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虚妄と幸福
11.D社の男(2)
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***
彼は、途方もなく美しい。
人外の美しさとは、彼のような者をいうのだろう――と、律華でさえ素直に認めた。
くすんだ金髪を丁寧に整え、冷たい氷海色の瞳を奇妙に微笑ませている。それが、ドゥクレ社の総帥ミカエル・ドゥクレ――通称ミドゥという吸血鬼だった。黒のシャツに濃いワインレッドのスーツという奇抜なセンスも、不思議と笑う気になれない。
彼が嘆かわしげにかぶりを振ると、あたりにはふわりと百合の香りが広がった。
ああ、それだけで自分が途方もない罪を犯しているような気分になる。
桜田門にそびえる、その建物を知らない人はいないだろう。
しかし、外部に向けて開示されている情報がすべてではない。ESP所有者を集めた実験的部署――誓い未来に起こりうる重犯罪を予測し、これを未然に防ぐという予測対策室なるものも一般に知らされていないことの一つであるし、近々異能者を集めた部署を設置するという噂もある。
そのことは律華も警官として聞いていたが、それにしても吸血鬼とは。いまだに信じられず、彼を見る。目の前の男は伝説上の化け物というより、ミカエルという名が示すとおりに天使さながらだった。
八津坂署に比べると広めの会議室。きっちり等間隔に並べられたパイプ椅子の一つに、彼は君臨していた。物語における吸血鬼の不健康なイメージとは裏腹に、その薄い唇は蠱惑的なまでに赤い。死人どころか生きた人よりも猶、生き生きと輝いている。
安っぽいパイプ椅子の上で長い足を組んだまま、彼は立ち上がろうともせずに、こちらの挨拶を待っていた。
ドゥクレ社は、ここ日本に進出してから瞬く間に知られるようになった外国企業だ。彼自身はフランス人――フランス吸血鬼だが、本社はアメリカにあり、厳密にいえば日本で活動しているのはドゥクレ社ジャパンと呼ばれる日本法人の子会社になる。
「はじめまして、ミカエル・ドゥクレ氏。自分は八津坂署の真田と申します」
律華は丁寧に挨拶すると、少し眉をひそめた。
「お一人でしょうか?」
「ああ。一人だけれど、問題でも?」
「ドゥクレ社の総帥とおっしゃるので、秘書の方などいらっしゃるのかと」
「実をいえば、日本にいるのは商売のためではなくVP-netからの要請によるものでね。日本支部の経理部で責任者を務めさせられているんだよ。役所仕事だけでは味気ないから自分の趣味も持ち込んだが、さすがに両方の面倒を見る余裕はない。会社の方には代理責任者というものを置いて、任せているんだ。必要なときに指示を出すことはするが、普段はほとんど報告を受けるだけ。それから……ああ、挨拶や接待は俺の仕事か。そんな調子だから、秘書なんて必要ない。我ながらいい身分だと思うよ」
想像していたよりは、くだけた男である。
「お嬢さん、下の名前は?」
「律華です。隣は、異能者の三輪辰史氏。自分とともに、本件の捜査を行っています」
「なるほど。律華と呼んでも?」
「はい、構いません」
「俺のことは、ミドゥと呼んでくれ。天使を名乗るのは恐れ多いからね」
冗談めかして、片目を瞑ってみせる。
そんなこちらのやり取りに業を煮やしたらしい、辰史が口を挟んだ。
「無駄なお喋りはそれくらいにしてくれ。こっちは急ぎなんだ」
「やれやれ。そちらの蛇は、余裕がないらしい」
「ああ、余裕なんてないさ。だから単刀直入に訊く」
ミカエル・ドゥクレの美しさに少しもたじろぐことなく、ずいと前に踏み出す。
「お前たちの仲間に、怪しいやつはいないのか?」
「三輪氏、待ってください。段取りが違います」
単刀直入がすぎる報復屋に驚いて、律華は彼の腕を掴んだ。
「自分たちは、そんなことを訊くために来たわけでは――」
だが、ミカエル・ドゥクレはすでに不快感を催して鼻先に皺を寄せている。
「よりにもよって、我々を疑っていると?」
「数で言えば人間が犯人である可能性は高いが、それは吸血鬼どもを容疑者から外す理由にはならない――そういうことだ」
