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その手の書物をなぞる割には
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「お帰りなさいませ、ミシエレ様」
「今日も出た?」
「はい、残念ながら5頭湧いて出ました」
……か、数え方に人権がないわ。侵入者を害獣扱いとは……。
「コレで実証出来たな。俺が居なくても湧く。門番が家臣でなくても湧く」
「そ、そんな実験だったんですのね……」
この後、ガチの人体実験が待っていようものだったら、走って逃げようと思っていたのよね。職場はバレててもこう、何とか……ならないかしら。流石に、人体実験までは備品扱いに含まれないわよね!?
でも、備品扱いという非人道的な行いに非人道的な上塗り……。
「男でなくて、腕の立つ御婦人が番してるなら出てこないかと思ったけど、変わらず湧くんだね」
「わ、湧きましたわね」
しまったテキトーに聞いてたのに、四阿の不審人物に納得される笑顔が、眩しい……。
……でもね。私をそんな理由で、見初めて頂きたく無かったわー。いえ、見目で見初めるとは思えないけど。
乙女心は複雑なの!
「よくもまあ、此処まで毒花ばかりを詰め込んで贈りつけられる」
し、執事さんの笑顔が怖いわね。
足元のトゲトゲガメの可愛さと沼薔薇が美しいから、意識をそっとそっちに向けましょう……。お花と動物の組み合わせは最高よね。真面目に聞こう……。
「男を誑かしたい魔性の色気無しのガキ女だっけ。その手の書物をなぞってるらしいな」
「男を誑かしたい魔性の、ガキ女……」
……属性多いわね。いえ、確かに来た人選は何故か低身長、童顔、足出しの……ロリ志向だったわね。胸は色々だったけど、総じて足出しだったわ。もう季節柄ヤブ蚊も増えてきたのに、足を虫に噛まれないのかしら。
じゃなくて、あの手の女性、ミシー様はお嫌いみたい……。
「ハニトラ……いえ、美人局にしては、容姿と衣装の傾向が似通ってましたわね」
「即物的で気持ち悪い。あんな風が吹いたら消し飛びそうなのより、頑固で固い方がいい」
「ゲフム!?」
な、何故こっちを見るのよ!! でも、そんな熱い視線は悪くない……わ!
……あ、亀ね。一杯私の後ろに寄ってるわ。
そ、そうね、ミシー様は、亀ラブだものね。
……はあ。
しかし、書物……。書物をなぞる……?
もしかして、転生者が山盛り来てるのかしら?
乙女ゲーム略称イモダンを知ってる、転生者が……。
……でも、攻略対象とはいえ、余所のお屋敷に不法侵入するシーンは有ったかしら?
流石に、そんな犯罪万歳なゲームでは無かったわよ。
しかも今、お昼だし。
攻略対象と陽の光の下で逢えるのは、ラストダンス以降。
……何だか……こう言うと。罪人と、罪人のお勤め待ちしてる人みたいね。闇稼業とか裏社会とか。
実際ヒロインを目指した人達は、犯罪者になったけど。
でもね……。何故、恵まれた立場なのに目指してしまったのかしら? と疑問に思ってしまうわ。
だって、女官の地位は概ね高位貴族の娘が占めているのよ。流石に公爵家は就かれないでしょうけど。
女官って事務官とは違ってとっても高給なのに。
そして、ミシー様と釣り合う家格の筈なのに。
どうして、婚約を申し込むとか正当な方法を取られないのかしら。
まさか、黒幕とやらがこの茶番をゴリ押ししたのかしら。でも、脅されたようには見えなかったわね。脅された人間は、ノリノリで不法侵入した上あんな科白出ないわ。
「本当にミシー様がお好きなら、犯罪に手を染めるまで思い詰めず、正当な手段を取れば宜しいのに」
「好き? 思い詰める? そんな訳無いだろ」
「思い詰めた人間は何をするか分かりませんのよ」
「そうみたいだね。俺も何をするか分からない」
……こ、怖いわ。一体あの不審人物達に何が待っているのか、とっても聞きたくて聞きたくないわ。
「今日も出た?」
「はい、残念ながら5頭湧いて出ました」
……か、数え方に人権がないわ。侵入者を害獣扱いとは……。
「コレで実証出来たな。俺が居なくても湧く。門番が家臣でなくても湧く」
「そ、そんな実験だったんですのね……」
この後、ガチの人体実験が待っていようものだったら、走って逃げようと思っていたのよね。職場はバレててもこう、何とか……ならないかしら。流石に、人体実験までは備品扱いに含まれないわよね!?
