【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

44．絶対安静よ！

「姫様の体調だけど…思ったより酷いわ。」

フィアの診察が終わった医者から私のほかルドとウィルも呼ばれ説明を受ける。

「長期間に渡って虐待されていた事と食事を充分に与えられていなかった事で衰弱が激しいわね。直ぐにまともな食事をとらせる訳にはいかないわ。」

「リヴィ…」

椅子にかけ足を組み説明する姿は国王を前にする態度ではない。

「何よウィル。これでも気をつけて話してるじゃない。」

「言葉遣いじゃない。その態度だ！陛下の前だぞ！」

「あ～ごめんなさい。騎士団の連中相手だと舐められないようにしてるからつい…」

「2人は騎士団で知り合ったんだったな。ずいぶん仲が良いようだな。」

「そうなんです陛下。ウィルは私の恋人なんです！」

「リヴィ…くだらない冗談に付き合う暇はない。」

「何だ冗談なのか。私はフロリスの事を叔父上とダニーに何て言えばいいか真剣に考えてしまったよ。」

「陛下まで何を言うんだよ！」

「そうだリアが見つかったからフロリス嬢の事も進めないといけないな。」

「ルド‼︎それは俺が…自分できちんとする…から…ルドは何もするな‼︎」

「えっ⁉︎ウィルお相手の子いたの？私の事は遊びだったの？」

「リヴィ‼︎」

「ごめん嘘よ嘘。そっか～良かった。っていうかウィルは私の好みじゃ無いのよ～それに私、夫がいるんで陛下もルドルフ様も誤解しないで下さいね。」

「リヴィ、団長には話すからな。」

「ちょっとやめてよ。夫婦関係にヒビを入れないで。あのね大体3人とも姫様が見つかったっていうのに顔が暗すぎるのがいけないのよ。だからお茶目な冗談言って力を抜いてあげたの！姫様の事を考えるならこの邸にいる事だって良くないの。でも今は絶対安静なの‼︎そんな中で姫様が頼りにしたい貴方達が暗い顔をしていたら姫様は自分を責めると思うの。だから、姫様が見つかって良かった幸せだって顔をしてあげて。」

「そうだな。」

「それにね…姫様は女性に虐げられていたから、私から治療を受けるのにも震えていたわ。
"貴方が怖い人じゃないって分かってるのに…怖がってごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…"
そう何度も何度も謝りながら治療を受けたの。姫様の体調も酷い状態だけど何よりも心の傷の方が問題だと思うわ。姫様はこれから普通の生活に戻れるように頑張らなきゃいけない。陛下どうか彼女をしっかり支えてあげて下さいね。」

「あぁ。私がフィアを護る。オリヴィア夫人ありがとう。」　

「ウィルも姫様に謝るんじゃないわよ。ウィルが姫様が拐われた時のことで、自分を責めてるって知ったら姫様も自分を責めてしまうのだから。いいわね！」

「分かってる。」

「よし。それじゃあ姫様の顔見に行って良いわよ。そのかわり絶対安静よ‼︎良いわね！」

「もちろんだよ。」

「分かっている。」

「大丈夫だよ。」

「まとめて喋るから何言ってるか分からないけど…理解したってことね。そうそう私は勿論、姫様の経過観察と貴方達の監視のため姫様の部屋に同席するから‼︎」

そうして私達はフィアの元へ4人で向かった。