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長男

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イオの姉ちゃんが来る事になったのは本当に嬉しい。
イオも喜んでいたしな。
しかもイオの誕生日に来るなんて良い事づくしだ。
それに皆でお茶会をした事も俺は嬉しかった。
時間が合えば食事を一緒にとる事はあるけど、今日の様に過ごしたのはイオが来てから初めてかもしれない。
いや…イオが来る前も無かったか?
俺達は仲は悪く無かったけど互いに干渉もしなかったからな。
だから、俺が今日2人を呼んだ時に来ると言うかは半々だった…2人には俺の気持ちを伝えておきたかった。
だってイオの姉ちゃんが俺の想い人なら…俺は気持ちを伝えようと思っている。
婚約者がいる相手に手を出す行為と取られるだろうから問題だと分かっている。
だから2人には先に話しておかないといけないと思った。


コンコン

夜も更け部屋の扉がノックされる音が響く。

ガチャ

扉を開けて入ってきたのはダニーだった。

「あれ?ハル兄はまだ来てないの?先に来ていると思ったんだけど?」

「いや、まだ来ていないぞ。」

「部屋に寄ったらいなかったんだよね。」

そう言いながらソファにかけるダニー。

「来るまで少し休んでいろ。」

ハルはああ見えて時間に遅れたりはしない。
何かあったのか?

「ねぇ何で俺たちを呼んだの?」

「話があったからだよ。」

「イオのお義姉ちゃんの事を何でエド兄は相談されたの?」

「さぁ。イオが話してくれたから。」

そういえば何でだろうな?
そのおかげで想い人に会えるかもしれないんだけどな。

「ふ~ん。イオからなんだ…」

ダニーは何が知りたいんだ?

コンコン

「ハル兄かな?」

ガチャ

「悪い遅くなった。」

ん?ハルの顔色…悪くないか?

「何かあったのか?」

「いや…それで話って?」

ダニーの向かいのソファに座り要件を尋ねてくるハル。

「夜遅くに悪いかったな。お前達に伝えておきたいことがあってな。」

「伝えたい事?」

「俺の想い人が見つかったかもしれない。」

「見つかったの?」

ダニーしか質問してこないところを見ても、ハルに何かあったのだろうと思う。
言わないって事は今は何も話したくないって事だよな…
質問はしてこないが話は聞いているからこのまま続けても良いだろうな。

「かもしれない…だ。」

「かもしれないって…それ位の情報で俺達を呼んだの?」

ダニーの言う事は最もだな…でも先に伝えておきたかったんだよな。

「ダニー違う。エドがそういう言い方をするって事は確信があるんだよ。そうだろう?」

「かもしれないってのは本当。でもハルが言う通り確信があるのも本当だ。」

「それで?」

「ん?」

「誰なの?」

ハルが俺をジッと見る。

「イオ…」

「イオ⁉︎」

俺が言うのも何だけど最近のダニーは落ち着きがないな…

「の姉ちゃん。」

「イザベル嬢?」

「あぁ。」

「どういう事?」

「じゃあイオの誕生日にはっきりするんだ?それで?俺達にそれを伝えたってことは無茶する気もあるんだ?」

「場合によっては…」

「場合によっては、って?」

「2人だけで話進めるなよ。」

「その時にならないと分からないな。」

「そう…分かった。話はそれだけなら俺はもう行くけど良い?」

「あぁ。」

「ちょっハル兄?」

ハルはそのまま部屋を出て行った。
ハルには言いたい事は伝わったと思う。

「どういう事だよ?」

ダニーはいつからこんなに察しが悪くなったんだ?



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