に来られたということは、約束を忘れてはいけないという事を私にもう一度お伝えするためなのかもしれませんね。

「あの私は…」

「イオ大丈夫だよ。マルは軽い感じだけど悪い奴じゃ無いからそんなに警戒しなくても。」

「えつ?俺ってば警戒されてたの?」

「あの状況で警戒されないとでも思ったのか?どう考えても怪しいやつにしか見えないだろう?」

「そうかな~?そうだった?ん~と何て呼んだらいい?」

「あっ!失礼しました。私、ネイオウミ・レナイトと申します。」

「俺もイオちゃんって呼んでも良い?」

「お前、初対面で馴れ馴れしすぎ…」

「私は…何と呼んで頂いても大丈夫ですが…」

「そう?それじゃあイオちゃんで!それにしても婚約者候補ちゃんは可愛いね!」

か、可愛い⁉︎
失礼かもしれませんが、マルコイ様はもしかしなくても特殊な趣味をお持ちの方なのでしょうか?
私を可愛いなんて…ありえません!

「マルコイ様は…変わっていらっしゃるのですね?」

「どういう事?」

はっ!思ったままをお伝えしてしまいました。
お気をつけ悪くされるかもしれません…

「あの…それは…」

「マルそんな風に怯えさせるな!とりあえずイオの本を選んだらどこかで話を聞くから少し待っていろ!」

そうでした。
ここは本屋です。
突然すぎて忘れていました。

「え~俺も選ぶの手伝いたいな~」

「突然来て何なんだよお前は。ここはいいから次の場所を手配してろ!」
「ちぇっ。少し位良いじゃん。嫉妬深い男は嫌われるぞ!」
「うるさい!」
「大体そんな風にしながら逸れようとか考えているんでしょ?」
「チッ…」
「やっぱり…」

マルコイ様とハル様が何を話されているかは聞こえませんでしたが仲がとても良いのだなと思いました。
私にもそういう友人が居たら良かったのに…と思ってしまいます。
結局マルコイ様は私が本を選ぶのをお店の外で待つことにされたようです。
ハル様は不服そうにされていましたが何かあったのでしょうか?

「それじゃあ俺は店主に言ってくるからイオはここで待っていて!」

「はい。あの、ハル様。本当にありがとうございます。」

「うん。」

ハル様が本の会計のために暫く離れられました。

「イオちゃん。ハルは会計かな?」

「あっ!マルコイ様。お待たせして申し訳ありませんでした。」

「いや、良いんだよ。ねぇイオちゃんハルは良いやつだよね!分かりにくいけどさ!」

「はい…」

分かりにくいと思った事は無かったので歯切れの悪い返事になってしまいました…

「お願いなんだけどハルの事、傷つけないでね。」

突然マルコイ様が言われたその話に頭を思い切り殴られた様な感じになりました。
マルコイ様がその後も何か話されていましたが私には何も聞こえてきませんでした。
ハル様の大切なご友人に傷つけないで欲しいと言われ…ハル様を好きになった私はハル様を傷つけるかもしれない存在になったのかもしれないと苦しくなったのです。
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