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60.再会

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家族を連れ宰相が戻ってくる。
夫人は先程の話を聞き泣いたのだろう目が少し赤い。

「アリシア夫人…すまない。」

「いえ陛下。私はあの子に会えるだけで充分です。陛下のお心遣いで共に過ごせる時間を頂けると聞きました。ありがとうございます。どうかオフィーリアをよろしくお願いします。」

「そう言って頂けると私も助かる。それではフィアの元に案内するよ。フィアも家族に会えるのをとても楽しみにしていたんです。」

「まぁ嬉しいわ。」

そんな会話をしフィアの部屋に案内する。
ノックをして中の様子を確かめる。 
部屋に入るとフィアはソファに座ったままだった。

「フィア会わせたい人がいる。今、大丈夫か?」

「はい。大丈夫ですよ。」

そう返事をしたのを確認し、フィアの家族に部屋に入ってもらう。
フィアは部屋に入ってきた家族に目を丸くし、徐々にその瞳から大粒の涙を流し始める。

「…お父様?」

「…お母様?」

「…マリー姉様?」

「…エミー姉様?」

「…ランス?」

「…イラ?」

『リア…』

『リア姉さま』

1人1人を声を震わせながら確認していくフィア。
フィアの顔が泣き顔でくしゃくしゃになっていく。
それを見たアリシア夫人がフィアに抱きつく。

「リア…リア…」

「お…かあ…さ…ま……お母…様…」

「リア…リア…」

抱き合う2人を見て泣き崩れる姉達を弟妹が泣きながら抱きしめている。
何かに耐える様に見ている宰相の背にルドとウィルが触れる。

ーあぁ家族は良いな。

今は亡き両親への想いが込み上げる。
そんな思いに浸っているとフィアと目が合う。

「ジーク…」

泣きながら私の名を呼ぶフィアに応える。

「何?フィア」

「今日は皆で過ごしたい…家族みんなで過ごしたい‼︎もちろんジークも一緒よ?」

ー何でフィアには分かるんだろう。私が寂しいと思っている事が…家族を恋しいと思っている事が…。そんな私に家族一緒にって…フィアは私も家族だと思ってくれているのだろうか…もしそうなら嬉しい…

「うんいいね。今日は皆で過ごそう!そうだな何処か大きな部屋を用意しようか。」

「ふふっ楽しみだわ。マリー姉様の旦那様もウィル兄様の婚約者様もお呼びしましょう?」

『ウィルの婚約者?』

「えっ⁉︎ジーク?フロリス様はウィル兄様の婚約者様なんですよね?」

「あ~これからそうなるかもしれない予定?」

「まぁそうでしたの…。」

「次の機会には連れて来れる様にする。」

「はい。楽しみに待ってます。お母様、今日はたくさんお話しましょ?」

「えぇリアそうね。」

「お父様もお姉様も!お兄様もランスもイラもたくさんお話ししましょう!」

フィアのはしゃぎっぷりを見ていると家族と会えた事が本当に嬉しいのだと分かる。

その日私達は夜遅くまで話した。
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