11 / 30
来てしまった侯爵家
しおりを挟む
私、第三騎士団所属ルーキア・ジョーサイド男爵令嬢。田舎から出てきた可憐な乙女かつ、真面目な事務官なの。
何時もは温厚に騎士団員(偶に絡む)や兵士達(寧ろこっちが絡むの多い)と書類上で格闘しているわ。
因みに、肩コリにはストレッチしてから腕立て伏せと身長と同じ位の槍を使った素振り100回がお勧めよ!体質にもよるから、用法用量を守ってお医者様と相談してね! ……因みに、勧めても誰もしてくれないのよね。もしや、凄い肩コリにはそんな位の素振りじゃ効き目が足りないのかしら。
……とまあ、現実逃避したくなる立派なお屋敷だわー。
首が痛くなる程高い位置の風見鶏……にしては丸っこいわね。カブトムシ? いえ、亀かしら?
兎に角、何だか判らないのが東風でヒラヒラ揺れているわ。凝ってるわね。
そんな此処は、ティナー侯爵家のタウンハウスなの。
メインの館は領地に有るそうだから、別邸ってことね。
……白い……いえ、クリーム色の壁に美しい青い屋根瓦が映えるわ……。
どっちかと言うと前時代的……いえ、質実剛健気味な王宮よりも優雅な建物ね。月並みだけど、お姫様が住んでそうだわ……。
「当家に何か御用ですか?」
「こんにちは、門番さん……。もっ、門番さん!?」
「う、はい?」
おるじゃないの!! 滅茶苦茶、本物の門番さんおるじゃないの!! 軽装というかパーツだけ鎧だけど、ちゃんとした本気の本番の門番さんじゃないの!!
人手不足だから王宮の備品……いえ、職員である私を使える立場とやらでも、腹立つけど!! 人手不足ならって!! 昨日溢れ出る理不尽さを飲み込んで……!!
この重くて邪魔な鎧持参で……!!
それ、なのに!!
「その赤煉瓦色の髪はジョーサイド嬢ですね。ご子息がお待ちです」
「うっ、あ、ハイ」
「随分沢山のお荷物ですね。お預かり……重っ!!」
まあ、荷物を持ってくださるなんて……何て紳士的な門番さんなの。でも、申し訳ないわ。重いのに。
罰則中のキリエの鎧をテキトーに鍋で消臭して借りてきたけど……。アイツ、まさか鎧を魔改造してるんじゃないかしら。偶に鎧のパーツをパクって金属屋さんに売るヤツが居るのよね。廉価品を代わりにして誤魔化して……でもそれだと大体軽い筈だけど。
「いらっしゃい、ルーキア」
お、おお。玄関ホールで御自らお出迎えとは。
相変わらずお美しいのに何か……。こう、悪そうなオーラを背負っておいでで。
それなのに……紫色を胡散臭くなく着こなしてる殿方を初めて見たわ。イケメンってお得ね。
「あの、ティナー侯爵令息様」
「ミシーでいいよ」
「ミシー様、門番の件ですが……立派な方がおられますのね。私の出る幕が無いですわ」
めっちゃ居ましたよ! 本職が! 私を御召しにならなくてもオッケーよね!? 私を解き放って! 帰らせて!!
と願う視線をモノともされないわ。
……結構眼力強めでお願いしたのに……。
「家の門じゃなくて、守ってもらう門はこっち」
……室内へズンズン入っていかれるわね。
……まさか、家の中に門が有るのかしら。何の為に? 厄除け? まさかの改築マニア?
……お金持ちの家造り計画は訳分からないわね。
田舎だと土地は有ってもお金が無いから、新築は狭い家が多くて……。まあ、滅茶苦茶旧い建物は、軒並み広くて……。
掃除やらメンテナンスが行き届いて無いから、限られたスペースのみに住んでんだけど。世知辛いわ。このお屋敷は何処もピカピカしてるなー。
しかし、何処なのかしら、門とやらは。
実家なら家を抜け出してお隣に突っ込んでいく距離を歩いてる気がするわ。
何時もは温厚に騎士団員(偶に絡む)や兵士達(寧ろこっちが絡むの多い)と書類上で格闘しているわ。
因みに、肩コリにはストレッチしてから腕立て伏せと身長と同じ位の槍を使った素振り100回がお勧めよ!体質にもよるから、用法用量を守ってお医者様と相談してね! ……因みに、勧めても誰もしてくれないのよね。もしや、凄い肩コリにはそんな位の素振りじゃ効き目が足りないのかしら。
……とまあ、現実逃避したくなる立派なお屋敷だわー。
首が痛くなる程高い位置の風見鶏……にしては丸っこいわね。カブトムシ? いえ、亀かしら?
兎に角、何だか判らないのが東風でヒラヒラ揺れているわ。凝ってるわね。
そんな此処は、ティナー侯爵家のタウンハウスなの。
メインの館は領地に有るそうだから、別邸ってことね。
……白い……いえ、クリーム色の壁に美しい青い屋根瓦が映えるわ……。
どっちかと言うと前時代的……いえ、質実剛健気味な王宮よりも優雅な建物ね。月並みだけど、お姫様が住んでそうだわ……。
「当家に何か御用ですか?」
「こんにちは、門番さん……。もっ、門番さん!?」
「う、はい?」
おるじゃないの!! 滅茶苦茶、本物の門番さんおるじゃないの!! 軽装というかパーツだけ鎧だけど、ちゃんとした本気の本番の門番さんじゃないの!!
