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5.トパーズの彼
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「……ん?」
目の前の少年が首を傾げている。
彼のトパーズ色の黄金の眼が私を見てくる。
私だって頭のおかしな事を言っている自覚はある。
そもそも、この状況事態が理解不能なのだから仕方ないのだが…。
ー本当にどうしてこうなったのか?さっきまで本当にオーウェン邸にいたのに…。
と昨日の出来事からを思い返す。
私は1人で庭を散策していた。
午後のお勉強の時間が終わる夕暮れ前。
いつもこの時間お母様は、昼寝から目覚めた双子の弟妹と過ごしている。
姉・兄達はしばらく王都に行っているため私は1人で遊んでいた。
邸内であれば妖精の加護もあるため危険もないからと、お父様の許可を頂いて1人で遊んでいた。
邸の者達はそれでもついて来ようとしていたが振り切って逃げた。
年齢の割に少々小柄な私は小道を利用すれば大人を振り切るのも簡単だった。
ー皆は私をお転…快活だと言ってくれる。子供だもの元気なことは良いとこよね!
と自身を正当化していた。
昨日も庭を散策中に、お気に入りの四阿に向かっていた。
だが、庭の様子が急に変わったと感じた。
その直後、私の視界には美しい宵闇の濃紺の髪とトパーズの様な黄金の瞳が綺麗な少年が現れた。
彼の瞳が私を見つめている。
そう思うと身体中の血が沸騰したかのように感じ、頬が赤くなるのが自分でも分かった。。
ー恥ずかしい……でも、目が話せないよ…
お互いに声を掛けず見つめ合うだけの時間が過ぎる。
「………………………………。」
「………………………………。」
見つめあっていることに恥ずかしくなり少しづつ後ずさる。
気づくと私は自分の家の庭…オーウェン侯爵邸の庭にいた。
一体何が起きたのか分からず目を瞬かせる。
その日は四阿に行くのを諦め自分の部屋で過ごす事にした。
ふと、彼の様子を思い出し気にかかる事があった。
彼の纏う空気みたいなものがトゲトゲしていた様に思う。
ー何かあったのだろうか?
そう思うも、それ以上に彼の瞳が忘れられずに思い出すたびに赤くなり1人慌てふためいていた私を侍女が心配そうに見ていた。
その翌日、昨日起きたことを確かめようと…いや彼の事が気になり、もう一度会いたくて勢い勇んで四阿に向け歩く。
昨日と同じ場所でまたも景色が変わり昨日の彼が現れた。
本物だと思い嬉しくなり思わず呟いてしまう。
彼は何も言わず見つめてくるから、慌ててここはどこか尋ねた。
マーキス公爵領内だと言われ、驚いた私が大きな声をあげると彼の手で口を塞がれた。
ー彼の手…手が…しかも距離が近いよ…
心臓が大きくなって、気がおかしくなりそうだった。
彼に言われ静かにする事を首肯することで伝えると手が外された。
名前を聞かれた私は口にするも動揺していたため上手く話せない。
よく聞き取れなかったのか彼は「フィア」と呼ぶ。
訂正しようと思ったが自分の事を伝えるべきか悩み、結局そのままにしオーウェン侯爵領内から今来たことを伝えた結果が、冒頭の今の私と彼の状況だ。
首を傾げありえないという眼で見てくる。
そんな姿も麗しい。
ー彼は一体誰なのだろう?
そう思い名前を聞いてみた。
「あなたの名前を聞いても?」
目の前の少年が首を傾げている。
彼のトパーズ色の黄金の眼が私を見てくる。
私だって頭のおかしな事を言っている自覚はある。
そもそも、この状況事態が理解不能なのだから仕方ないのだが…。
ー本当にどうしてこうなったのか?さっきまで本当にオーウェン邸にいたのに…。
と昨日の出来事からを思い返す。
私は1人で庭を散策していた。
午後のお勉強の時間が終わる夕暮れ前。
いつもこの時間お母様は、昼寝から目覚めた双子の弟妹と過ごしている。
姉・兄達はしばらく王都に行っているため私は1人で遊んでいた。
邸内であれば妖精の加護もあるため危険もないからと、お父様の許可を頂いて1人で遊んでいた。
邸の者達はそれでもついて来ようとしていたが振り切って逃げた。
年齢の割に少々小柄な私は小道を利用すれば大人を振り切るのも簡単だった。
ー皆は私をお転…快活だと言ってくれる。子供だもの元気なことは良いとこよね!
と自身を正当化していた。
昨日も庭を散策中に、お気に入りの四阿に向かっていた。
だが、庭の様子が急に変わったと感じた。
その直後、私の視界には美しい宵闇の濃紺の髪とトパーズの様な黄金の瞳が綺麗な少年が現れた。
彼の瞳が私を見つめている。
そう思うと身体中の血が沸騰したかのように感じ、頬が赤くなるのが自分でも分かった。。
ー恥ずかしい……でも、目が話せないよ…
お互いに声を掛けず見つめ合うだけの時間が過ぎる。
「………………………………。」
「………………………………。」
見つめあっていることに恥ずかしくなり少しづつ後ずさる。
気づくと私は自分の家の庭…オーウェン侯爵邸の庭にいた。
一体何が起きたのか分からず目を瞬かせる。
その日は四阿に行くのを諦め自分の部屋で過ごす事にした。
ふと、彼の様子を思い出し気にかかる事があった。
彼の纏う空気みたいなものがトゲトゲしていた様に思う。
ー何かあったのだろうか?
そう思うも、それ以上に彼の瞳が忘れられずに思い出すたびに赤くなり1人慌てふためいていた私を侍女が心配そうに見ていた。
その翌日、昨日起きたことを確かめようと…いや彼の事が気になり、もう一度会いたくて勢い勇んで四阿に向け歩く。
昨日と同じ場所でまたも景色が変わり昨日の彼が現れた。
本物だと思い嬉しくなり思わず呟いてしまう。
彼は何も言わず見つめてくるから、慌ててここはどこか尋ねた。
マーキス公爵領内だと言われ、驚いた私が大きな声をあげると彼の手で口を塞がれた。
ー彼の手…手が…しかも距離が近いよ…
心臓が大きくなって、気がおかしくなりそうだった。
彼に言われ静かにする事を首肯することで伝えると手が外された。
名前を聞かれた私は口にするも動揺していたため上手く話せない。
よく聞き取れなかったのか彼は「フィア」と呼ぶ。
訂正しようと思ったが自分の事を伝えるべきか悩み、結局そのままにしオーウェン侯爵領内から今来たことを伝えた結果が、冒頭の今の私と彼の状況だ。
首を傾げありえないという眼で見てくる。
そんな姿も麗しい。
ー彼は一体誰なのだろう?
そう思い名前を聞いてみた。
「あなたの名前を聞いても?」
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