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最悪な1週間の始まり②

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扉が少し開いていたため部屋の中から声が聞こえてくる。

レイモンド様とシャーロットの声だった…

「ハァ私の可愛いロッティ。君が1番可愛くて綺麗だよ。」

「レイ…あっ…好き…レイが好きなの…やぁ…いい…」

「ロッティに比べネイオウミは可愛げがないし…ハァ…色気もない…っん…こんなに私を昂らせる事も出来ない…ハァ…ロッティ…もう…」

「ダメよ…もう少し…それに…んあっ…あの人と私を比べないで…あっん…それにあの人に…ハァ…ぅ
ん…こんな事しないでね…」

「しないよ…はっ…ロッティが婚約者…だったなら…」

「大丈夫…もうすぐ…ハァ私が…んぅ婚約者になるわ…」

「ロッティ…んはっ…愛してる…」

「私もよ…レイ…あっあぁん…良いわレイ…ぅんはっ激しい…あぁんあっあっあぁ…」

2人の睦言とギシッギシッとベッドが軋む音がする。
シャーロットが私に聞かせるために仕組んだ事だと分かって、私はその場を立ち去った。
レイモンド様も結局は私との約束を守ってくださらなかったのだ。
自室に入り抱えていた薔薇が散らばるのも気にせず扉の前に蹲り両腕で自分を抱きしめる。

〔レイモンド様の"愛してる。大切にする。約束するよ。"なんて言葉に期待していた自分が嫌になる。"結婚しよう"と言ってくれた事が嬉しかったのに。結婚すればレイモンド様を信じて愛せると思っていたのに……あぁ私…また裏切られたのね…〕


その日の夜、私に無関心な父が書斎に来るように言ったので向かうと中にはシャーロットとレイモンド様がいた。

「ネイオウミ遅かったな。…その髪はどうした?」

「申し訳ありません。髪は…何でもありませんから気にしないで下さいませ。」

義母に言いつけられた用事を済ませていたため遅れてしまった私は父に咎められる。
髪のことに気づくとは思っていなかったので少し動揺してしまう。
義母は父の隣に座ったまま私を睨む。

〔黙りなさいって事?それとも機嫌が悪い?やだわこの後が怖いわ…〕

「まぁ良い。お前も座りなさい。」

「はい。」

これから何を話されるのか私には分かっていた。
それは今日2人の事を知ったからではない。
これが2回目の事だからだ。
きっと婚約者を義妹に変えるのだろう。
でなければ父が私を呼ぶ事などないのだから。

「レイモンド君をネイオウミの婚約者からシャーロットの婚約者にする。2人の意向だ。」

「ごめんなさいお義姉様…私とレイモンド様は惹かれあってしまったの。お義姉様の婚約者だから諦めようと思ってのだけど…レイモンド様も私が好きだと言って下さったから…私達は真実の愛で結ばれているの…」

「ネイオウミ嬢すまない。シャーロット嬢を愛してしまったんだ。許してくれ。」

〔2人は迫真の演技でもしているつもりなの?白昼堂々と不貞行為を働きながら真実の愛を見つけたなどと言うなんて…でも、もうどうでもいいわ…〕

「そうですか…分かりました。」

私は承諾を示す。
もうこの場からいなくなりたかったから。

「まぁ、お義姉様ありがとうございます。レイ私たち幸せになりましょ!」

「あぁ愛してるよロッティ!必ず幸せにする。約束するよロッティ。」

「話は以上だネイオウミ下がりなさい。」

「はい。失礼します。」

私は静かに父の書斎を後にした。
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