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45.悪夢の始まり
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助け出されて安心したのと同時に夢なのでは…またあの日々が繰り返されるのでは…と恐怖で僅かな物音にも過敏になっていた。
今までは窓の無い石造の部屋にずっといたため、あの人達…リズベット夫人とその娘がいつ部屋にやって来るか分からず怖くて眠れなかったからだろう…
私は何故あの人達に虐げられなければならなかったのか…
リズベット夫人は両親の友人だったはずなのに…
◆◆◆◆◆◆◆
あの日、ジークと誓った証である紋章を母とウィル兄様に見られて反対されると思って邸から飛び出した。
ウィル兄様が追ってきて邸に一緒に帰ろうと宥められていたら男の人達に囲まれて殴られて…ウィル兄様もたくさん…たくさん殴られてて…誰かウィル兄様を助けてって思っているうちに意識を無くした。
目が覚めたら見知らぬ場所で鎖に繋がれていて、怖くて怖くて声も出せず泣いていたら仮面をつけた女の人が男の人達を連れて現れた。
それがリズベット夫人だったのだが、初めは分からなかった。
私を拐った男の人達が近づいてきて私に触れた。
私は純血を失うのだと思って血の気が引いた。
でも、男の人達は狼狽し始めた。
何が起きたか分からずにいたら仮面の夫人に腕を見られた。
「お前のような小娘が何故ラピスラズリの誓いをしているの⁉︎」
そう言うとパシンっと頬が叩かれる。
男達は何が起きたかのかと仮面の夫人に詰め寄る。
夫人は男達にお金を渡し別の場所で待つよう言うと部屋から追い出した。
夫人と私だけになり夫人は私を何度も叩いた。
私は声を上げる事も出来ずただ泣いていた。
「お前の誓いの相手は誰だい?答えなさい!」
私はジークを守らなきゃって咄嗟に思った。
「ギル…ギルバートって言ってました。」
嘘をついているとバレない様にギルバートと言った。
「ギルバート?それはどこの家の者だい?」
その質問に首を振る。
「知りません。それを聞く前にここに…」
夫人は顔を赤くし、また私を叩く。
「知らないですって⁉︎お前を穢すことも殺すことも出来ないなんて‼︎……いいわ死なない程度に苦しめてあげる。」
「どう…して…」
「どうしてかって?それはねお嬢さんが不義の子だからよ。私の大切な人を傷つける悪い子だからよ…だから私が躾けてあ・げ・る!」
そう言って私がグッタリするまで叩いた。
「あら。やり過ぎちゃった。まぁ良いわまた来るからねお嬢さん。」
私は何が起きたのか分からないまま叩かれ続け、仮面の夫人が満足すると鎖に繋がれたままその部屋に置き去りにされた。
私は実際には分からなかったけど…3日に1度の間隔位で食事とは呼べない様なものを食べさせられた。
それからも度々仮面の夫人がやってきた。
2度目からは私の手が痛いからと言い鞭を持ってきて私を打った。
夫人に鞭で打たれている間、痛くて怖かったけどジークが側にいる気がして何とか自分を保てた気がした。
ただそう思いたかっただけかもしれないけれど…
どの位の月日が流れたのか…ある日見知らぬ男の人を仮面の夫人は連れてきた。
夫人は仮面を外すと心底幸せそうに言った。
「私がお嬢さんのためにここまで来るのは大変だから、お嬢さんを私の住む邸に招待してあげるわ。その為に彼が力を貸してくれるって。お嬢さんも感謝するのよ。」
幸せそうに微笑む夫人がリズベット夫人だった事にも、この囚われの生活が更に過酷になる事にも驚き青ざめ血の気が引く。
自然と震え歯がカタカタと鳴る。
男の人が私を引きずっていった。
今までは窓の無い石造の部屋にずっといたため、あの人達…リズベット夫人とその娘がいつ部屋にやって来るか分からず怖くて眠れなかったからだろう…
私は何故あの人達に虐げられなければならなかったのか…
リズベット夫人は両親の友人だったはずなのに…
◆◆◆◆◆◆◆
あの日、ジークと誓った証である紋章を母とウィル兄様に見られて反対されると思って邸から飛び出した。
ウィル兄様が追ってきて邸に一緒に帰ろうと宥められていたら男の人達に囲まれて殴られて…ウィル兄様もたくさん…たくさん殴られてて…誰かウィル兄様を助けてって思っているうちに意識を無くした。
目が覚めたら見知らぬ場所で鎖に繋がれていて、怖くて怖くて声も出せず泣いていたら仮面をつけた女の人が男の人達を連れて現れた。
それがリズベット夫人だったのだが、初めは分からなかった。
私を拐った男の人達が近づいてきて私に触れた。
私は純血を失うのだと思って血の気が引いた。
でも、男の人達は狼狽し始めた。
何が起きたか分からずにいたら仮面の夫人に腕を見られた。
「お前のような小娘が何故ラピスラズリの誓いをしているの⁉︎」
そう言うとパシンっと頬が叩かれる。
男達は何が起きたかのかと仮面の夫人に詰め寄る。
夫人は男達にお金を渡し別の場所で待つよう言うと部屋から追い出した。
夫人と私だけになり夫人は私を何度も叩いた。
私は声を上げる事も出来ずただ泣いていた。
「お前の誓いの相手は誰だい?答えなさい!」
私はジークを守らなきゃって咄嗟に思った。
「ギル…ギルバートって言ってました。」
嘘をついているとバレない様にギルバートと言った。
「ギルバート?それはどこの家の者だい?」
その質問に首を振る。
「知りません。それを聞く前にここに…」
夫人は顔を赤くし、また私を叩く。
「知らないですって⁉︎お前を穢すことも殺すことも出来ないなんて‼︎……いいわ死なない程度に苦しめてあげる。」
「どう…して…」
「どうしてかって?それはねお嬢さんが不義の子だからよ。私の大切な人を傷つける悪い子だからよ…だから私が躾けてあ・げ・る!」
そう言って私がグッタリするまで叩いた。
「あら。やり過ぎちゃった。まぁ良いわまた来るからねお嬢さん。」
私は何が起きたのか分からないまま叩かれ続け、仮面の夫人が満足すると鎖に繋がれたままその部屋に置き去りにされた。
私は実際には分からなかったけど…3日に1度の間隔位で食事とは呼べない様なものを食べさせられた。
それからも度々仮面の夫人がやってきた。
2度目からは私の手が痛いからと言い鞭を持ってきて私を打った。
夫人に鞭で打たれている間、痛くて怖かったけどジークが側にいる気がして何とか自分を保てた気がした。
ただそう思いたかっただけかもしれないけれど…
どの位の月日が流れたのか…ある日見知らぬ男の人を仮面の夫人は連れてきた。
夫人は仮面を外すと心底幸せそうに言った。
「私がお嬢さんのためにここまで来るのは大変だから、お嬢さんを私の住む邸に招待してあげるわ。その為に彼が力を貸してくれるって。お嬢さんも感謝するのよ。」
幸せそうに微笑む夫人がリズベット夫人だった事にも、この囚われの生活が更に過酷になる事にも驚き青ざめ血の気が引く。
自然と震え歯がカタカタと鳴る。
男の人が私を引きずっていった。
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