「ふうん。吸血鬼ども、とは人間風情が随分礼を欠く言い方をするんだな。君は異能者といったか。ならば我々ヴァンピールがどれほどの制約を受け入れ、人間どもと共存してやっているか、知らないはずはないと思うが?」
「もちろん知っているとも。だが今回は殺人事件や傷害事件じゃァない」
「殺人や傷害でなければ許される、だなんて思ってほしくないな。数が少ない分、我々は……いや、上層部は仲間たちに人間の規則を守らせようと必死だ。自称元貴族の吸血鬼が、汗水垂らして仕事を掛け持ちし、日々の糧を得ている。そんなご時世だ。吸血鬼は君ら人間なんかより、よっぽど高潔で潔白だよ」
顔を斜め上に傾け、吸血鬼は小さく鼻を鳴らした。
それだけでは収まらなかったのか、思い出したように付け加える。
「ああ――しかし新参者の多い日本吸血鬼は、確かに勘違いしているやつが多いな。激動の時代を知らないくせに、少し器用で呑み込みが早いからといって、古い仲間たちと当たり前のように肩を並べられると思っている。忍耐の強さを口にしながら、その実、感情的で無駄に誇り高い。種族間の絆よりも、日本人としての同族意識に引きずられるようなやつらだし、彼らなら友のためにやりかねない。つい最近、VP-netで扱った事件で同じようなことがあった。主犯は人間だが、日本吸血鬼が協力していたという案件でね」
「そういう事件があったというなら、ますます自分の種族を疑ってみてもいいんじゃないかと思うがな。特に今回の事件、自分の身に起こったことを正しく認識できているのは、お前ら吸血鬼だけだ」
「だからこそありえない。我々には過去に負け、感情を手放したという自覚が残る。それは決して気持ちのいいものではないし、なにより誇りが傷付く。長い年月を生き抜いてきた生きものとしての誇りだ。短命の上に愚鈍な人間には分からないだろうが――」
報復屋の物言いに、吸血鬼の方も紳士の皮が剥がれ、凶暴さを剥き出しにしていく。
睨み合う彼らを見て、律華は反射的に視線の間に割り込んだ。苛立っている報復屋はともかく、ミカエル・ドゥクレの方が厄介そうだと感じた。
動物的直感。本能とでもいうのだろうか。
ミカエル・ドゥクレは紛れもなく、狩る側だ。氷海色の瞳の奥では、密やかな殺気がくすぶっている。その気になれば人間などいともたやすくねじ伏せる。そんな暴を秘めている。辰史は、それに気付いていない。あるいは気付いていながら、それでも後れを取らないと自負しているのか。その自信に、律華はひやりとした。
人より力を持つ者は、ときに危険に対して驚くほど鈍くなる。
その感覚には、覚えがある。客観的に見たものが自分自身に跳ね返ってくるのを自覚しながら、律華は報復屋に向かってまくし立てた。
「すみません、三輪氏。聞き込みは自分が行いますので、三輪氏は予測対策室の方々の進捗を聞いてきてくださいませんか」
「なんだよ、急に」
横やりを入れられて目をぱちくりさせている彼に、続ける。
こんなときに先輩がいてくれたらと、切に思いながら――
「彼らは優れた感受者です。特に立仙捜査官の能力はアカシックリーディングと呼ばれるほどですし、もしかしたらすでに予測が出ているかもしれません。ミカエル氏に聞き込みを行ってから彼らの許へ行くのは、効率が悪いかと思います」
せめて、九雀を真似たつもりだった。
祈るような心地で報復屋を見る。彼も、なにか感じるところがあったのだろう。
「……分かった。ここは、お前に任せる」
そう呟いて、会議室を出て行った。あとには冷たく微笑しているミカエル・ドゥクレと、律華だけが残される。律華は吸血鬼に向き直った。
「あらためて、よろしくお願いいたします。ミドゥ氏」
いくらかは彼の機嫌を取るつもりで、頭を下げる。
「ああ、よろしく。猟犬のお嬢さん」
フランス語だろうか。後半は聞き取れなかったが、声から不穏な響きは消えていた。
「俺はこのとおり吸血鬼至上主義だが、女性となれば話は別だ。特に美味しそうな女性は、それだけでなにかと価値がある。ものの価値を認め、見極めることは大事だよ」
そう言って、舌なめずりする。
なるほど、どこまでも食用的な価値か。培養基販売もしているというから、もしかしたら商業的価値も含まれているのかもしれないが――どうしてか憤るわけでもなく、他人事のように感じながら、律華は申し訳なさそうな顔を作った。