でも、備品扱いという非人道的な行いに非人道的な上塗り……。
「男でなくて、腕の立つ御婦人が番してるなら出てこないかと思ったけど、変わらず湧くんだね」
「わ、湧きましたわね」
しまったテキトーに聞いてたのに、四阿の不審人物に納得される笑顔が、眩しい……。
……でもね。私をそんな理由で、見初めて頂きたく無かったわー。いえ、見目で見初めるとは思えないけど。
乙女心は複雑なの!
「よくもまあ、此処まで毒花ばかりを詰め込んで贈りつけられる」
し、執事さんの笑顔が怖いわね。
足元のトゲトゲガメの可愛さと沼薔薇が美しいから、意識をそっとそっちに向けましょう……。お花と動物の組み合わせは最高よね。真面目に聞こう……。
「男を誑かしたい魔性の色気無しのガキ女だっけ。その手の書物をなぞってるらしいな」
「男を誑かしたい魔性の、ガキ女……」
……属性多いわね。いえ、確かに来た人選は何故か低身長、童顔、足出しの……ロリ志向だったわね。胸は色々だったけど、総じて足出しだったわ。もう季節柄ヤブ蚊も増えてきたのに、足を虫に噛まれないのかしら。
じゃなくて、あの手の女性、ミシー様はお嫌いみたい……。
「ハニトラ……いえ、美人局にしては、容姿と衣装の傾向が似通ってましたわね」
「即物的で気持ち悪い。あんな風が吹いたら消し飛びそうなのより、頑固で固い方がいい」
「ゲフム!?」
な、何故こっちを見るのよ!! でも、そんな熱い視線は悪くない……わ!
……あ、亀ね。一杯私の後ろに寄ってるわ。
そ、そうね、ミシー様は、亀ラブだものね。
……はあ。
しかし、書物……。書物をなぞる……?
もしかして、転生者が山盛り来てるのかしら?
乙女ゲーム略称イモダンを知ってる、転生者が……。
……でも、攻略対象とはいえ、余所のお屋敷に不法侵入するシーンは有ったかしら?
流石に、そんな犯罪万歳なゲームでは無かったわよ。
しかも今、お昼だし。
攻略対象と陽の光の下で逢えるのは、ラストダンス以降。
……何だか……こう言うと。罪人と、罪人のお勤め待ちしてる人みたいね。闇稼業とか裏社会とか。
実際ヒロインを目指した人達は、犯罪者になったけど。
でもね……。何故、恵まれた立場なのに目指してしまったのかしら? と疑問に思ってしまうわ。
だって、女官の地位は概ね高位貴族の娘が占めているのよ。流石に公爵家は就かれないでしょうけど。
女官って事務官とは違ってとっても高給なのに。
そして、ミシー様と釣り合う家格の筈なのに。
どうして、婚約を申し込むとか正当な方法を取られないのかしら。
まさか、黒幕とやらがこの茶番をゴリ押ししたのかしら。でも、脅されたようには見えなかったわね。脅された人間は、ノリノリで不法侵入した上あんな科白出ないわ。
「本当にミシー様がお好きなら、犯罪に手を染めるまで思い詰めず、正当な手段を取れば宜しいのに」
「好き? 思い詰める? そんな訳無いだろ」
「思い詰めた人間は何をするか分かりませんのよ」
「そうみたいだね。俺も何をするか分からない」
……こ、怖いわ。一体あの不審人物達に何が待っているのか、とっても聞きたくて聞きたくないわ。
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