人手不足だから王宮の備品……いえ、職員である私を使える立場とやらでも、腹立つけど!! 人手不足ならって!! 昨日溢れ出る理不尽さを飲み込んで……!!
この重くて邪魔な鎧持参で……!!
それ、なのに!!
「その赤煉瓦色の髪はジョーサイド嬢ですね。ご子息がお待ちです」
「うっ、あ、ハイ」
「随分沢山のお荷物ですね。お預かり……重っ!!」
まあ、荷物を持ってくださるなんて……何て紳士的な門番さんなの。でも、申し訳ないわ。重いのに。
罰則中のキリエの鎧をテキトーに鍋で消臭して借りてきたけど……。アイツ、まさか鎧を魔改造してるんじゃないかしら。偶に鎧のパーツをパクって金属屋さんに売るヤツが居るのよね。廉価品を代わりにして誤魔化して……でもそれだと大体軽い筈だけど。
「いらっしゃい、ルーキア」
お、おお。玄関ホールで御自らお出迎えとは。
相変わらずお美しいのに何か……。こう、悪そうなオーラを背負っておいでで。
それなのに……紫色を胡散臭くなく着こなしてる殿方を初めて見たわ。イケメンってお得ね。
「あの、ティナー侯爵令息様」
「ミシーでいいよ」
「ミシー様、門番の件ですが……立派な方がおられますのね。私の出る幕が無いですわ」
めっちゃ居ましたよ! 本職が! 私を御召しにならなくてもオッケーよね!? 私を解き放って! 帰らせて!!
と願う視線をモノともされないわ。
……結構眼力強めでお願いしたのに……。
「家の門じゃなくて、守ってもらう門はこっち」
……室内へズンズン入っていかれるわね。
……まさか、家の中に門が有るのかしら。何の為に? 厄除け? まさかの改築マニア?
……お金持ちの家造り計画は訳分からないわね。
田舎だと土地は有ってもお金が無いから、新築は狭い家が多くて……。まあ、滅茶苦茶旧い建物は、軒並み広くて……。
掃除やらメンテナンスが行き届いて無いから、限られたスペースのみに住んでんだけど。世知辛いわ。このお屋敷は何処もピカピカしてるなー。
しかし、何処なのかしら、門とやらは。
実家なら家を抜け出してお隣に突っ込んでいく距離を歩いてる気がするわ。
3
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢はお断りです
あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。
この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。
その小説は王子と侍女との切ない恋物語。
そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。
侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。
このまま進めば断罪コースは確定。
寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。
何とかしないと。
でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。
そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。
剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が
女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。
そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。
●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
●毎日21時更新(サクサク進みます)
●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)
(第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
完 モブ専転生悪役令嬢は婚約を破棄したい!!
水鳥楓椛
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢、ベアトリス・ブラックウェルに転生したのは、なんと前世モブ専の女子高生だった!?
「イケメン断絶!!優男断絶!!キザなクソボケも断絶!!来い!平々凡々なモブ顔男!!」
天才で天災な破天荒主人公は、転生ヒロインと協力して、イケメン婚約者と婚約破棄を目指す!!
「さあこい!攻略対象!!婚約破棄してやるわー!!」
~~~これは、王子を誤って攻略してしまったことに気がついていない、モブ専転生悪役令嬢が、諦めて王子のものになるまでのお話であり、王子が最オシ転生ヒロインとモブ専悪役令嬢が一生懸命共同前線を張って見事に敗北する、そんなお話でもある。~~~
イラストは友人のしーなさんに描いていただきました!!
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
【完結】もったいないですわ!乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢は、今日も生徒会活動に勤しむ~経済を回してる?それってただの無駄遣いですわ!~
鬼ヶ咲あちたん
恋愛
内容も知らない乙女ゲームの世界に転生してしまった悪役令嬢は、ヒロインや攻略対象者たちを放って今日も生徒会活動に勤しむ。もったいないおばけは日本人の心! まだ使える物を捨ててしまうなんて、もったいないですわ! 悪役令嬢が取り組む『もったいない革命』に、だんだん生徒会役員たちは巻き込まれていく。「このゲームのヒロインは私なのよ!?」荒れるヒロインから一方的に恨まれる悪役令嬢はどうなってしまうのか?
転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています
平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。
生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。
絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。
しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?
悪役令嬢は冷徹な師団長に何故か溺愛される
未知香
恋愛
「運命の出会いがあるのは今後じゃなくて、今じゃないか? お前が俺の顔を気に入っていることはわかったし、この顔を最大限に使ってお前を落とそうと思う」
目の前に居る、黒髪黒目の驚くほど整った顔の男。
冷徹な師団長と噂される彼は、乙女ゲームの攻略対象者だ。
だけど、何故か私には甘いし冷徹じゃないし言葉遣いだって崩れてるし!
大好きだった乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた事に気がついたテレサ。
断罪されるような悪事はする予定はないが、万が一が怖すぎて、攻略対象者には近づかない決意をした。
しかし、決意もむなしく攻略対象者の何故か師団長に溺愛されている。
乙女ゲームの舞台がはじまるのはもうすぐ。無事に学園生活を乗り切れるのか……!
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる