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87.夫人達の茶会②
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「アリシア夫人、オフィーリア様は陛下とは幼い頃から結婚の約束を?」
「それは…。」
「アリシア夫人、大丈夫よ。ここにいる人達は信頼できる人達だわ。私達と同じくグロリア妃の事を今もお慕いしている方達だもの。信頼してお話ししていいわ。」
「そうですわね。皆様は信頼できる方々ですものね。」
憧れの対象である2人に信頼していると言われ頬を紅潮させながら強く頷く貴婦人達。
「実は陛下とリアは運命の出会いをしていたんですの。」
『運命の出会いですの?』
「はい。皆様もご存知の通りジェイド陛下とグロリア妃はラピスラズリの誓いをしていましたわよね?」
「そうでしたわね。それも学生の時に…と聞いた時には驚きましたけどそれだけお互いを想っていたのだと思い感動しましたわ。」
ある1人の夫人の発言に皆も同意する。この時にはお茶会の殆どの参加者がアリシア夫人の話を真剣に聞いていた。
「前国王夫妻はジークフリート陛下にお伝えしていたそうなんです。」
『何をですの?』
「ラピスラズリの誓いの事をです。」
『まぁ。』
「私も初めて聞いた時は本当に驚きましたわ。でも、もしかしたらお2人は御身に起きる事を察して愛する我が子に伝えていたのでは?と思ってしまいますの。そのおかげで私の娘も救われたのですから…私にはそう思えて仕方ないのですわ。」
「お嬢様も救われたとは?」
そこでアリシア夫人は一度マレリア夫人を不安そうに見つめるんです。先程よりも一層アリシア夫人が儚げに見えて、庇護欲が誘われるんです。そこにきてマレリア夫人が力強く頷きながらも、気遣わしげな優しい話し方で"大丈夫よ"と言うから2人の信頼関係がより強調されて。それに勇気づけられアリシア夫人がまた話し始める。見ていて圧巻です。
「実は陛下がご両親を国王夫妻を亡くされた頃、リアは陛下と出会ったそうなんです。恥ずかしながら私はその事をリアが拐われてから知りました。」
「何故ですの?」
「その…信じ難い事ですが我がオーウェン侯爵家にいたリアと当時療養のためマーキス公爵邸で過ごされていた陛下が会っていたからですわ。」
「そんな事が?」「信じられない」「どういう事ですの?」と話す婦人方にマレリア夫人が言う。
「それに関しては陛下と共に領地にいた私も気付きませんでしたわ。ですが恐らく妖精の回廊を通られたのかと思いますわ。それもグロリア妃のジェイド陛下を強く想う気持ちからだと思われます。グロリア妃は花の妖精フロリス様の加護を受けていらっしゃいましたわよね?」
今度はマレリア夫人が確信めいた話し方をする事でアリシア夫人の話し方との緩急から説得力が増すんですよね。話を聞いていた夫人方も何度も首を振って頷き同意を示すんです。皆が話に聞き入り興奮しているからか妙な一体感があるんです。
「グロリア妃が亡くなられた後すぐにリアがその加護を受けましたの。」
そしてアリシア夫人が静かに芯の通った声音でそう話すから神秘的なお伽話でも聞いてる様な現実離れした感じで、ここで話を邪魔する者がいたら激怒するに違いなかったですよ。かく言う僕も事実を知っているのに聞き入ってしまいました。
「そして陛下と出逢われた。遠く離れた地にいたはずの2人が妖精の回廊を通って。それは奇跡の様な出会いですわ。しかも2人はお互いの身分を知る事がないまま自然と恋に落ちラピスラズリの誓いをしたのです。」
「その後オフィーリア嬢は拐われてしまいました。既にその犯人は罰を受けましたが、その者にオフィーリア嬢は虐げられていました。ですがラピスラズリの誓いに護られていたため純潔を散らすことはありませんでした。」
