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17.婚約者への道

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暫くフィアを眺めていると、ふらふらと体を起き上がらせた。

「ラディウス国王陛下、失礼いたしました。」

急に畏まった言い方になるフィア。
フィアが遠く感じるから今まで通りにして欲しいと思う。

「ジークと呼んでくれ、フィア。それから敬語は使わなくて良いから、今まで通りにして欲しい。」

「そんな…今まで通りなんて…それに陛下を愛称で呼ぶなんて…。」

「フィアはいずれ私の唯一の花嫁になるのだから、それは当然だよ。それに、私はいつまで王でいられるか分からないよ。今回のことはかなり問題になるだろうからね。」

「本当だわ…ギルはこの国の王なのになんて事してるのよ‼︎‼︎」

「そうそう、フィアその調子。あ~でも出来ればジークと呼んでくれ!」

「もう、ふざけてる場合じゃないわよ‼︎」

「ふざけてないよ。ふざけてない。それくらいフィアが大切なんだよ。」

「ギル…。」

「うん。そこはジークと呼んで欲しかった。」

「もう!茶化さないで!名前は呼び慣れちゃったんだから仕方ないじゃない。これからは鋭意努力するわ…ジーク。」

「ありがとう。それからフィア、私も後悔していないとはいえ問題行動をとった自覚はあるから王都に戻ろうと思う。王都に戻って現在私の代わりに政務を行なってくれている叔父にきちんと説明してくる。許されるなら王族として王とし政務に就き責任を果たそうと思う。それにフィアの両親にも許可を願わなければならない。だから、暫く会えなくなると思う。でも、必ず迎えに行くから待っていて欲しい。」

「はい。お待ちしております。」

「それでねフィア?フィアの事も私に教えてくれないか?」

「ふふっ。そうよね。私もギル…ジークに何も伝えてないのよね。私の名前はオフィーリア・ロサ・オーウェンと言います。オーウェン侯爵の三女になります。」

「オフィーリア?」

「初めにそう名乗ったのだけどギル…ジークにはフィアって聞こえていたみたいで…だから私も正直に身分を明かすべきか考えてそのままにしてしまったの。」

「そうだったのか。私は今後もフィアと呼んでも?」

「えぇ、もちろんよ。」

「それにしてもフィアはオーウェン侯爵令嬢だったのか……ん?」

「ギ…ふぅ、ジークどうしたの?」

一回、一回言い直すフィアに癒されるも、私は今気付いた恐ろしい事実に冷や汗を流す。

「オーウェン侯爵の御令嬢…と言う事はラディウス王国の有能な若き宰相ネイト・スティア・オーウェン殿の御令嬢ということかな?」

「そうねネイト宰相は私の父になるわ。でもどうしたの畏まって。」

ーそうか。宰相の娘だったのか。多忙な宰相の予定も押さえなくてはいけないな。それよりも、宰相は父の友人だが父の時にもかなり怒っていたと聞いたな。他のどんな臣下より怖かったと……。これは相当な覚悟をして向かわなけばならないな。だがこれも、フィアと婚約しいずれ結婚するために通らなければならない道なのだろう。

「ギル?どうしたの?大丈夫?」

「いや、気合と覚悟についてちょっとね。あとジークだよフィア。」

「あっ!もう気をつけてたのに!」

そう言ったフィアと目があって思わず2人して暫く笑い合っていた。
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