「恐縮です。先程は失礼いたしました」
「そうかしこまらないでくれたまえ、律華。君が悪いわけではないのだから。それにしても異能者というのは、なんでああも傲慢になれるのか理解に苦しむよ。眷属と同じ、力の一端を手にしただけの半端者の分際で――」
吸血鬼の冷たい目に再び剣呑な光が灯ったのを見て、慌てて告げる。
「本件では三輪氏の知人も被害を被っているため、動揺しているのだと思います」
「知人ね。こちらも、旧友が被害に遭っているのだけれどな」
「そうなのですか」
「ああ。旧友とは、かれこれ四世紀ほどの付き合いでね」
「四世紀……」
途方もない年月だ。
「それほど長い時間を共に過ごすと、もうほとんど家族のようなものでしょう。自分には想像も付きませんが、ミドゥ氏も心中穏やかでないかと思います」
「家族のようなもの、か」
ミカエル・ドゥクレが感じ入ったように頷く。
「まあ、確かに。出来の悪い弟か、あるいは見捨てるに見捨てられない伴侶のようなものなのかもしれない。愛情はないが、情はおおいにある」
「被害者たちのためにも、自分は本件の解決に尽力したいと思っています。そこで、ミドゥ氏にはVP-netに所属している吸血鬼の方々の被害状況を提示していただきたいのです」
「というと?」
「ここに、都内の地図があります」
言いながら、律華は鞄の中から地図を取り出した。
「本件には、特定古物と呼ばれる特殊な腕時計が関わっている可能性が高いです。被害がどの程度まで広がっているのか明らかにすれば、所有者の居場所を絞り込むことができるのではないかと考えています」
「なるほど、心得たよ。ちょっと待ってくれ」
ミカエル・ドゥクレはひとつ頷くと、スーツのポケットから携帯を取り出した。
おもむろに、どこかへ電話を掛ける。
「こんばんは、ジャック。君向けの仕事があるんだ。ああ、例の件だ。俺も警察の捜査に協力することになってね。VP-netに所属している吸血鬼の被害状況を調べて、分布図を作ってもらいたい。監査部のやつらを使えば、都内の吸血鬼すべてに確認することもそう難しくはないだろう。他人事だと思って、って? まあ、他人事だな。残念ながら俺にはそれをする権限がないし――二十分で頼む。猟犬のお嬢さんを待たせているのでね。では」
一方的にまくし立て、電話を切った。
「VP-netにも、自警組織のようなものがあってね。そこで働いている知り合いに調査を頼んだ。真面目なやつだから、二十分きっかりに報告を上げてくると思うよ」
携帯をテーブルの上に放り出し、隣の椅子を手で叩く。
「というわけで、必要なものが上がってくるまで二十分の時間がある。座りたまえよ、律華。待っている間、今回の事件について、もう少し話をしようじゃないか」
「はい。事件についてということでしたら、是非」
生真面目に頷き、緊張気味に彼の隣へ腰掛けた。
「ミドゥ氏は、今回の事件についてどこまでご存知ですか?」
「ここのESP所有者から、ひととおりの説明は受けている。いわゆる呪いが、この国では〈呪症〉という名で認知されていることもね。世の中に存在する〈揺らぎ〉すべてに名前を付けて解き明かそうとする人間の熱意にだけは、いつの時代も感服させられる。実に情緒がない」
好き勝手言って、ミカエル・ドゥクレは何故か律華の顔を見つめた。
「はあ」
「俺は、先程からかなり不躾なことを言っていると思わないかな?」
唐突に、そう訊ねてくる。
わけが分からず――また、どう答えることが正解なのかも分からず、律華は返答を詰まらせた。ただただ、どこか含みがある吸血鬼の顔を見つめ返す。
「君は怒らないんだね、律華」
吸血鬼は、その冷たい手を律華の頬にひたりとあてると、やはり唐突に顔を覗き込んできた。氷海色の瞳は、気が狂いそうになるほど美しい。
「きらきらと星の輝く夜空にも似た瞳だ。暗く塗り替えてやりたくなるほど希望に満ち溢れている。正義。理想。尊敬。愛情と慈しみも、ここにある。融通が利かないほどに真っ直ぐで、ああ、血も美味そうだ。君は挫折を知らない人なのかな?」
「いえ、いいえ」
「ああ、そうだ。そうとも。眉間のあたりに、君が抱えていたものの名残が残っている。蛇と話していた最中にも、実はそのことがずっと気に掛かっていた」
彼はなにを言っているのだろう?
