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息子
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兄の話に付き合って、更に政務を行なって帰宅できたのは今日も深夜だった。
部屋にはいつものようにクラレンスが軽食の準備を整えてくれている。
今日は食事をしたらすぐに休もうかと思っていたらヴィッキーから話があると言われる。
「あのね、疲れているのは分かってるのだけど私達の可愛い息子がね貴方に話があるんですって。」
私に話があるというとイオの事で悩んでいる…
「ハルか?ダニーか?」
「何でその2人なの?」
「最近の2人は何か悩んでいるのだろう?だからそうなのかと…まさかエドなのか?」
「エドはやっぱり長男ね。決める時はきちんと決めるのよ。私は席を外すからたまには男同士で真剣な話をしてあげて。私は詳しい話を聞いてないから後で教えてねロビン。」
そう言いヴィッキーは私の頬に口付けてから部屋を出て行った。
少し待っていると扉がノックされる。
「エドガードです。」
「入れ。」
いつものエドの声とは違って聞こえ動揺する。
私は息子と真剣に話す事に緊張しているんだと思う。
ガチャリ
中に入って来たエドの表情が強張っているところを見ると緊張しているのが分かる。
「母さんは?」
「大事な話のようだから…と席をはずしたよ。」
「そっか。悪いことしたな…親父も疲れているのに悪い。」
「気にするな。まぁ座れ。」
ソファに掛けたエドは、クラリスが用意していった飲み物を手にするでもなくジッと見つめている。
話し出し難いのかエドは黙っている。
私はエドの気持ちが整うのをまった。
時計がカチカチと進む音が大きく聞こえる。
エドは決心したのか真っ直ぐに私の顔を見た。
「あのさ…。」
「あぁ。」
「イオと話をして…さ」
「あぁ。」
「見つかったかもしれない。」
「ん?」
「見つかったかもしれないんだ。」
エドが何を言いたいのか分かってやれなかった。
「エド、何が見つかったんだ?」
「俺の好きな女。」
イオと話して分かったって事はエドが好きな相手って…
「イオだったのか?」
「へ?違うよ。何で?」
「今の話を聞く限りそれしか考えられんだろう?」
イオじゃないのか…息子達が全員イオを好きになったらそれはそれで悩むからな。
「あっあぁ、そっか…いや違うんだけど。イオの姉ちゃんの話を聞いたんだ。」
イオのお義姉さん?それはつまり…
「まさか…‼︎相手ってイザベル嬢か?」
「……うん。」
「それは確かなのか?」
「分からない。そうかもしれないし、違うかもしれない。でもイオの話を聞いて…その…特徴が似ているんだよ。」
「特徴…というと?」
「髪の色と性格。」
「だけか?」
エドの話を確かめたくて急かすように聞いてしまった。
後から考えると責めているように聞こえただろうと反省した。
「…はい。」
「それで?」
「イザベル嬢がその人か確かめる。」
「で?」
「もしそうなら…」
「イザベル嬢には婚約者がいるんだぞ?下手にお前が想いを告げても困らせるだけじゃないか?」
「……………。」
兄と話をしていた渦中の人物でもあったため口調が厳しくなってしまっていた。
もし本当にイザベル嬢ならエドが辛い道を行く事になるかもしれないと思ってしまったからだ。
「分かってる。でも…せめて確かめたい。会ってみたいって…昨日今日で決めた訳じゃないんだ。イオに聞いてからこの1週間悩んで決めたんだ。」
「たった1週間悩んだ位で決めれる問題か?」
あのエドが1週間も悩んだんだ、簡単に決めた訳じゃないことは分かっていた。
それでも私は言ってしまった。
だが…
「決められないよ!そんな簡単な事じゃないって分かってるよ!でも、いくら悩んだって結果は変わんねぇんだよ!俺は……会いたい…会いたいんだ……だから父さん…会わせて下さい。」
エドは“親父”ではなく“父さん”と言った。