ホッと息を吐く夫人達を確認しアリシア夫人は続ける。
「それは…。」
「アリシア夫人、大丈夫よ。ここにいる人達は信頼できる人達だわ。私達と同じくグロリア妃の事を今もお慕いしている方達だもの。信頼してお話ししていいわ。」
「そうですわね。皆様は信頼できる方々ですものね。」
憧れの対象である2人に信頼していると言われ頬を紅潮させながら強く頷く貴婦人達。
「実は陛下とリアは運命の出会いをしていたんですの。」
『運命の出会いですの?』
「はい。皆様もご存知の通りジェイド陛下とグロリア妃はラピスラズリの誓いをしていましたわよね?」
「そうでしたわね。それも学生の時に…と聞いた時には驚きましたけどそれだけお互いを想っていたのだと思い感動しましたわ。」
ある1人の夫人の発言に皆も同意する。この時にはお茶会の殆どの参加者がアリシア夫人の話を真剣に聞いていた。
「前国王夫妻はジークフリート陛下にお伝えしていたそうなんです。」
『何をですの?』
「ラピスラズリの誓いの事をです。」
『まぁ。』
「私も初めて聞いた時は本当に驚きましたわ。でも、もしかしたらお2人は御身に起きる事を察して愛する我が子に伝えていたのでは?と思ってしまいますの。そのおかげで私の娘も救われたのですから…私にはそう思えて仕方ないのですわ。」
「お嬢様も救われたとは?」
そこでアリシア夫人は一度マレリア夫人を不安そうに見つめるんです。先程よりも一層アリシア夫人が儚げに見えて、庇護欲が誘われるんです。そこにきてマレリア夫人が力強く頷きながらも、気遣わしげな優しい話し方で"大丈夫よ"と言うから2人の信頼関係がより強調されて。それに勇気づけられアリシア夫人がまた話し始める。見ていて圧巻です。
「実は陛下がご両親を国王夫妻を亡くされた頃、リアは陛下と出会ったそうなんです。恥ずかしながら私はその事をリアが拐われてから知りました。」
「何故ですの?」
「その…信じ難い事ですが我がオーウェン侯爵家にいたリアと当時療養のためマーキス公爵邸で過ごされていた陛下が会っていたからですわ。」
「そんな事が?」「信じられない」「どういう事ですの?」と話す婦人方にマレリア夫人が言う。
「それに関しては陛下と共に領地にいた私も気付きませんでしたわ。ですが恐らく妖精の回廊を通られたのかと思いますわ。それもグロリア妃のジェイド陛下を強く想う気持ちからだと思われます。グロリア妃は花の妖精フロリス様の加護を受けていらっしゃいましたわよね?」
今度はマレリア夫人が確信めいた話し方をする事でアリシア夫人の話し方との緩急から説得力が増すんですよね。話を聞いていた夫人方も何度も首を振って頷き同意を示すんです。皆が話に聞き入り興奮しているからか妙な一体感があるんです。
「グロリア妃が亡くなられた後すぐにリアがその加護を受けましたの。」
そしてアリシア夫人が静かに芯の通った声音でそう話すから神秘的なお伽話でも聞いてる様な現実離れした感じで、ここで話を邪魔する者がいたら激怒するに違いなかったですよ。かく言う僕も事実を知っているのに聞き入ってしまいました。
「そして陛下と出逢われた。遠く離れた地にいたはずの2人が妖精の回廊を通って。それは奇跡の様な出会いですわ。しかも2人はお互いの身分を知る事がないまま自然と恋に落ちラピスラズリの誓いをしたのです。」
「その後オフィーリア嬢は拐われてしまいました。既にその犯人は罰を受けましたが、その者にオフィーリア嬢は虐げられていました。ですがラピスラズリの誓いに護られていたため純潔を散らすことはありませんでした。」
ホッと息を吐く夫人達を確認しアリシア夫人は続ける。
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