「語ってみたまえ。君の挫折を。怒りを。失望を。悲しみを」
頭の中に、不思議な響きをともなった吸血鬼の声がこだまする。
問いに、答えなければ。ふとわき起こった強迫観念に、律華は口を開き――
「…………」
硬直した。
なにも、なにも出てこない。
あるはずのものが、出てこない。
「君のここは、今はからっぽだ。そうだろう?」
頬からするりと滑らせた手を胸に当て、吸血鬼が囁く。
「君の心を煩わせるものはどこへいったんだろうね?」
その瞬間に、律華は自覚した。
「あの生意気な蛇が、特別ヒステリックなわけじゃない。君の精神状態が落ち着いているんだよ。今の事態を思えば、落ち着きすぎているほどだ。異様だと言ってもいい」
氷海色の瞳が、まるで氷の刃にも似て、律華のうつろな胸を貫いた。
彼の言うとおりだ。そこには幼い頃から感じていた忌々しいものが、苦い記憶の数々が詰まっていたはずだ。だがそれこそ、律華を形勢していたものでもあった。
(我ながら、気味が悪くなるほどうまくやれているとは思っていた……)
まるで九雀のように冷静に、彼のフォローがなくとも人と衝突することなく、傲慢な男たちの顔色を窺うことさえ悪しとしなかった――
その器用さは、確かに本来の自分にないものだ。
「わ、わたしも、呪症の影響を受けている、と……?」
何故、今まで気付かなかったのだろう。
ミカエル・ドゥクレが、サディスティックに赤い唇を歪めた。
「そのようだね」
「…………」
「抱えていたものを失った君は、とても優秀な猟犬に見える。本来の君がどういった人間なのかは、なんとなく想像が付くよ。このままの方が、君にとってはいいのではないかとも」
辰史を蛇と嘲った彼の方こそ、誘惑を得意とする毒蛇のように囁きかけてくる。
律華は乾いた唇で、どうにか言い返した。
「何故、そんなことを。事件が解決しなければ、ミドゥ氏も困るのでは?」
「ああ、おおいに困るとも。けれど、俺は混乱を好むたちでね」
吸血鬼が微笑む。
どこまでも美しく、残酷で、退屈した微笑みだ。
「我が旧友を助けてやりたいと思う一方で、君を困らせてやりたくてたまらない。いや、君でなくてもいいのだけれどな。目の前に面白そうなおもちゃがあったから、手を伸ばしてみた。どんなときでも、そういった欲求を抑えることができないのさ。もしかしたら俺にとっては吸血行為以上に、抗いがたい衝動なのかもしれない」
「申し訳ありませんが、自分にはミドゥ氏の欲求を満たすことはできません。自分がよければいいとは思いませんし、警官として事件を解決する義務もあります」
言葉の空虚さを、吸血鬼は見透かしていただろう。
彼は律華の手を取ると、彼の手の代わりに胸へと触れさせた。心臓が大きく跳ねる。
「どうだろう。君の胸中を正しく知るのは、君のみだよ」
「…………」
どうすることもできず彼と見つめ合っていると、不意にテーブルの上の携帯が音を立てた。沈黙が破れ、ミカエル・ドゥクレの唇から微笑みが消える。
「もう二十分か。早いものだね」
「いえ、いいえ。長すぎたくらいです」
律華は答え、悄然と項垂れた。
ミカエル・ドゥクレから資料を受け取り会議室を出ると、外には辰史の姿があった。彼の方も、ちょうど予測対策室の面々と別れてきたらしい。
辰史は律華の顔を見るなり、眉をひそめた。
「どうかしたのか、じいさんの孫――ってのもいい加減まどろっこしいな。真田」
「は、はい」
「顔色が悪いぞ。吸血鬼に血でも吸われたか?」
――血を吸われるより、もっと厄介だ。毒を吹き込まれてしまった。
それを打ち明けることもできず、律華は気弱にかぶりを振った。
「……いえ。緊張で、少し疲れただけです」
「そうか。まあ、そうだろうな。相手は人外の生きものだ」
分かったような顔で、辰史が頷く。
「感情的になっちまって、悪かった。俺も、少し頭が冷えた」
「謝らないでください。親しい人の心配をするのは、当然のことだと思います」
どこまでも冷静に彼を気遣いながら、律華は一度だけ目を瞑った。たとえば横にいたのが、九雀だったら、鷹人だったら、自分のおかしさを打ち明けられただろうか。あるいは、ミカエル・ドゥクレよりも先に気付いてくれたのだろうか。
(考えても仕方がないことか。とにかく、事件を解決させなければ……)
