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18.王都へ

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ひとしきり笑った後フィアが聞いてくる。

「ジークはなぜ私を選んだの?」

自然にジークと呼んでくれるから初めからそう呼ばれていたような錯覚を覚える。

「私がフィアを好きな理由?」

「そう、理由。」

「フィアだったから好きになった。」

「私は真面目に聞いてるの‼︎」

「私も真面目に話しているよ。本当にフィアだったからだよ。」

「誤魔化されてる気分だわ。」

「本心なのにな。どう言ったら信じてくれるかな?私は本来そんなに感情の起伏が激しい方では無いんだよ。」

「嘘よ。」

「本当だよ。」

「だってジークは喜怒哀楽がしっかりしている方だわ。それに少し意地悪でものすっごく鈍感。怒ることはあまり無いけどよく笑うし、やっぱり感情表現は豊かな方よ。」

「そんな風に言うのはフィアと私の両親くらいだよ。もちろん感情が無いわけじゃないから両親が亡くなった時は悲しかったし物凄く辛かった。それと同時に王族に産まれたから責任を果たさなければと無理をした。私を思ってくれる人の言葉に耳を貸さず倒れるまで無理をした。叔父が国王代理になって私は名ばかりの王になった。そしてここに来た。私は両親を亡くしてからフィアに出逢うまで泣く事もできなかった。でもフィアと出逢って泣くことも笑うことも、息をするように自然に当たり前に出来ている。フィアだけなんだ。気がついたら好きだった。気がついた時には大好きだった。この先一生フィア以外を好きにならないと思った。私がフィアを好きな理由はフィアだったからだよ。」

フィアの顔を覗くと真っ赤になっていた。
ダメ押しとばかりにもう一度フィアに意地悪く言う。

「フィアだったからだよ。フィアだから好きなんだよ。ちゃんと分かった?」

「やっぱりジークは意地悪だわ。」

「私のこと嫌いになった?」

「大好きよ。私にもジークだけだわ。」

頬を赤く染め、涙目で上目づかいに見てくるフィアは可愛すぎる。
王都に行こうと思う決意が鈍るほどに…

ーフィアも意地悪だ…。そんな風に言われたら離れがたくなるじゃないか…

「私も愛してるよ…フィア…」

そうフィアの耳元で囁く。
『やっぱり意地悪だわ…』とフィアが呟いたが聞こえないふりをした。


フィアと盛大な告白大会をした数日後…
王都にいる叔父から手紙が届く。
叔父も宰相であるフィアの父親も存外早く都合がついたようで、それから1週間後には王都に向け出発することとなった。
出発日までの1週間は王都に戻る準備もあり、フィアとの短い逢瀬の時間がさらに短くなってしまった。
出発日の前日は少し時間がとれた。
フィアに必ず迎えに行くと何度も伝えた。
フィアも待っていると何度も言ってくれた。
私達はこの日、初めて口づけを交わした。
触れるだけの短い口づけを…



翌日、私は決意を新たに王都に向け出発した。







   だが、この時の私は知る由もなかった……








まさかその後7年間もフィアに会うことが叶わなくなるとは………



あれから7年もの間フィアがあんな辛い目に遭うとは………



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