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ハルが見たネイオウミという女性

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エドに続き応接間に入る。
小柄な女性が俺達に会釈している。
想像よりも地味な女だった。
そう装っている可能性もあるから油断はしない。
他人なんて信じられるか。
にしてもやはり見た事ない女だ。
地味な装いといい本当に侯爵令嬢か?
親父が騙されてる可能性もあるな…

「ネイオウミ嬢よく来てくれたね。待たせてすまなかったね。まずは息子達を紹介しよう。長男のエドガードだ。」

エドが会釈する。
エドは顔と体格に似合わず小さい物や小動物が好きだからネイオウミ嬢に優しく接するかと思ったが、今回の事に思う事があるのか睨んでいる。
ネイオウミ嬢は睨まれるとは思っていなかったのか一回り小さくなった様に見えた。

「「……………」」

2人は言葉を交わす事はなく会釈だけしていた。

「次に次男のハロルドだ。」

俺は初めから今回の事をよく思っていない。
公爵家の肩書きに釣られてこの話を受けたのだろうが目論見は外れたな。
ダニーはどうか知らないがエドも俺も相手にする気はない。
俺達の中から選ぼうなんて見た目に反して傲慢で高飛車な女なんだろう。
今は本性を隠しているのだろうが、すぐにその化けの皮を剥がしてやるよ。

「「……………」」

ネイオウミ嬢と目があったが直ぐに目を逸らせた。
興味があると変に勘違いされては困るからな。

「最後に三男のダニエルだ。」

最後に紹介されたのはダニーだった。
今回の件でネイオウミ嬢を相手にするとしたらダニーだけだろうな。
まぁ遊ぶだけ遊んだら最後はいつものように捨てるんだろうけど。

「どうも。あんた侯爵令嬢の割りに随分と地味な装いだね?」

「ダニエル!」

「えっ?あ~つい。気を悪くしたならごめんね。」

「……………いえ。本当のことですので。」

そう言い会釈をするネイオウミ嬢。
ダニーにしては珍しい反応だが食指が動かない位に好みじゃなかったのかもな。
ダニーがいつも相手にしている令嬢はもっと派手で自意識過剰な女が多いからな。

「はぁお前達それが御令嬢に対する紳士の態度か?失礼にも程がある。こちらからお願いして今回の話を受けてもらったのだからその態度を即刻改めなさい!」

こちらからお願いした?
それじゃあ俺達3人がネイオウミ嬢に好意を持っている様に聞こえるじゃないか!
親父と伯父が勝手に進めた話に俺達を巻き込んだくせによくそんな事が言えるな…
ふと視線を感じネイオウミ嬢を見ると目が合う。
まさか俺を選ぶとかじゃないよな?
ん?さっきまでは気にならなかったがネイオウミ嬢の髪の色は単色じゃない?
どちらかというとあの髪色は…

「お前その髪…」

無意識にそう呟いてしまっていた。
短くなった髪に触れるネイオウミ嬢をジッと見てしまう。

「義妹に切られてしまいまして…揃えてもらったのですが……すいません。」

「「「…………」」」

義妹に切られた?
そんな嘘で気を惹こうとしているのか?
それとも本気で義妹に髪を切られたとでも?
だとしたらいくら姉妹でも傷害罪だ。
ありえないな。
こんな見えすいた嘘を吐く人間を俺達家族の側に置けるか!
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