そう自分に言い聞かせると、律華は携帯を取り出して、ミカエル・ドゥクレから受け取った地図を表示させた。
彼は、途方もなく美しい。
人外の美しさとは、彼のような者をいうのだろう――と、律華でさえ素直に認めた。
くすんだ金髪を丁寧に整え、冷たい氷海色の瞳を奇妙に微笑ませている。それが、ドゥクレ社の総帥ミカエル・ドゥクレ――通称ミドゥという吸血鬼だった。黒のシャツに濃いワインレッドのスーツという奇抜なセンスも、不思議と笑う気になれない。
彼が嘆かわしげにかぶりを振ると、あたりにはふわりと百合の香りが広がった。
ああ、それだけで自分が途方もない罪を犯しているような気分になる。
桜田門にそびえる、その建物を知らない人はいないだろう。
しかし、外部に向けて開示されている情報がすべてではない。ESP所有者を集めた実験的部署――誓い未来に起こりうる重犯罪を予測し、これを未然に防ぐという予測対策室なるものも一般に知らされていないことの一つであるし、近々異能者を集めた部署を設置するという噂もある。
そのことは律華も警官として聞いていたが、それにしても吸血鬼とは。いまだに信じられず、彼を見る。目の前の男は伝説上の化け物というより、ミカエルという名が示すとおりに天使さながらだった。
八津坂署に比べると広めの会議室。きっちり等間隔に並べられたパイプ椅子の一つに、彼は君臨していた。物語における吸血鬼の不健康なイメージとは裏腹に、その薄い唇は蠱惑的なまでに赤い。死人どころか生きた人よりも猶、生き生きと輝いている。
安っぽいパイプ椅子の上で長い足を組んだまま、彼は立ち上がろうともせずに、こちらの挨拶を待っていた。
ドゥクレ社は、ここ日本に進出してから瞬く間に知られるようになった外国企業だ。彼自身はフランス人――フランス吸血鬼だが、本社はアメリカにあり、厳密にいえば日本で活動しているのはドゥクレ社ジャパンと呼ばれる日本法人の子会社になる。
「はじめまして、ミカエル・ドゥクレ氏。自分は八津坂署の真田と申します」
律華は丁寧に挨拶すると、少し眉をひそめた。
「お一人でしょうか?」
「ああ。一人だけれど、問題でも?」
「ドゥクレ社の総帥とおっしゃるので、秘書の方などいらっしゃるのかと」
「実をいえば、日本にいるのは商売のためではなくVP-netからの要請によるものでね。日本支部の経理部で責任者を務めさせられているんだよ。役所仕事だけでは味気ないから自分の趣味も持ち込んだが、さすがに両方の面倒を見る余裕はない。会社の方には代理責任者というものを置いて、任せているんだ。必要なときに指示を出すことはするが、普段はほとんど報告を受けるだけ。それから……ああ、挨拶や接待は俺の仕事か。そんな調子だから、秘書なんて必要ない。我ながらいい身分だと思うよ」
想像していたよりは、くだけた男である。
「お嬢さん、下の名前は?」
「律華です。隣は、異能者の三輪辰史氏。自分とともに、本件の捜査を行っています」
「なるほど。律華と呼んでも?」
「はい、構いません」
「俺のことは、ミドゥと呼んでくれ。天使を名乗るのは恐れ多いからね」
冗談めかして、片目を瞑ってみせる。
そんなこちらのやり取りに業を煮やしたらしい、辰史が口を挟んだ。
「無駄なお喋りはそれくらいにしてくれ。こっちは急ぎなんだ」
「やれやれ。そちらの蛇は、余裕がないらしい」
「ああ、余裕なんてないさ。だから単刀直入に訊く」
ミカエル・ドゥクレの美しさに少しもたじろぐことなく、ずいと前に踏み出す。
「お前たちの仲間に、怪しいやつはいないのか?」
「三輪氏、待ってください。段取りが違います」
単刀直入がすぎる報復屋に驚いて、律華は彼の腕を掴んだ。
「自分たちは、そんなことを訊くために来たわけでは――」
だが、ミカエル・ドゥクレはすでに不快感を催して鼻先に皺を寄せている。
「よりにもよって、我々を疑っていると?」
「数で言えば人間が犯人である可能性は高いが、それは吸血鬼どもを容疑者から外す理由にはならない――そういうことだ」
「ふうん。吸血鬼ども、とは人間風情が随分礼を欠く言い方をするんだな。君は異能者といったか。ならば我々ヴァンピールがどれほどの制約を受け入れ、人間どもと共存してやっているか、知らないはずはないと思うが?」