そう言って頭を下げた。
イオと会ってお前も変わったんだな。
エド…大人になったな……。
部屋にはいつものようにクラレンスが軽食の準備を整えてくれている。
今日は食事をしたらすぐに休もうかと思っていたらヴィッキーから話があると言われる。
「あのね、疲れているのは分かってるのだけど私達の可愛い息子がね貴方に話があるんですって。」
私に話があるというとイオの事で悩んでいる…
「ハルか?ダニーか?」
「何でその2人なの?」
「最近の2人は何か悩んでいるのだろう?だからそうなのかと…まさかエドなのか?」
「エドはやっぱり長男ね。決める時はきちんと決めるのよ。私は席を外すからたまには男同士で真剣な話をしてあげて。私は詳しい話を聞いてないから後で教えてねロビン。」
そう言いヴィッキーは私の頬に口付けてから部屋を出て行った。
少し待っていると扉がノックされる。
「エドガードです。」
「入れ。」
いつものエドの声とは違って聞こえ動揺する。
私は息子と真剣に話す事に緊張しているんだと思う。
ガチャリ
中に入って来たエドの表情が強張っているところを見ると緊張しているのが分かる。
「母さんは?」
「大事な話のようだから…と席をはずしたよ。」
「そっか。悪いことしたな…親父も疲れているのに悪い。」
「気にするな。まぁ座れ。」
ソファに掛けたエドは、クラリスが用意していった飲み物を手にするでもなくジッと見つめている。
話し出し難いのかエドは黙っている。
私はエドの気持ちが整うのをまった。
時計がカチカチと進む音が大きく聞こえる。
エドは決心したのか真っ直ぐに私の顔を見た。
「あのさ…。」
「あぁ。」
「イオと話をして…さ」
「あぁ。」
「見つかったかもしれない。」
「ん?」
「見つかったかもしれないんだ。」
エドが何を言いたいのか分かってやれなかった。
「エド、何が見つかったんだ?」
「俺の好きな女。」
イオと話して分かったって事はエドが好きな相手って…
「イオだったのか?」
「へ?違うよ。何で?」
「今の話を聞く限りそれしか考えられんだろう?」
イオじゃないのか…息子達が全員イオを好きになったらそれはそれで悩むからな。
「あっあぁ、そっか…いや違うんだけど。イオの姉ちゃんの話を聞いたんだ。」
イオのお義姉さん?それはつまり…
「まさか…‼︎相手ってイザベル嬢か?」
「……うん。」
「それは確かなのか?」
「分からない。そうかもしれないし、違うかもしれない。でもイオの話を聞いて…その…特徴が似ているんだよ。」
「特徴…というと?」
「髪の色と性格。」
「だけか?」
エドの話を確かめたくて急かすように聞いてしまった。
後から考えると責めているように聞こえただろうと反省した。
「…はい。」
「それで?」
「イザベル嬢がその人か確かめる。」
「で?」
「もしそうなら…」
「イザベル嬢には婚約者がいるんだぞ?下手にお前が想いを告げても困らせるだけじゃないか?」
「……………。」
兄と話をしていた渦中の人物でもあったため口調が厳しくなってしまっていた。
もし本当にイザベル嬢ならエドが辛い道を行く事になるかもしれないと思ってしまったからだ。
「分かってる。でも…せめて確かめたい。会ってみたいって…昨日今日で決めた訳じゃないんだ。イオに聞いてからこの1週間悩んで決めたんだ。」
「たった1週間悩んだ位で決めれる問題か?」
あのエドが1週間も悩んだんだ、簡単に決めた訳じゃないことは分かっていた。
それでも私は言ってしまった。
だが…
「決められないよ!そんな簡単な事じゃないって分かってるよ!でも、いくら悩んだって結果は変わんねぇんだよ!俺は……会いたい…会いたいんだ……だから父さん…会わせて下さい。」
エドは“親父”ではなく“父さん”と言った。
そう言って頭を下げた。
イオと会ってお前も変わったんだな。
エド…大人になったな……。
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