上 下
8 / 215

最悪な1週間の始まり⑥

しおりを挟む
4日目の朝は泣きすぎて頭が痛く、床の上で寝てしまったために体が痛かった。

気持ちは憂鬱なまま今日はどうしようかと考える。
でも何も思い浮かばないし何も手につかない。
ボーッとしているとあっという間にお昼になる。
父は断ってくれただろうかと思っていると使用人が私を呼ぶ。
今度は応接間に呼ばれる。
嫌な予感がした。
応接間に入るとサミュエル公爵と父が居た。

「ネイオウミ嬢。先日の返事を聞きにきたよ。」

「ご機嫌様サミュエル公爵様。先日のお話はお断りしましたよね?」

「ん?私は今日レナイト侯爵にいい返事がもらえると聞いていたのだが?」

「何か行き違いがあったのではないでしょうか?」

「行き違い…レナイト侯爵どういう事かな?」

「問題ありません。ネイオウミは御子息と結婚させていただきます。」

「お父様?」

「良いんだね?レナイト侯爵。」

父は私の話をきかず公爵様と話を進める。

〔父の言う約束って何だろう?父にとって私は要らない子だと知っている。関心なんてない事も知っている。でも…こんなの酷すぎる。結局話を勝手に進めるなら何で昨日私と話したのよ…何で余計に辛い思いをさせるのよ…〕

「それではネイオウミ嬢、どの息子にする?」

「……………………………………。」

話すと涙が流れそうで何も言えずにいると公爵様が更に話しかけてくる。

「3人の息子のうち誰と結婚する?」

「……………………………………。」

「困ったな選んでくれないと…。」

「何故…何故私なんですか?」

「そうだね。理由を知りたいなら私の息子を早く選んでくれないかな?」

「選べません。」

「選べない?それでは困るんだよ。あぁでもそうだね。息子達のことを知らなかったら選びようがないもんね。それじゃあ3日後にうちに来てくれないかな?息子達に会わせるよ。」

「私は…」

「必ずネイオウミを3日後公爵家に向かわせます。」

私は父を睨んだが、そんな事を気にする人ではなかった。
公爵様は父からそう聞くと機嫌よくお帰りになった。
公爵様が帰った後で父の書斎に行く。

「もう用はないぞ。」

「お父様…私はお断りして下さいと言いましたよね?」

「公爵相手に断れないことはお前だって分かっていただろう?」

「では初めから断るつもりは無かったと?」

「そうだ。言っただろう悪いようにはしないと。良い縁談がまとまりそうで良かったな。」

私は拳を握りしめた。
きつくきつく握りしめたから爪が掌に食い込む。
後で見たらうっすら血が滲んでいた。

「良い縁談というのは何をもって言っているのですか?」

「公爵家に嫁げるなら良い縁と言えるだろう?」

「それはお父様にとってですか?」

「何を言っている?」

「もういいです。公爵様の御子息達が私を気に入られるとは限りませんからね。今度、婚約解消になったらその時はレナイト侯爵家から出て行きますから。」

父にそう宣言し部屋を出る。
その時、父は顔はどんな顔をしていたのだろうか?


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

砕けた愛は、戻らない。

豆狸
恋愛
「殿下からお前に伝言がある。もう殿下のことを見るな、とのことだ」 なろう様でも公開中です。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。

たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。 わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。 ううん、もう見るのも嫌だった。 結婚して1年を過ぎた。 政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。 なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。 見ようとしない。 わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。 義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。 わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。 そして彼は側室を迎えた。 拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。 ただそれがオリエに伝わることは…… とても設定はゆるいお話です。 短編から長編へ変更しました。 すみません

処理中です...