「もちろん知っているとも。だが今回は殺人事件や傷害事件じゃァない」
「殺人や傷害でなければ許される、だなんて思ってほしくないな。数が少ない分、我々は……いや、上層部は仲間たちに人間の規則を守らせようと必死だ。自称元貴族の吸血鬼が、汗水垂らして仕事を掛け持ちし、日々の糧を得ている。そんなご時世だ。吸血鬼は君ら人間なんかより、よっぽど高潔で潔白だよ」
顔を斜め上に傾け、吸血鬼は小さく鼻を鳴らした。
それだけでは収まらなかったのか、思い出したように付け加える。
「ああ――しかし新参者の多い日本吸血鬼は、確かに勘違いしているやつが多いな。激動の時代を知らないくせに、少し器用で呑み込みが早いからといって、古い仲間たちと当たり前のように肩を並べられると思っている。忍耐の強さを口にしながら、その実、感情的で無駄に誇り高い。種族間の絆よりも、日本人としての同族意識に引きずられるようなやつらだし、彼らなら友のためにやりかねない。つい最近、VP-netで扱った事件で同じようなことがあった。主犯は人間だが、日本吸血鬼が協力していたという案件でね」
「そういう事件があったというなら、ますます自分の種族を疑ってみてもいいんじゃないかと思うがな。特に今回の事件、自分の身に起こったことを正しく認識できているのは、お前ら吸血鬼だけだ」
「だからこそありえない。我々には過去に負け、感情を手放したという自覚が残る。それは決して気持ちのいいものではないし、なにより誇りが傷付く。長い年月を生き抜いてきた生きものとしての誇りだ。短命の上に愚鈍な人間には分からないだろうが――」
報復屋の物言いに、吸血鬼の方も紳士の皮が剥がれ、凶暴さを剥き出しにしていく。
睨み合う彼らを見て、律華は反射的に視線の間に割り込んだ。苛立っている報復屋はともかく、ミカエル・ドゥクレの方が厄介そうだと感じた。
動物的直感。本能とでもいうのだろうか。
ミカエル・ドゥクレは紛れもなく、狩る側だ。氷海色の瞳の奥では、密やかな殺気がくすぶっている。その気になれば人間などいともたやすくねじ伏せる。そんな暴を秘めている。辰史は、それに気付いていない。あるいは気付いていながら、それでも後れを取らないと自負しているのか。その自信に、律華はひやりとした。
人より力を持つ者は、ときに危険に対して驚くほど鈍くなる。
その感覚には、覚えがある。客観的に見たものが自分自身に跳ね返ってくるのを自覚しながら、律華は報復屋に向かってまくし立てた。
「すみません、三輪氏。聞き込みは自分が行いますので、三輪氏は予測対策室の方々の進捗を聞いてきてくださいませんか」
「なんだよ、急に」
横やりを入れられて目をぱちくりさせている彼に、続ける。
こんなときに先輩がいてくれたらと、切に思いながら――
「彼らは優れた感受者です。特に立仙捜査官の能力はアカシックリーディングと呼ばれるほどですし、もしかしたらすでに予測が出ているかもしれません。ミカエル氏に聞き込みを行ってから彼らの許へ行くのは、効率が悪いかと思います」
せめて、九雀を真似たつもりだった。
祈るような心地で報復屋を見る。彼も、なにか感じるところがあったのだろう。
「……分かった。ここは、お前に任せる」
そう呟いて、会議室を出て行った。あとには冷たく微笑しているミカエル・ドゥクレと、律華だけが残される。律華は吸血鬼に向き直った。
「あらためて、よろしくお願いいたします。ミドゥ氏」
いくらかは彼の機嫌を取るつもりで、頭を下げる。
「ああ、よろしく。猟犬のお嬢さん」
フランス語だろうか。後半は聞き取れなかったが、声から不穏な響きは消えていた。
「俺はこのとおり吸血鬼至上主義だが、女性となれば話は別だ。特に美味しそうな女性は、それだけでなにかと価値がある。ものの価値を認め、見極めることは大事だよ」
そう言って、舌なめずりする。
なるほど、どこまでも食用的な価値か。培養基販売もしているというから、もしかしたら商業的価値も含まれているのかもしれないが――どうしてか憤るわけでもなく、他人事のように感じながら、律華は申し訳なさそうな顔を作った。
「恐縮です。先程は失礼いたしました」
「そうかしこまらないでくれたまえ、律華。君が悪いわけではないのだから。それにしても異能者というのは、なんでああも傲慢になれるのか理解に苦しむよ。眷属と同じ、力の一端を手にしただけの半端者の分際で――」
吸血鬼の冷たい目に再び剣呑な光が灯ったのを見て、慌てて告げる。
「本件では三輪氏の知人も被害を被っているため、動揺しているのだと思います」
「知人ね。こちらも、旧友が被害に遭っているのだけれどな」
「そうなのですか」
「ああ。旧友とは、かれこれ四世紀ほどの付き合いでね」
「四世紀……」
途方もない年月だ。
「それほど長い時間を共に過ごすと、もうほとんど家族のようなものでしょう。自分には想像も付きませんが、ミドゥ氏も心中穏やかでないかと思います」
「家族のようなもの、か」
ミカエル・ドゥクレが感じ入ったように頷く。
「まあ、確かに。出来の悪い弟か、あるいは見捨てるに見捨てられない伴侶のようなものなのかもしれない。愛情はないが、情はおおいにある」
「被害者たちのためにも、自分は本件の解決に尽力したいと思っています。そこで、ミドゥ氏にはVP-netに所属している吸血鬼の方々の被害状況を提示していただきたいのです」
「というと?」
「ここに、都内の地図があります」
言いながら、律華は鞄の中から地図を取り出した。
「本件には、特定古物と呼ばれる特殊な腕時計が関わっている可能性が高いです。被害がどの程度まで広がっているのか明らかにすれば、所有者の居場所を絞り込むことができるのではないかと考えています」
「なるほど、心得たよ。ちょっと待ってくれ」
ミカエル・ドゥクレはひとつ頷くと、スーツのポケットから携帯を取り出した。
おもむろに、どこかへ電話を掛ける。
「こんばんは、ジャック。君向けの仕事があるんだ。ああ、例の件だ。俺も警察の捜査に協力することになってね。VP-netに所属している吸血鬼の被害状況を調べて、分布図を作ってもらいたい。監査部のやつらを使えば、都内の吸血鬼すべてに確認することもそう難しくはないだろう。他人事だと思って、って? まあ、他人事だな。残念ながら俺にはそれをする権限がないし――二十分で頼む。猟犬のお嬢さんを待たせているのでね。では」
一方的にまくし立て、電話を切った。
「VP-netにも、自警組織のようなものがあってね。そこで働いている知り合いに調査を頼んだ。真面目なやつだから、二十分きっかりに報告を上げてくると思うよ」
携帯をテーブルの上に放り出し、隣の椅子を手で叩く。
「というわけで、必要なものが上がってくるまで二十分の時間がある。座りたまえよ、律華。待っている間、今回の事件について、もう少し話をしようじゃないか」
「はい。事件についてということでしたら、是非」
生真面目に頷き、緊張気味に彼の隣へ腰掛けた。
「ミドゥ氏は、今回の事件についてどこまでご存知ですか?」
「ここのESP所有者から、ひととおりの説明は受けている。いわゆる呪いが、この国では〈呪症〉という名で認知されていることもね。世の中に存在する〈揺らぎ〉すべてに名前を付けて解き明かそうとする人間の熱意にだけは、いつの時代も感服させられる。実に情緒がない」
好き勝手言って、ミカエル・ドゥクレは何故か律華の顔を見つめた。
「はあ」
「俺は、先程からかなり不躾なことを言っていると思わないかな?」
唐突に、そう訊ねてくる。
わけが分からず――また、どう答えることが正解なのかも分からず、律華は返答を詰まらせた。ただただ、どこか含みがある吸血鬼の顔を見つめ返す。
「君は怒らないんだね、律華」
吸血鬼は、その冷たい手を律華の頬にひたりとあてると、やはり唐突に顔を覗き込んできた。氷海色の瞳は、気が狂いそうになるほど美しい。
「きらきらと星の輝く夜空にも似た瞳だ。暗く塗り替えてやりたくなるほど希望に満ち溢れている。正義。理想。尊敬。愛情と慈しみも、ここにある。融通が利かないほどに真っ直ぐで、ああ、血も美味そうだ。君は挫折を知らない人なのかな?」
「いえ、いいえ」
「ああ、そうだ。そうとも。眉間のあたりに、君が抱えていたものの名残が残っている。蛇と話していた最中にも、実はそのことがずっと気に掛かっていた」
彼はなにを言っているのだろう?
「語ってみたまえ。君の挫折を。怒りを。失望を。悲しみを」
頭の中に、不思議な響きをともなった吸血鬼の声がこだまする。
問いに、答えなければ。ふとわき起こった強迫観念に、律華は口を開き――
「…………」
硬直した。
なにも、なにも出てこない。
あるはずのものが、出てこない。
「君のここは、今はからっぽだ。そうだろう?」
頬からするりと滑らせた手を胸に当て、吸血鬼が囁く。
「君の心を煩わせるものはどこへいったんだろうね?」
その瞬間に、律華は自覚した。
「あの生意気な蛇が、特別ヒステリックなわけじゃない。君の精神状態が落ち着いているんだよ。今の事態を思えば、落ち着きすぎているほどだ。異様だと言ってもいい」
氷海色の瞳が、まるで氷の刃にも似て、律華のうつろな胸を貫いた。
彼の言うとおりだ。そこには幼い頃から感じていた忌々しいものが、苦い記憶の数々が詰まっていたはずだ。だがそれこそ、律華を形勢していたものでもあった。
(我ながら、気味が悪くなるほどうまくやれているとは思っていた……)
まるで九雀のように冷静に、彼のフォローがなくとも人と衝突することなく、傲慢な男たちの顔色を窺うことさえ悪しとしなかった――
その器用さは、確かに本来の自分にないものだ。
「わ、わたしも、呪症の影響を受けている、と……?」
何故、今まで気付かなかったのだろう。
ミカエル・ドゥクレが、サディスティックに赤い唇を歪めた。
「そのようだね」
「…………」
「抱えていたものを失った君は、とても優秀な猟犬に見える。本来の君がどういった人間なのかは、なんとなく想像が付くよ。このままの方が、君にとってはいいのではないかとも」
辰史を蛇と嘲った彼の方こそ、誘惑を得意とする毒蛇のように囁きかけてくる。
律華は乾いた唇で、どうにか言い返した。
「何故、そんなことを。事件が解決しなければ、ミドゥ氏も困るのでは?」
「ああ、おおいに困るとも。けれど、俺は混乱を好むたちでね」
吸血鬼が微笑む。
どこまでも美しく、残酷で、退屈した微笑みだ。
「我が旧友を助けてやりたいと思う一方で、君を困らせてやりたくてたまらない。いや、君でなくてもいいのだけれどな。目の前に面白そうなおもちゃがあったから、手を伸ばしてみた。どんなときでも、そういった欲求を抑えることができないのさ。もしかしたら俺にとっては吸血行為以上に、抗いがたい衝動なのかもしれない」
「申し訳ありませんが、自分にはミドゥ氏の欲求を満たすことはできません。自分がよければいいとは思いませんし、警官として事件を解決する義務もあります」
言葉の空虚さを、吸血鬼は見透かしていただろう。
彼は律華の手を取ると、彼の手の代わりに胸へと触れさせた。心臓が大きく跳ねる。
「どうだろう。君の胸中を正しく知るのは、君のみだよ」
「…………」
どうすることもできず彼と見つめ合っていると、不意にテーブルの上の携帯が音を立てた。沈黙が破れ、ミカエル・ドゥクレの唇から微笑みが消える。
「もう二十分か。早いものだね」
「いえ、いいえ。長すぎたくらいです」
律華は答え、悄然と項垂れた。
ミカエル・ドゥクレから資料を受け取り会議室を出ると、外には辰史の姿があった。彼の方も、ちょうど予測対策室の面々と別れてきたらしい。
辰史は律華の顔を見るなり、眉をひそめた。
「どうかしたのか、じいさんの孫――ってのもいい加減まどろっこしいな。真田」
「は、はい」
「顔色が悪いぞ。吸血鬼に血でも吸われたか?」
――血を吸われるより、もっと厄介だ。毒を吹き込まれてしまった。
それを打ち明けることもできず、律華は気弱にかぶりを振った。
「……いえ。緊張で、少し疲れただけです」
「そうか。まあ、そうだろうな。相手は人外の生きものだ」
分かったような顔で、辰史が頷く。
「感情的になっちまって、悪かった。俺も、少し頭が冷えた」
「謝らないでください。親しい人の心配をするのは、当然のことだと思います」
どこまでも冷静に彼を気遣いながら、律華は一度だけ目を瞑った。たとえば横にいたのが、九雀だったら、鷹人だったら、自分のおかしさを打ち明けられただろうか。あるいは、ミカエル・ドゥクレよりも先に気付いてくれたのだろうか。
(考えても仕方がないことか。とにかく、事件を解決させなければ……)
そう自分に言い聞かせると、律華は携帯を取り出して、ミカエル・ドゥクレから受け取った地図を表示させた。
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